声明・申し入れ、2012年

2012年06月26日

日朝国交正常化連絡会全国総会・記念講演会集会アピール-日朝平壌宣言10周年をむかえて交渉再開を訴える

   2002年9月17日、小泉純一郎首相が日本の首相として初めて訪朝し日朝首脳会談を行なってから、10年がたとうとしています。首脳会談で合意された日朝平壌宣言は、日朝の和解と諸懸案の解決を通じ国交正常化に至る道筋を示していました。しかし、日本人拉致問題の衝撃があまりに大きかったこと、そして、その後の諸懸案をめぐる議論が感情的で保守的な方向に流され解決に向けた交渉を進展させられなかったこと、さらに東北アジアの国際的緊張から核実験などが行なわれ相互に不信感が高まったことで、日朝平壌宣言はその意義を生かされずに来ました。
   それだけではありません。日本政府の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する制裁措置は、展望のないまま延長され続けています。これによって、北朝鮮の軍事的措置と関係ない在日朝鮮人が在朝の親族訪問・支援などに困難を強いられたばかりでなく、日常的な監視や抑圧にさらされることになりました。
   おりしも韓国では昨年以降、元日本軍「慰安婦」などの戦後補償をめぐり被害者の訴えを認める判決が続いています。被害者たちは高齢で、日本社会にとっては償うための時間は多く残されてはいません。この現実は北朝鮮についてもまったく同様です。いや、むしろ国交がないために、民間で行なう被爆者の医療などの支援さえ困難になっているのが現実です。
   日朝首脳会談に際して小泉首相は、敵対的関係を友好関係に変えていきたいと述べました。日本社会はもう一度この原点に立ち戻るべきです。日本社会が歴史的責任を果たし、冷戦から形成された敵対関係を解消しようとすることでこそ、信頼関係が築かれ日朝間の諸懸案も解決します。拉致問題も北朝鮮を批判するだけでなく、向き合って交渉することでこそ、解決への糸口をみいだすことができるはずです。私たち日本人自身が平和で核のない東北アジアの一員として生きていくために、日朝国交正常化は実現すべき課題です。  私たちは日朝平壌宣言10周年をむかえて、以下のように訴えます。

  1. 日朝平壌宣言10周年の9月17日に向けて、全国で日朝国交正常化を訴える行動を行なうよう呼びかける。
  2. 日本政府や与野党に日朝国交正常化交渉再開を訴える。
  3. 北朝鮮にいる原爆被爆者、元日本軍「慰安婦」、戦時強制連行被害者に対する個別的措置が行なわれるよう日本政府に働きかける。
  4. 日本メディアの北朝鮮バッシングをただし、緊張緩和と友好に向けた問題提起がなされるよう市民社会に訴えていく。
  5. 朝鮮高校に対する無償化措置を1日も早く実現させる。
  6. 地方自治体の朝鮮学校支援削減や打ち切りに対し抗議し、国際的規範にのっとり在日朝鮮人の権利拡大を実現していく。

TOPに戻る