原子力空母ロナルド・レーガンの佐世保入港に抗議(その2)
集会での発言


●中崎幸夫さん(長崎県平和運動センター議長)

みなさん、こんにちは。

先週の土曜日には神奈川県の横須賀市で、「原子力空母の横須賀母港化に反対する全国集会」が開催されました。その一週間後、このうだるような暑さの中で、ここ佐世保で開かれた、米核空母佐世保寄港反対・米軍再編と憲法改悪を許さない九州ブロック集会に、九州各地と全国の代表に参加していただきました。主催者としてひと言、思いを申し上げます。

佐世保での集会は、今年3回目です。1月19日には、エンタープライズ闘争40周年を記念する集会を行いました。その直後の2月11日には、原子力空母ニミッツが、佐世保に入港しました。そして明日には、レーガンがやってきます。レーガンの佐世保入港は、昨年に続いて2回目です。

原子力空母の佐世保入港は、今回で10隻目です。1968年に原子力空母円タープライズが入港しました。このエンタープライズが再び佐世保に入港したのは、1983年です。この間、15年間ありました。ところが2002年以降は毎年、今年は2度目の寄港です。異常としか、いいようがありません。

なぜなのか。米国は西太平洋地域に2隻目の空母を配備しようとしています。主な任務血は東南アジアです。一方で、山口県の岩国基地では、滑走路の沖合移設が行われました。住民の反対を押し切って、空母艦載機部隊が神奈川県の厚木基地から移転してきます。

東南アジアに配備される2隻目の空母が、艦載機は岩国基地に下ろし、休養と補給のために佐世保基地を準母港として使用する――こうしたことが有りうるとおもいます。横須賀と佐世保、日本に原子力空母2隻体制が作られるかもしれない。その危機感を、私たちは持つ必要があります。

原子力空母の寄港が10回目。原子力潜水艦にいたっては、1964年にシードラゴンが入港して以来、285回です。今月24日には海上自衛隊の補給艦が、インド洋に出て行きました。25回目です。佐世保ではその都度、抗議の闘いに取り組んできました。しかし一般的には、慣らされてしまいました。

19日に横須賀で集会が行われましたが、その記事は、全国紙はおろか関東版にすら掲載されなかったと聞きます。唖然とします。横須賀を母港とした気ティーホークは、アフガニスタンやイラクにも派遣されて、アメリカの空母のうちで、最も出撃回数が多かった。そう聞いています。

私たちは、想像力を失ってはならないと思います。沖縄戦を体験したおじい・おばあは、嘉手納基地から飛び立つB52を見上げて、ヴェトナムの人々にすまないと涙を流す、という話しを聞いたことがあります。

私たちも40年前、エンタープライズの巨体を目の当たりにして、硝煙のにおいと、ヴェトナムの人々の血のにおいを嗅ぎ、空爆のしたの人々の叫びが聞こえた日本人は、もっと多かったのではないかと思います。イラクでは、15万人を超える民間人が殺されたと、伝えられています。アフガニスタンでも米軍の誤爆で、多くの子どもたちが死んでいる。

横須賀から、佐世保から、沖縄から、戦争遂行者たちが出撃していきます。イラクでは航空自衛隊の輸送機が、米軍の活動を支えています。日本が米軍に提供した艦船燃料で、アフガニスタンの子どもたちが殺されています。私たちはその認識を、しっかりと持たなければなりません。

本日の集会とデモ、明日の海上行動と陸上行動、そして追い出し集会まで、原子力空母の佐世保寄港反対、米軍再編と憲法改悪を許さないという、私たちの意思をしっかりと示していきましょう。


吉村庄二さん(現地闘争本部長)

 現地闘争本部長の吉村です。佐世保出身の社民党の県会議員です。暑い中、全国からの結集、大変ありがとうございます。

 米軍の空母が入ってくるたびに、社民党・地区労・県平和運動センターで、現地闘争本部を作っています。ことしは2度目の佐世保寄港です。一体なぜ、1年に2回も来るのか。これは、現地佐世保にとても、日本にとっても、非常に重要な内容を持っているのではないでしょうか。

 19日には横須賀で大集会があり、長崎からも大勢で参加しました。その横須賀に入港予定の原子力空母ジョージ・ワシントンは、大火災を起こしました。「原子力艦船は安全だ」という原子力神話が、もろくも崩れたのです。ジョージ・ワシントンの事故後に、佐世保にレーガンを入港させた背景には、「原子力空母は安全」ということを、あらためて示したい米国の意図があったのではないでしょうか。日本に原子力空母を母港化するために、あせりにあせった、必死の行動なのではないでしょうか。

 私たちは米海軍の佐世保基地司令官に申し入れを行いました。基地には、日本との間に、黄色い境界線が引いてあります。黄色い線より入ってはいけないと、看板が出ています。私たちの申し入れに対しても、「黄色い線より出てくれ」というのです。こんな話しがありますか。いくら地位協定では米軍が優位に立っていようと、安保条約第1条には、日米の平和・友好・繁栄のために条約を結ぶと書いてあります。また今回の原子力空母の入港に際しても、その理由は日米の友好親善の強化と、乗組員の休養と補給です。そうした名目で入ってくる米艦船の基地に申し入れに行くと、「あなた達が抗議をするのはわかるが、黄色い線からこちら側には入ってはいけない」という、横柄な態度が続いているのです。

 原子力空母の安全神話は崩壊している。しかし安全性を強調したい。その母港化に向けた地ならしとして佐世保に入る。これが米軍の狙いではないでしょうか。

 市長選挙がありまして、佐世保市の市長が変わりました。もとは自民党の県会議員です。日米防衛協会の役職も持っている。各地で米兵犯罪が起き、ジョージ・ワシントンが大火災をおこしているにもかかわらず、新佐世保市長は従来の市長よりも踏み込んで「今回の寄港には大変重要な意味がある」とのコメントを発表しました。

 私たちは佐世保に原子力空母や原子力潜水艦が入るたびに、労組・社民党・市民運動・平和団体が一体となって、抗議行動を続けてきました。沖縄のみなさん、横須賀のみなさん、岩国のみなさん、そのほかの米軍基地を抱える地域のみなさんと一緒に、連帯を続けたいと思います。佐世保の闘いを継続し、全国の闘いと連帯し、今後も取り組みを続けていきたいと思います。


●藤本泰成さん(平和フォーラム副事務局長)

 1週間前、横須賀には1万5000人の皆さんに集まっていただきました。本日、この集会に来た皆さんのなかにも、横須賀集会に参加し、いろいろな思いを感じたかたが、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

 それから1週間で、佐世保に原子力空母がやってきます。市民の思いを踏みにじるように、米国は横暴な動きを繰り返しています。私たちはもう、我慢がならない。米軍は日本を守っているのだから、思いやり予算も我慢しろ。原子力空母の母港化も我慢しろ。そうした中で日本政府は、私たちの疑問には、なにも答えない。

 もう我慢を続けてはいけません。大きな声をあげましょう。全国各地で「米軍の言いなりにはならない」、「米軍に守ってもらっているわけではない」と。私たちは米国に守ってもらっているわけではありません。米軍がいるからこそ、私たちの安全は脅かされる。市民の生活が脅かされる。そういう状況にあります。沖縄も佐世保の横須賀も、米軍の脅威にさらされています。原子力空母の入港と母港化を拒否する声を、全国からあげようではありませんか。米軍基地縮小・撤去の大きな声をあげようではありませんか。日本人は敗戦の中から、「もう決して戦争はしない、平和な世界を作る」ということを、憲法9条を持つことで示しました。

 平和フォーラムは、皆さんと一緒に、最後まで闘います。


●加藤泉さん(神奈川平和運動センター事務局長)

 7月19日には、九州ブロックをはじめ全国から1万5000人の皆さんに横須賀に結集していただき、原子力空母の横須賀母港化を許さないという強い意志を、内外に宣言する集会とデモ行進を行いました。デモ行進では、最後の参加者が解散地点に到着するのに、3時間もかかりました。大変ありがとうございました。

 私たちは、ここ佐世保を含めて、数々の闘いを展開しています。しかし結果的には、政府・米国、日米同盟に対して、勝利することができません。しかし私たちが「核も基地もいらない」という声をあげ続けることが、7・19集会につながりました。

 原子力空母は危険です。ジョージ・ワシントンは火災事故をおこしました。キティーホークの退役後に就航するはずの、原子力空母の建造が間に合わないことから、通常型空母の復帰もありうると、米下院・軍事委員会が言い始めています。私たちの主張、私たちの闘いの根拠が確立されてきています。

 2隻目の原子力空母が、ここ佐世保を、準母港として入港してくる。そのことについても。県民・市民の反対と同時に、北東アジアの平和のためにも、「原子力空母はいらない」と、主張し続けることが必要です。

 2月の集会では、「横須賀で原子力空母の母港化の是非を問う住民投票条例運動を進める」という話しをしました。この条例制定要求は、議会で否決されました。しかし、私たちの行ったアンケート調査では、7割の市民が「原子力空母は不安」と答えています。そうした市民の声と、私たちの運動を結合して、最後まで運動を続けることで、政治を動かしていくことが可能であると思います。

 佐世保と連帯して闘いをつづけます。


●山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)

 暑い中で、米軍のやりたい放題の暴挙に満身の怒りを込めて、団結されている皆さん。

 自衛隊を属軍扱いし、全国の空港や港を自由に使用しようとする米軍の狙い、東京湾上に原子力空母を浮かべ、佐世保を第2の空母母港にしようとする米軍再編に、怒りを込めて抗議しようではありませんか。

 先週は1万5000人の結集で、首都圏における大きな大きな闘いが燃え上がりました。沖縄では、与野党の逆転した県議会で、新たな米軍再編と核となる普天間基地の辺野古への移転に反対する決議と、政府への意見書を採択しました。米軍再編の中軸がガタガタになって、日本政府と沖縄県政が慌てふためいている。そのことを、皆さんに報告します。

 マスコミや政府が無視し、米軍再編を粛々と進めようとしても、いま全国各地で、「米軍再編はまかりならぬ」という市民の声が沸きあがっています。生活の安全からも、米軍再編は許すことができないという怒りが、大きく湧き上がっています。

 自信を持って、堂々と、大胆に、この国の平和と、私たちの暮らしと、アジア地域の平和のために、闘い抜こうではありませんか。

全国の仲間と連帯して、辺野古新基地建設をぶっ止めて、米軍再編による基地の強化を断固として許さない。そのための闘いを強化していく。そのことを表明して、連帯のあいさつとします。


●伊藤彰信さん(全港湾書記長)

 集会に結集した皆さん、大変ご苦労様です。

 安倍政権は憲法改悪を正面に掲げて、教育基本法の改悪や、防衛庁の省昇格、国民投票法を強行してきました。しかし、昨年の参議院選挙では与党が敗北し、あとを引き継いだ福田政権は、憲法調査会すら開けずにいます。

 しかし私たちは、憲法改悪の動きが遅いから、鈍いからといって、安心しているわけにはいきません。米軍再編・日米軍事一体化の歩みは、着実に動いています。福田首相は新テロ特措法を、衆議院の再可決で強行成立させました。また各地からの報告にあるように、沖縄・岩国・横須賀・座間で、米軍再編が強行されようとしています。

 全港湾は「港を軍港にするな」をスローガンに掲げて、反戦・平和の闘いを進めてきました。そして有事法制の成立以降、有事法制を発動させない、憲法改悪を許さない、軍事協力は拒否する――という闘いを進めています。

 有事法制を発動させない。そのことは何より、朝鮮半島の平和の実現、東北アジアの平和の実現だろうと考えます。平和は守るものではありません。私たちが、作り上げるものです。平和をどう作り上げるのか、そのことが私たちに問われています。

 憲法改悪を阻止する闘い。その闘いは、全文と9条を守るだけの闘いではないだろうと思います。有事法制の中には、業務従事命令に反した場合の罰則規定がありません。その最大の理由は、憲法18条の「苦役からの自由」の規定です。強制労働を禁じる規定です。いま派遣労働、日雇い派遣が、大きな問題になっています。私たちの働き方を見直す。労働者が職場から声をあげるような労働環境を作り上げる闘い。この闘いもまた、憲法を守る闘いの一つであろうととらえています。

戦争協力をしない。これについては、港湾管理者に対して、また港湾使用業者に対して、戦争協力をしないように申し入れをして、運動を進めています。

名古屋高裁では、自衛隊のイラク派兵は違憲であるとの判決が下されました。そこでは、平和的生存権が明らかにされています。私たちが、戦争協力や、軍需物資の輸送を拒否することが、平和的生存権の判決を基にして、十分に可能になったと考えています。全港湾はこうした闘いを、これからも進めて行きます。

私たちが恐れなければいけないのは、米軍艦船の入港が当たり前になる、戦争協力が当然のことになる、そうした雰囲気作りです。私たちは、「日本に軍事基地はいらない」、「軍港をなくせ」、「佐世保にレーガンは来るな」という声を、大きく広げていく必要があります。レーガンの佐世保寄港は、決して歓迎されていないという声を、米国政府・日本政府に届けようではありませんか。

全港湾は職場・地域から闘いを進めて、憲法改悪を阻止し、日米軍事一体化と在日米軍再編を阻止する闘いを、皆さんと共に闘い抜きます。がんばりましょう。


その1 原子力空母レーガンの佐世保入港に抗議
その2 集会での発言
その3 集会参加者の写真
その4 海上抗議デモ 


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