ニュースペーパー
2021年04月01日
むつ中間貯蔵施設の共用化は絶対許さない!
核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会 事務局長 栗橋 伸夫
当会は青森県むつ市に使用済み核燃料の中間貯蔵施設構想が浮上した直後の2000年9月に設立した同施設に反対するむつ市民で構成する団体です。この間、一貫して「中間貯蔵施設」とは名ばかりで実際は永久貯蔵施設になることは必至であるとして施設の建設、操業に反対しています。50年前からの原子力船むつの問題を端を発する下北半島原子力基地化構想の行きつく先としての「核のゴミ捨て場」は断じて許さないとの思いで立ち上げ、はや20年を超えました。
2003年には当時のむつ市民有権者4万人の15%にあたる6千人を超える署名を集めて住民投票条例の制定を求めましたが市議会では否決された経過があります。結局は2005年10月に本施設の立地協定が当むつ市、青森県、東京電力、日本原子力発電の四者で結ばれ今日に至っています。
しかし、ご承知の通り、「高速増殖炉もんじゅ」の廃炉、第2再処理工場計画の消滅、さらには3・11福島原発事故など使用済み核燃料を巡る問題は大きな転換期を迎えています。こうした中、私たちは前提条件が大きく変わっている今日、むつ市に対してあらためて、本施設の稼働について市民へ問うべきだと幾度も申し入れをしています。
関西電力が「核のゴミ」持ち込みを画策
とりわけ2020年は大きな課題が突き付けられた1年でした。3月上旬にはむつ市が住民の意見を求めることもなく「核燃料新税条例」を市議会へ上程、下旬には異例のスピードで成立させました。また、9月には原子力規制委員会が施設の審査合格を示しました。しかも、その際に更田規制委員長は記者会見で協定上の保管期限50年後の搬出先がないことや、キャスクの保安管理の仕組みの不明瞭性などを指摘したうえでの合格という不可解な対応でした。そして、12月にはむつ施設の共同利用構想が大々的に報じられました。
2018年1月には立地協定とは全く関係ない関西電力がむつ施設へ福井県の原発の使用済み核燃料搬入を目論んでいるとの報道があり、私たちは驚きもありましたが一面では「やっぱり」という思いもありました。そして2020年末12月18日には電事連が経産省をともない、この施設の全国電力会社の供用化案なるものを本県、当市へ提案すべく来訪しました。
これに対して地元では「断じて認められない」「何の権限があって協定当事者でもない電事連、経産省が口を挟むのか」との声が、私たち反対住民はもとより、この施設を容認している多くの市議会議員からも大きく上がっています。さらに今月に入り、関電や福井県知事の発言が報じられるに至り、むつ市長もたびたび声明やコメントを発表するなどこうしたやり方に強く憤っています。市当局としても今日まで市民へ説明してきたことが覆されることへの懸念が滲み出ている対応です。まさに一民間企業の都合による自社保身のための姑息な対応に当市が引き合いに出されることは言語道断であり、迷惑千万でしかありません。
また、むつ市長がかなりアクティブに対応しているのに比して青森県知事は傍観するかのような態度でしかありません。本施設の立地協定の一当事者としてこうした態度は許せません。青森県が立地協定に踏み切った背景にある2005年にこの問題に限定して開催された青森県議会議員全員協議会で列席した当時の東電社長兼電事連会長の勝俣恒久氏は、自民党議員の質問に対し『本施設には2社(東電、日本原電)以外の使用済み燃料搬入は絶対にありません。』と明言し、こうしたことが協定締結の遠因となっていることは明白です。こうした点からも県知事としてもっと毅然と対応すべきであったと考えています。
青森県を核のゴミ捨て場にはさせない!
私たちの会も多くの仲間と共にこの問題については青森県知事やむつ市長へ申入書を提出しながら、様ざまな機会をとらえて市民へ訴えています。この共用問題は青森県を核のゴミ捨て場にしようとする意図であることはもとより、単に当むつ市だけの問題ではなく全国の老朽化原発の再稼働に道を開き、結果として全国の原発立地地域の住民を一層危険に晒すことに加担することになることを強く訴え、そうした観点からも青森県やむつ市への共用化を認めないよう申し入れています。
今後、地元経済界などが現在、「核燃料新税」の課税方式や税率などで事業者と市当局との交渉が難航していることなどを引き合いに共用化問題を取引材料とすることなどが断じて行われないよう厳しく監視していきます。全国の仲間と共に闘いを強め、協定当事者の東電、日本原電の使用済み核燃料の搬入にも当然、断固として反対していきますが喫緊の課題として、電事連、経産省がこの共用化計画を断念させるために全力を尽くす決意です。(くりはし のぶお)