声明・申し入れ、2009年
2009年11月06日
九州電力玄海原子力発電所3号機におけるプルサーマル試運転に対する抗議声明
11月5日、九州電力は、地元佐賀県民の反対の声を無視して、玄海原発3号機において危険なプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を燃やす国内初のプルサーマルを事実上スタートさせました。
平和フォーラム・原水禁は、佐賀県民と連帯して「プルサーマルはいらない九州集会」の開催や、「玄海原発へのプルサーマル導入に反対する40万人署名」などプルサーマル断念にむけて取り組んできました。その声に耳を傾けることも、安全性に対する疑問に答えることもなく、九州電力が、プルサーマルをスタートさせたことに、大きな怒りをもって抗議します。
プルサーマルは、国や電力会社の主張では「ウラン資源の有効利用」「エネルギーの安定確保」「放射性廃棄物の低減」に寄与するとしています。しかし、節約できるウランは1~2割程度、コストも高く、プルサーマルで排出する高レベル廃棄物にいたっては処分方法も確立できていません。また、関西電力・東京電力の大手2社では、データの改ざんやトラブル隠しで、この計画を凍結したままになっています。
そもそも、このプルサーマルは、核燃料サイクル計画において運用されるべきプルトニウムを、高速増殖炉もんじゅの事故や六ヶ所再処理工場でのトラブルなどで計画が頓挫しているなかで、余剰プルトニウムに対する国際的非難を回避する目的で過渡的に使用するというものです。
プルサーマルで先行したベルギーやドイツ、スイスなどにおいても、いまや計画が見直されています。米国においても、オバマ新政権になって核燃料サイクル計画を凍結することとなっています。今や、脱原発、核燃料サイクル計画断念、再生可能な自然エネルギーへの転換と、世界は確実に政策転換していく方向にあります。
このような世界の潮流に抗して、核燃料サイクル計画が破綻した中でさえプルサーマルを実施しプルトニウム利用に固執することは、核不拡散の観点からも国際的非難の対象になることすら憂慮されます。
プルサーマルに使用するMOX燃料は、プルトニウムとウランから出来ていることから、ウランだけの通常の燃料より、核反応が不安定であり核反応を押さえる制御棒の効きも悪くなると言われています。通常の原発より制御が困難であることは確実です。また、プルサーマルで排出される使用済み燃料の処分については、再処理工場が稼働していない現在全くの白紙と言っていい状況にあります。高レベルの放射性物質を排出する使用済み燃料は、玄海原発に山積みされることとなります。
平和フォーラム・原水禁は、このようにいい加減で見切り発車的な試運転に対して、大きな怒りを覚えずにいられません。世界の潮流に抗し、プルサーマルを推進しようとする九州電力および国の姿勢は、決して許されないものです。私たちは、核燃料サイクル計画に反対し、脱原発、再生可能な自然エネルギー中心の社会をめざして更なる取り組みを進めます。
フォーラム平和・人権・環境 原水爆禁止日本国民会議 事務局長 藤本泰成