声明・申し入れ、2007年

2007年05月22日

辺野古沖調査への海上自衛隊の投入に対する抗議

フォーラム平和・人権・環境 全国基地問題ネットワーク

 防衛大臣  久間 章生 様 

 防衛省は沖縄県名護市辺野古沖に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を派遣し、5月18日から始まった那覇防衛施設局の委託を受けた民間業者による海域調査に、 海上自衛隊のダイバーを投入しました。 名護市辺野古では、普天間基地の代替施設を建設しようとする防衛省・防衛施設庁・委託民間業者と、反対する地域住民の間での対立が続いています。 政府・民間業者と地域住民が当事者という国内対立に際して、政府が自衛隊を投入したことは、決して許すことができません。 

 衆議院の安全保障委員会で、海上自衛隊による警備活動の可能性を問われた防衛省は、「人命や秩序の維持のための特別な必要がある場合、 総理大臣の承認を得て自衛隊が一種の警察活動はできることになっている(山崎野信之郎運用企画局長)」と答弁し、 海上警備行動の発令の可能性を示唆しました。 海上自衛隊の投入が、単にダイバーによる民間業者への協力だけではなく、反対派住民に対して銃を向ける想定をしていたことを明らかにしたのです。 治安維持のための海上警備行動は、治安出動と同じです。今回の自衛隊の投入は、自衛隊が日本に住む市民を守るための組織ではなく、 安倍政権の意向でどうにでも動く組織であり、在日米軍を守るための組織であることを明らかにしたのです。 

 今後は、陸地で米軍基地の強化や建設に反対する市民に対しても「治安出動」を発令できることになるでしょう。 公共事業に反対する住民運動に対しても、反対行動を阻止するために自衛隊を投入できることになります。 そもそも辺野古沖合での「V字型滑走路」案について、沖縄県は建設の許可をだしていません。今回の調査が違法であることは明らかです。 違法な調査を強行するために自衛隊を投入し、国会での質問に対しても詳細を明らかにしない安倍政権は、もはや民主主義的な政府とはいえません。 
 
 私たちは、沖縄を始めとして北海道・青森・東京・神奈川・山口など、米軍基地や自衛隊基地があり、 米軍再編の対象となっている全国各地で反対運動をしています。 私たちの前に自衛隊が投入される事態になれば、例え自衛隊が銃を持って武装していたとしても、断固として自衛隊と対決するでしょう。 私たちは防衛省に対して強く抗議するとともに、以下のことを求めます。 
 
1. 今回の調査の、法的な根拠を明らかにしてください。
2. 自衛隊が委託民間業者の調査に参加した、法的な根拠を明らかにしてください。
3. 自衛隊の投入に知事や名護市長は反対しています。どのようにお考えか明らかにしてください。
4. 住民の座り込みや海上行動などの反対運動に対して、どのようにお考えか明らかにしてください。
5. 米軍再編が進行し、各地で反対運動が強まった場合、自衛隊が投入される可能性があるのかどうかを、明らかにしてください。
6. 辺野古沖での新基地建設に対して、沖縄県知事や名護市長は計画変更を求めています。また厚木基地から岩国基地への空母艦載機移転、 キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部移転などに対して、地元自治体の議会や首長は反対を表明しています。 自治体の反対に対して、どのように対応するのかを明らかにしてください。
以上

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