声明・申し入れ、2018年
2018年05月01日
【声明】板門店宣言を歓迎し、日米両政府に真摯な対応を求める
2018年5月1日
板門店宣言を歓迎し、日米両政府に真摯な対応を求める
(平和フォーラム・原水禁声明)
フォーラム平和・人権・環境
(平和フォーラム)
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
共同代表 川野浩一
福山真劫
藤本泰成
2018年4月27日、大韓民国文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国金正恩朝鮮労働党委員長は、南北軍事境界線をまたぐ板門店において、南北首脳としては11年ぶりとなる会談に臨み「板門店宣言」を採択し署名した。宣言は、①自主統一への未来を早める、②軍事的緊張状態を緩和し戦争の危険を実質的に解消する、③終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換する、④完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するとして、様々なとりくみを上げている。平和フォーラム・原水禁は、この間の北朝鮮の核実験をきびしく批判するとともに、日米両国の北朝鮮への制裁措置と米韓・日米の軍事演習の停止、対話の再開を求めて来た。平和フォーラム・原水禁は、南北首脳の決断を心から歓迎する。
会談後の共同発表で、文在寅大統領は「民族の念願である統一のための大きな一歩を踏み出した」とし、金正恩労働党委員長も、「我々は闘うべき異民族ではなく、仲良く生きるべき一つの民族だ」とした。植民地支配と侵略戦争の結果、南北分断の要因をつくった日本と朝鮮戦争の責任を負うべき米国両政府は、南北両首脳のこの言葉に真摯に向き合わなくてはならない。朝鮮半島の民族の繁栄に、日米両政府は力を尽くさなくてはならない。
朝鮮半島における最大の軍事的脅威であった核兵器の問題に関しては、「南と北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」とした。金正恩労働党委員長は、加えて5月中に咸鏡北道豊渓里(ハムギヨンプクト・ブンゲリ)の核実験場を米韓の専門家やメディアへの公開の場で廃棄すると明言している。そもそも、核開発は米国の脅威への対抗としてきた金正恩労働党委員長が、南北首脳会談で「完全な非核化」に言及したことの意味をしっかりと捉えなくてはならない。
日本のメディアの論調は「非核化の具体策がない」「非核化には懐疑的」などきびしい論調が目立つ。しかし、後ろ向きの議論で日朝関係を正常化することが可能なのだろうか。東北アジアの平和に貢献できるのだろうか。南北両首脳が投げかけた言葉を、日本政府はしっかりと受け止めなくてはならない。日本政府は、米国の政策に与することなく、国交正常化へのとりくみを再開しなくてはならない。
米国政府は、「非核化されるまで最大限の圧力は続く」と表明している。米国は、完全で検証可能な不可逆的廃棄を求めている。しかし、段階を踏まずして廃棄まで進むとは考えられない。米国は、「核体勢の見直し」でも明らかなように、更なる核攻撃の能力の向上をめざしている核大国であることを忘れてはならない。また、休戦協定を平和協定へと言う南北両首脳の主張が、米国も対象にしていることを忘れてはならない。米韓合同軍事演習の規模・内容を含めて、米国が脅威であることは明白な事実だ。金正恩労働党委員長は、文在寅大統領に「米国と信頼を築き、終戦と不可侵の約束をすれば、我々が核を持つ必要があるだろうか」と語ったとされる。米国政府は、まず、平和協定締結へのとりくみをすすめるべきだ。
平和フォーラム・原水禁は、東北アジアの平和のために、米韓・日米の合同軍事演習のすみやかな停止と、朝鮮戦争を終戦に導き平和協定締結への道に進むことを、日米両政府に強く求める。また、その道筋を基本に、金正恩朝鮮労働党委員長には「完全な非核化」への具体策を示すことを強く求める。