声明・申し入れ、2006年
2006年11月10日
麻生太郎外務大臣の罷免を求める要請
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
内閣総理大臣 安倍晋三 様
10月9日の朝鮮民主主義人民共和国による核実験以来、麻生太郎外務大臣、中川昭一・自民党政調会長、の核保有論議が執拗に繰り返されている。 麻生外務大臣は、「隣の国が(核兵器を)持つことになった時に、(日本が核武装の是非を)検討するのもだめ、 意見の交換もだめというのは一つの考え方とは思うが、議論しておくのも大事なことだ」と発言し、 中川政調会長も「憲法でも核保有(核武装)は禁止されていない。核があることで攻められる可能性が低くなる。 やればやり返すという論理はあり得る。当然、議論があってもいい」などと発言した。 その後も「北朝鮮はまともな国ではない。われわれも核の議論が必要だ」などと繰り返している。
すでに首相自ら「非核三原則の堅持」としているにもかかわらず、「言論の自由」を持ち出してまで提起にこだわる姿は異常である。 我が国は、被爆国として、また国是として「非核三原則」を掲げている。さらにNPTやCTBTなど国際条約の遵守と核軍縮決議を毎年国連総会で提案している。 そのような流れを承知の上での発言は問題であり、ましてや外交のトップにたつ麻生外務大臣の「核保有論議」発言は、 周辺諸国に誤ったメッセージを送るものである。日本の外交責任者と政治家としての資質が問われている。
首相は「非核三原則の堅持」を表明してはいるものの、核保有論議自体には「政府、党の正規機関での議論はない。それ以外では封殺できない」と、 野放しの状態である。それによって核をめぐる論議が大手を振ってできるかのような印象を与えている。 さらにそれを放置する首相の資質も問われているものである。
日本の外交責任者である麻生外務大臣の繰り返される問題発言は、被爆者の願いや気持ちを踏みにじるものであり、 日本の安全保障にとっても大きな障害になるだけである。首相自身も「現行憲法は核保有を禁じていない」との発言した過去もあり、 このまま黙認をつづければこれに同調する者と見られる。これでは世界に向けて核廃絶を訴えるリーダーシップを発揮することはできない。 むしろ周辺諸国に不快感と警戒感を与え、東北アジア地域を不安定にさらすだけである。
先に、野党4党が共同で、麻生外務大臣の罷免を求めたことは当然で、私たちも、 執拗に核保有論議を起こそうとする麻生外務大臣に対して罷免を強く求めるものである。
その上で私たちは引き続き平和と核軍縮をめざして取り組みを強化していく決意である。