声明・申し入れ、2008年
2008年02月08日
外国人住民の地方参政権を求める2・8アピール
「韓国に続いて日本でも永住外国人の地方参政権を求める院内集会」参加者一同
いま日本には、208万人をこえる外国人住民が暮らしている。
日本は、すでに国際人権規約や人種差別撤廃条約に加入しているものの、国内法制度にこれらが十分に反映されていないために、日本で暮らす外国人住民には、国際人権条約で保障されている地域社会に参画する権利、教育への権利など、多くの権利が制限されている。
1993年、大阪府の岸和田市議会が外国人への地方参政権付与を求める「意見書」を採択し、その後、全国に広がった。95年2月、最高裁は「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」という判断を示した。そして98年には、議員立法として「永住外国人への地方選挙権付与法案」が初めて国会に提出された。
2002年1月、滋賀県米原町は「住民投票条例」を制定し、そのなかで初めて、外国人住民に住民投票権を付与した。それから6年、外国人住民に投票権を認める住民投票条例を定めた自治体の数は、200以上にのぼる。また、定住外国人の地方参政権を求める意見書を採択した地方議会は、すでに半数近くになる。すなわち地域社会においては、「日本国民」対「外国人」という旧来の絶対的二分論を超えて、生活実感に基づく「住民としての率直な意思」が表明されているのである。
しかし、国会においては、外国人参政権法案はこの10年間、継続審議と廃案の繰り返しで、いまだ成立していない。
いっぽう韓国では、2004年、定住外国人の住民投票権を認める住民投票法を定め、06年には政府が「居住外国人支援指針」「居住外国人モデル条例案」を各自治体に示し、07年7月18日からは「在韓外国人処遇基本法」が実施された。
さらに2006年5月31日には、韓国に住む19歳以上の日本人を含む永住外国人が、地方選挙で初めて一票を投じた。これは、アジアでは初めての快挙である。
在韓日本人はこの日、在外邦人として日本の国政選挙権を、外国人住民として韓国の地方選挙権を、同時に行使することができるようになったわけである。ところが、日本で生まれ育った在日コリアンなど永住外国人は、日本での地方選挙権すら保障されていない。このような「非対称」は、早急に是正されなければならない。
在日コリアンなど旧植民地出身者とその子孫に対して地方参政権を保障することは、諸外国の先進的な例を参照するまでもなく、「戦後日本」が果たすべき責務としてある。
さらに、日本に暮らす外国人のうち、在日コリアンなど特別永住者44万人のほか、中国人やブラジル人など一般永住者が、すでに39万人となっている。今後もその数が急増していくことを考えるならば、これら永住外国人に対して地方参政権を保障していくことは、日本の未来にとっても、きわめて重要な課題なのである。
すなわちこの問題は、地域社会を構成する住民すべてによる「地方自治」と「民主主義」を実現するどうか、そして日本が、アジアと世界に向かって「和解」と「共生」というメッセージを送ることができるのかどうか、それを問うているのである。
さまざまな文化をもつ、日本に住むすべての人びとが、これからの日本、21世紀の世界を、地域社会から共に構想し、協働していく時、私たちは「多民族・多文化社会」の豊かさを、本当に獲得することができるだろう。そのための第一歩が、外国人住民の地方参政権の実現なのである。
私たちは、日本の国会においてそれが一日も早く実現することを願い、強く求める。