核兵器禁止条約 | 平和フォーラム
2021年02月01日
「核兵器禁止条約発効」について
核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、使用および使用の威嚇などを全面的に違法とする「核兵器禁止条約」は、2017年7月に国連で採択され、2020年10月に批准が50ヶ国に達したことで要件を満たし、2021年1月22日発効しました。被爆者や原水禁運動に関わる全ての人々が切望した瞬間です。
しかし、条約が法的に有効なのは批准した国のみであり、核保有国や「核の傘」を頼り批准していない国を拘束するものではありません。これまで日本政府は、「核兵器保有国と非保有国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら、対話を粘り強く促す」と述べてきましたが、菅首相は、国会答弁において、署名にもオブザーバー参加にも否定的な答弁を繰り返しています。
原水禁は、日本政府に批准することを求めてきたのは言うまでもありません。それが難しいならば、オブザーバー参加し、核兵器廃絶に向けた国際的な議論に参加するべきと訴えてきました。また、2020年12月23日、連合・KAKKINと3団体で取り組んだ「核兵器廃絶1000万署名」を日本政府へ提出した際には、「先制不使用など、日本が今できることから着実に」核軍縮へ取り組んでいくことを要請しました。
2021年1月23日、原水禁は「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」を開催し、核兵器禁止条約発効を受け、課題を整理するとともに、世界がどのように変化していくかを展望し、これからの原水禁運動のあり方を提起しました。国際シンポジウムは、以下のURL・QRコードから視聴できますので、ぜひご覧ください。 また、YouTube「原水禁チャンネル」では、合わせて「核兵器禁止条約発効」に関する学習動画もご覧いただけますので、ご活用ください。
学習動画:
- 「核兵器禁止条約」発効の意義と課題
―今こそ、東北アジア非核兵器地帯を―
講師:湯浅一郎さん(ピースデポ代表) - 核兵器廃絶に至るこれからの道
講師:秋葉忠利さん(原水禁・顧問 前広島市長)
国際シンポジウムを直接ご覧いただけます。
YouTube「原水禁チャンネル」をご利用ください。
2019年04月25日
第21回総会アピール
4月25日、東京の日本教育会館で行われた平和フォーラムの第21回総会で、2018年度活動経過報告や2019年度運動方針などの議論の後に、総会参加者から、以下のアピールや特別決議を挙げました。
総会アピール
安倍政権が成立し、日本国憲法の危機が叫ばれてから、多くの時間が流れました。その間、特定秘密保護法、安全保障関連法改正、改正組織犯罪処罰法(共謀罪法)などが制定され、立憲主義をないがしろに、日本国憲法の根幹である平和主義や民主主義の崩壊をきたしています。国会における数の力、安倍一強支配の下で成立してきました。一方で、貧困や格差の課題やヘイトクライムは放置され、働き方改革や入管法改正においては、働く者の人権を無視する姿勢が顕著に表れています。増大する財政赤字の抜本改革は常に先送りされ、社会保障費が削減されていく中で、防衛費は戦後最高を更新し続けています。森友・加計問題や統計不正問題も全く解決していません。相次ぐ自民党政治家の問題発言、政権の驕りは極まっています。
安倍政権は、米国におもねり、市民の犠牲の上に立って、「今だけ、金だけ、自分だけ、そして仲間だけ」の政治を展開しているに過ぎません。今、私たちはしっかりと自分の足元を見つめ、将来にむけた冷静な判断を下さなくてはなりません。
安倍首相が強く主張した「アベノミクス」は、巨額の赤字国債とともに、その間違いを明らかにしています。アベノミクスの中心に据えられていた原発の輸出も防衛装備移転三原則のよる武器輸出も、破綻しています。安部政権は、目先の利益にこだわり将来の日本の姿を描けずにいます。何度となく示された沖縄に基地はいらないという民意、原発ではなく自然エネルギーを中心にしたいという市民社会の声、巨額なオスプレイやF-35A戦闘機の予算を保育所や介護施設・社会保障費の充実に回せとの要求、切実な市民の声が無視され続けています。市民生活をないがしろにすることは許されません。
被爆国日本が、核兵器禁止条約に批准せず背を向ける。韓国徴用工の切実な声には、国際法違反だと一方的に断罪する。南北朝鮮と米国による朝鮮半島の平和と非核化へのとりくみにさえ、後ろ向きの姿勢に終始する。その上で、米国との軍事的繋がりを強化する。安部政権の外交姿勢は、日本の安全保障からほど遠いものになっています。安倍首相が主張する積極的平和主義は、米国の覇権に引き込まれるきわめて危険な状況を作り出しています。平和の基本は信頼と協調であり、そのために外交姿勢が重要です。
安倍首相は、本年2月の自民党党大会において、「憲法改正にとりくむときがきた」と述べ、憲法9条への「自衛隊明記」を訴えています。日本国憲法は、先の侵略戦争の反省にたって、戦争の放棄と戦力の不保持を規定し、平和に生活する市民社会をめざしています。市民一人ひとりのいのちの尊厳を守ることが、政治の役割だと規定しているのです。安倍首相のもくろみを決して許してはなりません。
2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故から、平和フォーラム・原水禁は、「ひとり一人の命に寄り添う政治と社会」をスローガンに、立場を超えて広範な運動の展開をめざしてきました。結集軸の根幹は、いのちの尊厳にあります。そのことをないがしろにする安倍政権と対峙し、平和フォーラム・原水禁は、手を繋ぎ合える全ての仲間とともに、改憲を許さず、多民族・多文化共生、平和で市民の権利が守られる社会をめざして、全力でとりくんでいくことを決意します。
2019年4月25日
フォーラム平和・人権・環境 第21回総会
原水爆禁止日本国民会議 第94回全国委員会