声明・申し入れ、2007年

2007年09月14日

文部科学省による「沖縄戦の歴史歪曲を許さない」アピール

「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!全国集会」参加者一同

 2007年3月30日に公表された高校歴史教科書の検定結果によると、文部科学省は沖縄戦における日本軍の関与について5社、7冊に対し「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現」として修正を指示し、日本軍による強制・誘導等の表現を削除・修正させた。その結果、日本軍という主語が消され、「追いつめられて『集団自決』した人」とまるで住民が勝手に死んだとも読める教科書が全国の子どもたちの手に渡ろうとしている。

 不当な教科書検定に対し、沖縄県では63団体が主催した教科書検定意見の撤回を求める6.9沖縄県民大会が開催され、6月22日には県議会が、そして6月28日までには全41市町村が意見書を採択するなど、修正撤回を求める怒りの声は県民総意のものとなった。様々な民主団体が繰り返し文科省へ要請を行ってきた。そして、これまで口を閉ざしてきた多くの体験者が、「日本軍の関与」はあったとする自らの体験を語り始めている。しかし、文科省はかたくなに「審議会の決定事項」との一点張りで、沖縄県民の声に真摯に応えようとしていない。このような文部科学省の対応の不誠実さに、沖縄県議会は異例ともいえる同一会期内に2度の意見書を採択するなど、沖縄県民の怒りは頂点に達している。

 しかも、文科省が隠れ蓑とした教科書審議会委員自らが「集団自決」について何ら議論していないどころか文科省主導=教科書調査官より「検定意見」が付されたことが明らかにされている。

 昨年12月の教育基本法改悪に続き「国民投票法案」、「米軍再編推進法」の強行採決など、「戦争できる国民づくり」の動きはますます加速している。6月には、子どもたちに「愛国心」を強制し、教職員を、さらには地方における教育まで国が管理統制できるように、教育関連三法までが改悪成立した。国家が教育に直接介入し「つくる会」と軌を一にしながら検定制度を恣意的に利用し、日本軍にとってあってはならないものとして「南京虐殺や慰安婦問題」とともに、「沖縄戦における住民虐殺や集団自決」を教科書から消し去ろうとしているのである。一連の動きを何としても阻止しなければならない。

 私たちは、未来を担う全国の子どもたちに、このような内容の教科書がわたることを絶対に許すことはできない。

 このような情勢の中、沖縄県では6月9日の県民大会に引き続き9月29日には改めて保革を超え、ともに「教科書検定意見撤回」の一点で県民大会が予定され、5万人以上の結集をめざした島ぐるみの闘いが開始されている。

 私たち平和フォーラムに結集する仲間は、子どもたちの未来を守るためにも今回の検定意見が撤回されるまで、全力で沖縄県民とともに連帯してとりくんでいくことを確認しアピールする。

TOPに戻る