声明・申し入れ、2017年
2017年10月23日
第48回衆議院議員総選挙の結果を受けて
第48回衆議院議員総選挙の結果を受けて
フォーラム平和・人権・環境
代表 藤本泰成
混乱の中で、第48回衆議院議員総選挙が終了しました。台風の影響から期日前投票は2000万人を超えて過去最高となり、そのため投票率は53.60%と、過去最低を記録した2014年の52.66%は超えたものの、民主党が政権交代を成し遂げた2009年の67.51%には遠く及ばず、様々な課題があったにもかかわらず、有権者の関心が高まったとは言いがたいものです。結果は、自民党が単独で284議席を獲得し、絶対安定多数の261議席を超えました。連立与党の公明党を加えると、313議席と圧倒的多数を占めています。
安倍晋三自民党総裁は、北朝鮮の脅威と少子高齢化を上げて、二つの国難に向けた総選挙と主張し、北朝鮮への圧力を最大限に高め危機管理に全力を尽くして市民の生命と財産を守り抜く、幼児教育の無償化と世代を超えた社会保障の充実へ向けて消費税増税による財源を充てるとしました。しかし、米国と歩調を合わせる北朝鮮への圧力強化には国際社会は同意していませんし、消費税増税分は財政再建に充てることを決定していたはずです。この間、安倍政権は防衛費を増額しつつ生活保護規定の改悪を繰り返してきました。また、民主党政権の高校の授業料無償化には「バラマキ」と反対し、きわめて消極的姿勢をとり続けてきました。自民党の公約が、いかに選挙目当ての実のないものかは明らかでした。
自民党は選挙公約に、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消の4項目を中心に、憲法「改正」をめざすと入れました。しかし、安倍総裁は選挙期間中にそのことに触れることはほとんどありませんでした。希望の党が「憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます」としていることや、日本維新の会が憲法「改正」を否定していないことなどを含め、これまでの安倍総裁の発言からは、今後の政局において一気呵成に改憲に進み出すことが予想されます。改憲阻止に向けたとりくみが、きわめて重要な段階にあります。
平和フォーラムは、安全保障関連法(戦争法)阻止のとりくみに向けて「戦争をさせない1000人委員会」を組織しつつ、より大きな広がりを求めて「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」に運動を拡大してきました。その中で、戦争法を強行した安倍政権との闘いをすすめるとともに、総選挙に対しては、政権交代を基本に安倍政権退陣を求め、民進党・社民党・共産党・自由党の立憲4野党共闘をすすめ、与野党1対1の構図をつくり出し、意見の相違を乗り越えて全力で闘うことをめざしてきました。しかし、前原誠司民進党代表による民進党解党・希望の党合流、小池百合子希望の党代表によるリベラル派排除の方針の中で、野党第一党の民進党の分裂は必至となりました。枝野幸男衆議院議員を代表とした民進党リベラル派は、立憲民主党を立ち上げ、安倍政権に不満を持つ市民層の期待に応え、短期間で大きな成果を上げました。しかし、野党第一党の分裂は、結果として自民党の圧勝を許しました。「改革保守」と称し、安倍政権の交代を求めるとして立憲野党の分岐を引き起こした前原・小池両代表の責任は極めて大きなものです。
選挙後の立憲野党勢力は、細分された状況にあります。森友・加計学園問題の追求、改憲の発議阻止、戦争法に反対し自衛隊の集団的自衛権行使を行わせないためにも、立憲野党の一致したとりくみが重要となっています。
今こそ、安倍政権の暴走を止め、個人主義に立って民主政治の実現をめざさなくてはなりません。立憲野党勢力の共闘を基軸に、平和フォーラムは、改憲阻止に向けて全力でとりくんでいくことを決意します。