2022年、憲法審査会レポート
2022年12月02日
憲法審査会レポート No.4
2022年12月1日(木) 第210回国会(臨時会)第5回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54226
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【会議録】
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025021020221201005.htm
【マスコミ報道から】
衆院憲法審査会 緊急事態での国会議員任期延長めぐり各党議論
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221201/k10013909871000.html
“…与野党4党は、憲法改正の実現に向けて議論を深めるよう求めたのに対し、立憲民主党は法律の改正で対応は可能であり、憲法改正は必要ないと主張しました。”
“…冒頭、衆議院法制局が大規模災害や戦争など緊急事態で選挙の実施が難しい場合の国会議員の任期延長をめぐる各党のこれまでの主張を整理した資料を説明し、その後、議論が行われました。”
緊急事態巡り論点整理 改憲勢力、議論進展狙う―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022120101041&g=pol
“論点整理は各会派の議員が主に今国会で表明した意見を論点ごとに記したA3判の表。冒頭に衆院法制局の橘幸信局長が「各会派の了承を得たものではない」とした上で、内容を説明した。”
“…立民の中川正春元文部科学相は「緊急事態条項以外にも議論の俎上(そじょう)に載せなければならない課題はある」と述べ、圧力を強める自民党などを批判。「次回以降は国民投票法の改正議論を提案する」と表明した。”
緊急事態条項巡り論点整理 「改憲4党」間で温度差も 衆院憲法審
https://mainichi.jp/articles/20221201/k00/00m/010/246000c
“緊急事態の対象範囲など多くで共通する4党だが、内閣の権限を強化する緊急政令・緊急財政処分では意見が分かれた。自民や維新が必要性を訴えたものの、公明が反対したため、議論の中心が議員任期延長に変更された経緯がある。自民のベテラン議員は「公明のせいで議論が矮小(わいしょう)化された」と不満をもらした。議員任期延長をめぐる裁判所の関与についても4党は一致していない。”
衆院憲法審の発言要旨(2022年12月1日)
議員任期延長は自民など5会派が「必要」 立民と共産は問題を指摘
https://www.tokyo-np.co.jp/article/217356
※このかん、東京新聞(ウェブ版)は憲法審査会の発言要旨を翌日に掲載しています。
【傍聴者の感想】
予定時間の10時になっても空席が……。衆議院事務局が「幹事打ち合わせが延びています」と場内の着席議員に足早に連絡。15分経過してもスタートせず、それから数分後ようやく開会。
今国会、初の傍聴だったが、これまでの審査会との変化を感じた。傍聴席にも、衆議院法制局作成の「『緊急事態』に関する論点~11月10・17日における各会派1巡目の発言を中心として~」と題されたA3のペーパーが配布された。衆議院法制局の担当者が、そのペーパーについて淡々と説明。改憲派の委員は、衆議院法制局のペーパーを評価。国民民主党の玉木委員にいたっては、「審査会のまとめでいいのでは」と大絶賛……。
過去に傍聴した憲法審査会の雰囲気と大きく変わったことを体感。傍聴席に空席があったこともショック。改憲勢力をけん制する意味でも傍聴席を埋めることが直面する課題のようだ。(Yn)
【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)
まず、12月1日の衆議院憲法審査会の進め方には極めて問題があります。もともとは「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制についての自由討議」のはずでした。
ところが新藤義孝・与党筆頭幹事は幹事会での合意もないのに私的に「議員任期延長」に関する各会派の主張を衆議院法制局に整理させ、憲法審査会で説明させました。ルールと合意を無視して憲法審査会を進めたことは、国の最高法規である憲法をめぐる議論の仕方として極めて不適切です。
こうした合意・ルール無視の運営に基づき、「議員任期延長」の憲法改正論議がされました。ただ、主権者である「国民」は国会議員の任期延長のための憲法改正を求めているのでしょうか?
緊急時に国会機能が維持されないと大変になる、だから緊急時に国会議員の任期延長を認めるための憲法改正論議と改憲5会派(自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会)は主張します。ただ、改憲5派の国会議員、国会機能の維持が必要と言い切れるほどの仕事をしてきたのでしょうか?
国会議員が選挙もなしにその地位に居座り続けることを可能にする「議員任期延長」の憲法改正論議、私たちは認めるのでしょうか?
【国会議員から】近藤昭一さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)
12月1日も衆議院憲法審査会が開かれました。昨年2021年の総選挙以来、与党だけでなく、野党の維新の会と国民民主党も憲法審査会の毎週の定例開催を強く求めていることから、衆議院ではほぼ毎週の開催が定例化しつつあります。
立憲民主党は「論憲」を主張しており、議論をすることは大切だが、改憲ありきの期限を区切って改憲草案の中身を議論することには断固反対です。民主主義における立憲主義とは「少数の権利を守るための憲法が権力を縛る」ことです。
したがって、立憲主義に基づく憲法審査会の為すべきは「いま、憲法がいかされているかをチェックすること」であり、為すべき議論とは「権力を持つものが暴走しないように何を縛るべきか、足らざるところはどこか」という声を国民の声を受けての議論です。
今、改憲を声高に叫ぶ人たちが求める緊急事態条項などは、それとは逆に、国民の権利を縛り、権力者にさらに大きな権限を与える内容であり、断じて容認できません。人々の権利と生活を守るため、憲法の精神をさらに具現化するような憲法論議を目指します。