憲法審査会レポート、2023年
2023年04月14日
憲法審査会レポート No.14
2023年4月12日(水)第211回国会(常会)
第2回 参議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7359
【会議録】
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121114183X00220230412
【マスコミ報道から】
※NHKは今回の報道記事がありませんでした
国会機能代行する参院緊急集会 自民「最長70日、任期延長必要」 立民「改憲ありき」と異議 参院憲法審
https://www.tokyo-np.co.jp/article/243738
“参院憲法審査会は12日、緊急時に参院が国会機能を代行する憲法五四条の「緊急集会」をテーマに討議した。自民党は、緊急集会で対応できるのは最長70日間にとどまるとして、緊急事態が長期にわたる場合に備えた国会議員の任期延長規定の必要性を強調。立憲民主党などは「改憲ありきだ」と異議を唱えた。”
立民が公明に秋波 参院憲法審、孤立を回避?
https://www.sankei.com/article/20230412-ID5C5OZUUJNSVOBOEAOBDGS7SY/
“衆院憲法審で公明は自民や日本維新の会など改憲勢力と議員任期延長の実現に向け歩調を合わせており、立民の態度からは参院での孤立を避ける狙いも見え隠れする。維新関係者は「参院の公明は衆院よりも護憲色が濃い。立民は気脈が通じると思ったのだろう」と警戒を強める。”
立民、小西氏の謝罪拒否 「サル」発言巡り―参院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023041200850&g=pol
“…自民党の片山さつき氏は「任期の特例を認める条文を置き、危機管理に穴があかないよう手当てが必要だ」と主張した。”
“立民の辻元清美氏は、災害対策基本法や国民保護法などに触れ、「立法機能や予算承認は参院の緊急集会が担い、開催困難な場合は個別の緊急政令が措置されている」と指摘。改憲は不要との立場を強調した。”
【傍聴者の感想】
今回、初めて参議院憲法審査会に参加しましたが衆議院憲法審査会とはどう違うのか、私が傍聴したときのようにふざけただけの意見交換になるのか、不安を抱えながら傍聴しました。しかしながら、そんな不安に思うことはありませんでした。
参議院の緊急集会について、特にその存在意義に関して追及し、70日間の縛りをこえて延長することができるはずとの発言が多かったです。各委員間の意見を聞いて衆議院憲法審査会とは違い、1つのことについて議論していますがそれが一人ひとりの思いがはっきりと伝わってくると感じました。とくに立憲民主党の熊谷裕人・参院議員の参議院の緊急集会中に新たな案件が発生した場合を想定し、2つの制度を提案されたことに関しては非常によかったと思います。
参議院と衆議院の憲法審査会の傍聴を経験して、いい意味でも悪い意味でも勉強になったと感じています。これからも続く憲法審査会の行方を一つひとつ丁寧に見ていきたいと思います。
【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)
70日を超える参議院の緊急集会開催の是非と改憲論
憲法54条1項では「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない」とされます。この規定を根拠に、70日以上の参議院の緊急集会は憲法的に許されず、国会議員の任期延長の憲法改正が必要だと「改憲5会派」(自民、公明、維新、国民民主、有志の会)は主張します。
この論点に関する憲法学説を紹介すると、高見勝利上智大学名誉教授、土井真一京都大学教授、長谷部恭男早稲田大学教授は緊急事態の際には70日以上の参議院の緊急集会の開催は可能と主張します。私も緊急事態の際には70日以上の参議院の緊急集会は可能という見解を採ります。
「解散の日から40日以内」、「選挙の日から30日以内」とされているのは行政府による解散権の濫用を防ぐため、つまり行政府による解散後に選挙が無期限に延期され、民意に基づかない長期政権が継続するのを防ぐためです。解散権悪用の危険がない「緊急事態」に際しては70日を超えて参議院の緊急集会を開催するのは「緊急事態」の際にはやむを得ない対応です。70日を超える参議院の緊急集会の開催と議員任期延長のどちらの弊害が大きく危険か。緊急事態を口実に選挙もせずに議員任期を延長し、長期政権を可能にする方が過去の歴史などを踏まえると比較にならないほど危険です。
実際、2020年7月31日、香港の行政長官はコロナ感染者の増加を理由に9月6日に予定されていた立法会(議会)の選挙を1年延期しました。この延期に対しては中国共産党が民主派による過半数獲得を阻止するためとの批判が国内やアメリカ等からなされました。
実際に大統領命令は出されませんでしたが、ドイツ・ワイマール共和国時代の1932年12月2日、パーペン首相は政権維持のために国会の解散と選挙の無期限延期の大統領命令を出すようにヒンデンブルク大統領に要請しました。1933年1月23日にシュライヒャー首相も国会解散と選挙の無期限延期の大統領命令を出すようにヒンデンブルク大統領に要請しました。
現在でも、プーチン大統領に不利な政治状況が生じた際には「戦時体制」を口実に2024年の大統領選挙が延期される可能性も指摘されています。
緊急事態を名目とする議員任期延長の憲法改正は、民意に基づかない長期政権維持の手段を権力者に与える危険性があります。こうした憲法改正は「国民主権」の観点からも危険です。
自民党や日本維新の会などの改憲5会派は「参議院の緊急集会」は「二院制」の例外だと主張します。ただ、参議院の緊急集会は緊急事態に際しても「国会中心主義」を貫くための制度です。「例外」だから問題だというのであれば、「議員任期延長」は「国民主権」の例外、「緊急政令」や「緊急財政処分」を可能にする「緊急事態条項」は「権力分立」という、近代法の基本原理の例外であることを問題視する必要があります。
【国会議員から】古賀千景さん(立憲民主党・参議院議員/憲法審査会委員)
今回の憲法審査会のテーマは「参議院の緊急集会について」でした。党で役割分担を行い、私は「緊急集会を開く期間」について意見を述べました。
改憲会派は「議員任期延長の改憲」の根幹の考えである「緊急集会限定70日間限定説」を唱え改憲を行おうと考えています。
憲法54条に衆議院解散時の事が書かれており、2項には、その間に緊急事態が起こった際は、参議院の緊急集会に委ねるとされています。その事を踏まえると、緊急事態条項新設の必要はありませんし、国会議員の任期延長のための改憲には断固として反対します。
憲法53条には「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と明記されています。新型コロナ感染症が爆発的に猛威を振るい、国民が命や暮らしの危機に直面した際、衆参の野党会派が臨時会招集要求しましたが、それには政府与党は応えませんでした。これこそ、憲法違反なのではないかと考えます。
【国会議員から】辻元清美さん(立憲民主党・参議院議員/憲法審査会委員)
4月12日に開かれた参議院憲法審査会では参議院の緊急集会について討論が行われ、私は以下について発言しました。
これまで何人かの委員から「国家緊急権」が必要で改憲すべきという意見がありましたが、私は「こうした意見は、まず第一に、政策的な必要性と合理性、立法事実の検証が欠けているのではないか」と指摘しました。まず日本国憲法では、緊急時には参議院緊急集会が開かれることになっています。これが「基軸」です。
そして、それすら開けないような想定外の事態では、国民の生命と暮らしを守るため、災害対策基本法や国民保護法、新型インフル特措法などで緊急政令の制定がもうけられている――と私は指摘しました。とくに災対法の緊急制令については、関東大震災級の非常災害を念頭に、大幅改正が行われ、阪神淡路や東日本大震災などのたび教訓を踏まえた議論が積み重ねられてきたという経緯があります。
つまり、日本国憲法の緊急事態法制とは、解散のない参議院で緊急集会が①立法機能②予算承認機能などを担うのが前提。そして、それすらできない事態では個別の政令の仕組みがきっちり整備されてきたというのが事実です。過去の改正の際には、政府の審議会などで新たに加えるべき緊急政令の事項は指摘されていません。
日本国憲法は、戦前の緊急勅令の濫用などの反省から、参議院・緊急集会を基軸として国民の権利を擁護する仕組みを作り、不断の検証と改正を積み上げてきたのです。自民党や維新の会が唱えている、いざというときに何でも措置できる緊急政令は「事実上の内閣への白紙委任のような改憲」です。これは立法事実を伴わないばかりか、憲法の根本趣旨に矛盾します。
なお公明党は、現行のしくみが網羅的でほぼ完成した形であり、必要があればさらなる整備充実をしていけばよいとして、改憲の立法事実の不在から緊急政令の改憲に明確に反対しています。まったくの同意見です。
私は、憲法改正により緊急政令を求める会派に対し、現行のしくみで何が足りないのか、本審査会に具体的に示すよう求め、幹事会で協議となりました。これまで長きにわたって議論されてきた緊急事態について、必要であればまず法律改正で対応すべき――として発言を締めくくりました。引き続きこの問題は指摘していきます!
2023年4月13日(木) 第211回国会(常会)
第7回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54523
※「はじめから再生」をクリックしてください
【会議録】
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025021120230413007.htm
【マスコミ報道から】
自衛隊9条明記 自民は必要「法体系が完成」 立民は不要「国民は役割理解」 衆院憲法審<発言要旨あり>
https://www.tokyo-np.co.jp/article/243964
“衆院憲法審は13日、憲法9条や安全保障政策を中心に討議した。自民党や日本維新の会は9条への自衛隊明記が必要だと主張したが、公明党は9条ではなく、首相や内閣の事務などを定める72条や73条を軸に検討する課題だと訴えた。立憲民主党は改憲の必要がないという認識を示し、合憲性に疑義が残る敵基地攻撃能力(反撃能力)保有などの議論を要求した。”
“憲法9条に自衛隊 明記の是非” 衆院憲法審査会で各党が主張
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230413/k10014037411000.html
“自民党は「現行憲法は、GHQの占領下で制定されたため、国防に関する規定がないままだ。9条に国防規定と自衛隊を明記することは憲法の欠落を補うものであり、防衛政策の内容や性質に変更をもたらすものではない」と主張しました。”
自民、9条に自衛隊明記 衆院憲法審、立民は反対
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023041300848&g=pol
“立民の中川正春氏は「現状で自衛隊は合憲。その役割と必要性は国民に十分に理解されている」と指摘。反撃能力(敵基地攻撃能力)保有や防衛予算増額と憲法の関係を審査会で議論するよう唱えた。”
衆院憲法審で9条議論 自民と維新、自衛隊明記を主張
https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/010/290000c
“公明の浜地雅一氏は「自衛隊違憲論を払拭(ふっしょく)するために憲法上明記するという議論ではなく、民主的統制の観点から憲法上に書き込むべきだ」と述べ、首相や内閣の職務を規定した72条や73条に自衛隊への民主的統制を書き加える案を示した。”
【傍聴者の感想】
4月13日、衆議院憲法審査会では、憲法9条に自衛隊の明記の是非などをめぐって、各党の主張が展開されました。
自民党の新藤義孝議員は、現行の憲法9条に「9条2項」を新設し、実力組織の自衛隊を明記すべきだとしました。憲法は、「GHQの占領下で制定されたため、国防規定が欠落していた」とし、「9条に国防規定と自衛隊を明記することは、占領下の欠落を補うもので、9条に矛盾しない」と主張しました。さらに国防規定を加えることによって法体系を完成させるものだと述べました。
自由発言の中で、自衛隊を「軍」として位置付ける議論をすべきではないかとの発言もありました。基本的に他の自民党議員の発言は、違憲性の解消と主張する「自民党案」の繰り返ばかりで、新たな提起はありませんでした。しかし、その中で投票に当たっては「党議拘束をはずべき」だとの私的な意見として述べた議員もいました。
立憲民主党の中川正春議員は、「自衛隊は合憲で、その役割と必要性は国民に十分理解されている」とし、一方で「9条2項についての国民の議論は深まっていない」として、自衛隊の明記は不要と発言しました。むしろ自衛隊の運用が、「専守防衛の規範をなし崩し的に超えてきている」ことこそ議論すべきだと主張しました。
国民投票法について、どのように公平と公正を担保するのかの環境整備が必要とし、インターネット利用の拡大に伴い、有料広告の制限や透明性、誤情報の規制など論点整理と各党との合意形成の提案などの必要性が話されました。
日本維新会の岩谷良平議員は、「自衛のための実力組織としての自衛隊を保持すると規定し合憲の存在とすべき」とし、自民党案と同じ「自衛隊違憲論の解消」を主張しました。自由発言の中で他の議員は、緊急事態条項を加え議論をさらに先に進める発言がありました。また、国防規定を設け、自衛隊(実力機関)を各行政機関と同等とする必要最小限の改正が必要との発言もありました。
公明党の濱地雅一議員は、「憲法に自衛権の具体的な内容を書き込むことには慎重」としながらも、「民主主義、国民主義の観点」から憲法の価値を高めていくための書き方を求めていくべきだとしました。そのなかで「自衛隊に対する民主的統制を、憲法72条、73条の『内閣の職務』として書き込むことも一案」だと指摘しました。
また、「反撃」能力として、核兵器などの壊滅的な兵器の使用は国政的に許されないが、壊滅的兵器でないスタンドオフミサイルのように精密に(?)軍事施設のみを的確に攻撃できる(?)兵器は、国民の生命を守るために容認できる発言をしました。相手の攻撃を止めるための「反撃」は軍事目標のみに限定としました。
国民民主党の玉木雄一郎議員は、「9条を改正について、自衛隊という組織の違憲性の解消だけでなく、自衛権の範囲の解釈をめぐる違憲論争にも終止符を打てるものとすべきだ」と述べました。また内閣の緊急集会の在り方についても発言がありました。自民党や維新の会などの発言者が、自党の説明や補強意見を中心に述べたのとは対照的に、玉木議員は改憲に反対する立憲民主党や共産党に対して批判を集中していました。
共産党の赤嶺政賢議員は、「9条を断固として守り抜き、改憲のための憲法審査会は動かすべきではない」と立場を明らかにした上で、岸田軍拡とアメリカの関係を述べました。その中で、岸田政権の軍拡の動き(防衛費のGDP2%の増額やトマホークミサイルの購入など)はアメリカからの要求で動いていると指摘しました。NATO諸国も2023年には2%から4%に引き上げるようアメリカは要求しており。日本の政策もアメリカの要求に沿ったものであるとしました。防衛費がGDP2%になれば、軍事費は米中に次ぐ世界第2位となる軍事大国だと指摘しました。
【国会議員から】谷田川元さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)
緊急事態であっても国会の機能を維持しなければならない、そのためにも議員の任期延長が必要だとの意見がこれまで多く出されました。
しかしながら、国会機能の維持にそれほどこだわるのであれば、その国会機能を不全にする、時の政権による恣意的な衆議院解散について、なぜ議論しないのでしょうか。この問題は、緊急事態ではなくても常に生じることです。先に議論するのが筋ではないでしょうか。
岸田総理は、衆議院解散は時の総理大臣の専権事項と何度も発言しています。私はこの表現に違和感を覚えます。「専権」という字を広辞苑で引いてみますと、「権力をほしいままにすること。思うままに権力をふるうこと。」とあります。すなわち、専権事項というのは、総理大臣が勝手に決めて、決めた以上は従わなければならないということです。
令和五年度予算が成立して、岸田総理が公明党に挨拶したときに、山口代表が、解散ではありませんねと発言し、岸田総理を牽制したとの報道を目にしました。山口代表もかねてより、解散は総理の専権事項という表現を何度も用いられていますが、総理にあのような発言をするなら、今後、解散は総理の専権事項という表現は避けた方がよいのではないでしょうか。
総理の専権事項ではないことを示す実例を一つ紹介したいと思います。
戦後行われた二十六回の衆議院総選挙で唯一、任期満了選挙となったのは、一九七六年の十二月のことです。その三か月前の段階で、三木武夫総理は解散を行うための閣議を開きましたが、実に十五名の閣僚が反対をし、解散を断念せざるを得ませんでした。反対する閣僚十五名を罷免し、三木総理自身が十五名の閣僚を兼務し、解散する手段はありましたが、自分は議会人としてそれはできなかったと後に語っておられます。
まして、現在の岸田内閣は自公連立政権です。連立与党である公明党の意向を無視して、岸田総理が解散を強行しようとすれば、公明党の閣僚を罷免せざるを得なくなります。公明党の支持を得て国会の指名を受け就任した岸田総理がそのような暴挙に出ることは、議会人としてあり得ないことです。解散は総理の専権事項という言葉は、現状ではなおさら誤っています。
また、衆議院議長を務められました保利茂氏が、衆議院解散に関してとても見識の高い文書を残しています。福田赳夫内閣が日中平和友好条約締結という外交的成果を掲げて、解散を検討していた一九七八年七月に書かれたものです。
保利氏は次のように述べています。憲法上、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会を、内閣が勝手に助言と承認をすることによって七条解散を行うことは問題がある、それは憲法の精神を歪曲するものだ、特別の理由もないのに、行政府が一方的に解散しようということであれば、それは憲法上の権利の濫用だ。
また、佐藤内閣によるいわゆる沖縄解散直後の一九七〇年二月の国会の代表質問で、自民党の政調会長であられた水田三喜男氏も、国会議員の任期が保障されない限り、議員は常に選挙運動に追われて落ち着かず、国会の公正な審議と採決が常に選挙用のジェスチャーによって妨げられる実情も、決して故なしとは思わないと述べているのです。
こうした良識あるお二人の自民党の政治家が今生きておられたら、現状をどう思われるでしょうか。
残念ながら、直近三回の解散は、今やれば勝てる、一週間でも選挙を早くやった方が有利だとの党利党略以外の何物でもありません。
小選挙区制導入等の政治改革を主導した佐々木毅元東大教授は、安倍政権による二回の恣意的な解散を批判し、政治改革の議論の中で総理の解散権の制限にまで考えを及ばせなかったことに反省の弁を述べられています。
民主主義の土台である選挙の公正性を確保するという観点からも、総理の解散権の濫用を防止する立法措置を検討すべきです。仮に法律の射程範囲を超えるのであれば、憲法改正を視野に入れるべきだと私は思います。国会機能の維持を重視するのであれば、緊急事態という万が一の場合の議員任期延長を議論するよりも、通常事態における恣意的な解散権行使の抑止を先に議論すべきだということを重ねて申し上げ、私の発言を終わります。
(憲法審査会での発言から)