声明・申し入れ、2012年、東北アジア平和キャンペーン
2012年03月26日
北朝鮮のロケット打ち上げに対する日本政府の対応に関する声明
2012年3月26日
北朝鮮のロケット打ち上げに対する日本政府の対応に関する声明
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 藤本泰成
本年2月23、24日の両日に北京で行われた米朝の高官協議は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側がウラン濃縮活動の一時停止とIAEA査察を受け入れることを条件に、米国が栄養補助食品24万トンを提供することで合意しました。人道的見地と平和的見地からの米朝交渉の成功は、今後の6カ国協議に道を開く可能性を示めすものとして歓迎されます。
しかし、その後北朝鮮がキム・イルソン主席生誕100年にあわせてロケットで人工衛星を打ち上げると発表したことから、米国は「米朝合意と国連安保理決議に違反する」として、日韓・中露などと連携し発射を断念するよう強く求めています。日本政府は、石垣島などへの地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)配備や、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦の展開を命じ、自衛隊法を根拠に「破壊措置命令」の発令も検討しています。
ロケットは長距離弾道ミサイルの技術を利用すると言うことが発射断念を求める理由とされています。発射予定の4月16日以降は、キム・イルソン生誕100年の行事とキム・ジョンイル国防委員長死去に伴うキム・ジョンウン朝鮮人民軍最高司令官の朝鮮労働党および国家の最高指導者就任も予定され、国家的祝賀行事の中、国家の威信をかけての衛星打ち上げと考えられます。
平和フォーラムは、北朝鮮に対して周辺諸国の反応を憂慮し抑制的に対応するよう求めるともに、日本政府に対しては、ことさら北朝鮮を敵視する政策を転換し、対等な関係における対話の姿勢を構築するために、以下のとりくみを強く要請します。
- 軍事的対立を呼び込む恐れのある迎撃ミサイル配備およびイージス艦の展開を行わないこと。
- 不測の事態を誘発する可能性もある「破壊措置命令」を発出しないこと。
- これまで行ってきた日本政府独自の制裁措置を延長せず、人道的見地から食糧支援など無償の援助を提起すること。
- 10年をむかえる「日朝平壌宣言」の主旨に立ち返り、日朝間での懸案事項解決への話し合いをすすめること。
- 朝鮮学校への高校授業料無償化措置の適応や交付金の再開など、国際人権規約に基づくとりくみを行うこと。
北朝鮮が東アジアにおいて孤立を深めていくことは、日本および東アジアの安全保障の点からも憂慮されます。日本政府が、北朝鮮が日本の植民地支配から独立した後に歩んできた歴史的経過と現在置かれている国内的・国外的にもきびしい状況を理解し、対抗的敵視政策を転換していくことを強く要請いたします。
平和フォーラムは、日本政府が、これまでの経過に拘泥することなく北朝鮮に対して人道的見地から支援を続ける中で話し合いの条件を整備していくことが重要であり、そのことが諸懸案の解決にむけた最良の選択であると確信します。