声明・申し入れ、2011年
2011年03月31日
埼玉朝鮮初級学校に対する運営補助金支給留保に抗議します
2011年3月31日
埼玉県知事 上田清司 様
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 藤本泰成
埼玉朝鮮初級学校に対する運営補助金支給留保に抗議します
埼玉県学事課が上田清司知事の意向を受け、埼玉朝鮮初級学校に対する運営補助金の2010年度分の支給を留保するとしたことについて、私たちは、行政が子どもの学ぶ環境を支えることの意義を無視し、子どもたちの学ぶ権利をないがしろにするものとして、満腔の怒りをもって抗議します。
埼玉県側は埼玉朝鮮初級学校関係者に対し、今回の運営補助金支給留保の理由については、学校法人の経営状況による判断だと説明しています。
しかし、昨年12月の定例会の一般質問では、朝鮮学校への運営補助金支給の歴史的経過と目的を問われ、村田俊彦総務部長が次のように答弁しています。
「こうした子供たちが通う学校の経営安定に資する補助金として教育条件の維持向上、さらには保護者の経済的負担の軽減など、少なからず役立ってきたものと考えております」「また、この補助金の一部を活用して同校は他の日本の学校とスポーツ交流や文化交流、さらには地域の行事に積極的に参加しております。このような活動により地域における相互理解が深まっていると考えております」。
まさにこのとおりであって、運営補助金の目的を鑑みれば、学校経営の状況を理由に補助金を留保することは本末転倒なのであり、なにより朝鮮学校生徒とその家庭に対して大きな打撃を与えるものでしかありません。
さらに、朝鮮学校に通う子どもたちは同時に、埼玉県民であり、私たちの地域社会をともに構成するひとりでもあるのです。さまざまな民族的アイデンティティーを持つ人々が日本社会に生活している現状を踏まえ、お互いが尊重し合う多民族・多文化共生社会をつくっていくためにも、自分たちの歴史・文化・言語を学ぶことのできる教育の場の必要性は、なおいっそう高まっていると考えます。
私たちは、今回の県の判断については直ちに撤回すること、さらに埼玉県としても朝鮮学校をはじめとした民族教育のとりくみを積極的に支援していくことを、つよく求めます。