憲法審査会レポート、2024年

2024年12月20日

憲法審査会レポート No.46

12月19日、今臨時国会初となる衆議院憲法審査会が開催されました。なお、国会会期は小幅延長のうえ、24日までとなっていますので、現状では衆参ともに今後の開催の予定はありません。

2024年12月19日(木) 第216回国会(臨時会)
第1回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55448
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

衆院憲法審、自・立に溝 枝野会長下で初の討議
https://nordot.app/1242315946075243501
“衆院憲法審査会は19日、立憲民主党の枝野幸男会長の下で初の本格的な討議を行った。自民党は憲法改正の優先テーマとして緊急事態時の国会議員任期延長を主張。立憲民主党はテレビCMなどを規制するため国民投票法の改正が最優先課題だと反論し、与野党第1党の立場の違いが改めて浮き彫りとなった。”

衆院憲法審査会 枝野審査会長のもと初討議
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672491000.html
“19日の討議は「今後の議論の進め方」がテーマで、与党側の筆頭幹事を務める自民党の船田 元経済企画庁長官は、緊急時の政府の権限や国会のルールを定める「緊急事態条項」に関連して国会議員の任期延長を最優先に議論を進めるべきだと主張しました。”
“そのうえで「韓国の非常戒厳を引き合いに『緊急事態条項は乱用のおそれがある』と言われるが、政治活動を禁止したり報道や集会を規制したりするものとは性質が異なる」と述べました。”

緊急事態条項、自民「優先を」 立民、選挙妨害巡る議論提起―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024121900117&g=pol
“自民の船田元氏は、大規模災害など緊急時に国会機能を維持する「緊急事態条項」の論点整理が既に行われていると指摘。「これを発射台とし、優先的に議論を進めていくべきだ」と訴えた。公明、日本維新の会、国民民主の各党も同調した。”

野党会長のもと初の憲法審査会、最優先課題に改憲派は「緊急事態条項」 一方、立憲「国民投票法」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1627375
“…立憲民主党は選挙妨害の問題や表現の自由の保障に関わる国民投票法の改正を最優先課題として掲げたうえで、内閣の衆院解散権を制約するなど国家権力を抑制するための仕組み作りを議論すべきだと主張しました。”

【傍聴者の感想】

枝野会長のもとでの初めての憲法審査会が開催されました。冒頭、幹事などの事務的な確認を行ったうえで、これまでの経過の復習として、「憲法審における憲法論議の経過」について、衆議院法制局から説明されました。これを20分ほど行い、その後は憲法審の進め方についてすべての会派(8会派)から意見表明、その後任意に発言を求め、6人の委員が他会派への質問という形で発言しました。

自民党は改憲4項目のうち、緊急事態、選挙困難事態、議員任期延長について優先したい旨を述べ、あわせて改憲手続法についても速やかな検討をすべきとしました。他の改憲4会派も同様の趣旨を表明しました。これに対して立憲民主党は、改憲手続法は最優先課題としつつ、選挙運動の自由と表現の自由、恣意的な解散の抑制、臨時国会の召集期限、同性婚、政治資金の自由など様々な課題があり、議論を深めるべきとしました。れいわ、共産党は、憲法を変える議論ではなく、現実を変えることに注力すべきとの主張をしました。

発言の内容や方向性にこれまでの憲法審との大きな変化は感じられず、ただ全体的に改憲手続法への言及が多く、課題意識も会派による対立的な違いは少ないことから、この課題が大きくなるのかなという感じがしました。

会長を立憲民主党から選出されたほか、会派別の委員の構成比も変わりましたが、会派の数自体は変わらず、委員全体の過半数が改憲派であることには変わりはありません。憲法審で具体的にどういう議論がされているのか、どういう問題があるのかを、丁寧に市民に伝えていくとりくみが今後も必要であることをあらためて痛感しました。

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