声明・申し入れ、2007年
2007年08月15日
戦争犠牲者追悼、平和を誓う集会誓いの言葉
フォーラム平和・人権・環境代表 江 橋 崇
今年もまた、記念すべきこの日がやってきました。62年前の今日、日本軍は武器を捨てて降伏し、人類の歴史上で最悪の戦争が終わりました。その結果として手にした平和をたいせつに思い、二度と武器を拾い上げて戦うことのないように希望する私たちは、この戦争で犠牲になられたすべての戦没者とそのご遺族の慰霊と慰謝を願い、平和への努力をお誓いするために、この場に集まっております。
昨年の8月15日にも、私たちはこの場で平和への誓いをおこないました。しかし、この一年、世界の情勢は、好転していません。イラク、アフガンでの戦争はますます激しく泥沼化して、多くの犠牲者がでています。隣国の北朝鮮では、ミサイル実験や核実験が強行されています。そして、ほかならぬこの日本において、自衛隊の海外派遣が継続され、核兵器の研究や使用を容認する動きがありました。
また、戦争を引き起こす国際社会の緊張や貧困などの構造的な暴力も解消されていません。私たちは、いまなお大規模な軍備拡張を続ける中国も含めて、北朝鮮、日本と、この東アジアで紛争と戦争の危険性が増していることをとくに憂慮しています。この地域での戦争の犠牲になられた御霊にこのような報告をしなければならないことはまことに残念であります。
だが、同時に、いくつかの希望をお伝えすることもできます。北朝鮮の問題については、各国間の交渉のすえに、解決の方向性が強まりました。東アジアのデタントに向けたシナリオが書きはじめられています。また、日本国内では、さきの参議院選挙をつうじて、原爆容認発言などが厳しく批判され、憲法第9条の改正を政治課題の筆頭に掲げた政権のありかたが圧倒的に否定されました。憲法理念の実現に向けて私たちも前途に希望を見出しています。
ところで、今年の広島市での原爆慰霊祭において、秋葉広島市長は、被爆者に学び、その哲学を学ぶことの重要性を指摘しました。私たちは、心からこの言葉に共感し、賛同しています。悲惨な戦争の体験を風化させず、被害者、犠牲者の哲学に学び、平和への思いを新たにする日が、今日、8月15日です。この思いを胸にして、東アジアにおけるデタント・シナリオに対応して地域の平和を構築し、その中で、日本国憲法の平和主義の理念の実現を求める、市民としての努力をさらに強めることをお誓いします。
私たちの努力が、御霊となられた皆様のさらなる安らぎと、皆様が念願されたご遺族の安らかな生活のために、そして広く、東アジア、世界の人類の平和のために少しでもお役に立てますように、心より祈念しております。どうぞ、お心安らかにお見守りください。