ニュースペーパー

2020年09月01日

組合活動禁止の保釈条件をいますぐ取り消せ

全日本建設運輸連隊労働組合 小谷野 毅 書記長

「関西生コン事件」で逮捕、長期勾留されていた武建一さん(全日建関西地区生コン支部委員長)が5月29日、湯川裕司さん(同副委員長)が6月1日に保釈された。2人の保釈のためにご協力・ご支援いただいた平和フォーラム関係者のみなさまのご尽力に、紙面を借りて改めて心から御礼申し上げたい。

2人が最初に逮捕されたのは2018年8月28日。それから1年あまりのうちに、武委員長は計6回、湯川副委員長は計8回もくりかえし逮捕され、有罪とされたわけでもないのに2年近くも勾留されていた。絵に描いたような「人質司法」である。

これでのべ81人に及んだ逮捕者の全員が保釈されたことになる。しかし、保釈で権力弾圧が終息した訳ではない。わかりやすく言えば、2018年7月に最初の逮捕者が出てから武、湯川の保釈までが第1ラウンド。息つく間もなく第2ラウンドがはじまっているのが現状なのだ。

当たり前の組合活動すらさせない裁判所

なぜか。保釈されたとはいえ、2人が以前とおなじように自由に組合活動ができるようになったわけではないからだ。関西地区生コン支部のみならず、これまで労働組合運動でおきた弾圧事件では、保釈されたのちに勾留されていた仲間を囲んで組合事務所で慰労会を開き、明日からまたがんばっていこうと気勢をあげたものだ。しかし、今回はそれができない。裁判所が付けた保釈許可条件には、①組合事務所に立ち入ってならない、②組合員同士の面会、電話、メールなど一切の接触を禁止するなどの指定条件がふくまれているからだ。要するに「組合活動禁止」が保釈許可条件とされているのである。

この異様な条件を付けられているのは今回保釈された武、湯川の2人だけではない。これまで保釈された10人以上の支部執行委員や組合員がおなじような条件をつけられている。委員長をはじめ多数の組合役員が組合事務所に立ち入れず、相互に会えないし連絡をとってもいけない。執行委員会や中央委員会などの機関会議に出席することもできない。そんな通常の組織運営すらままならない事態、たとえていえば関西地区生コン支部は「戒厳令下」に置かれているといっても過言ではない。

このような団結権と人権を侵害する条件が憲法違反であることは明白だが、それは同時に、ILO(国際労働機関)の結社の自由委員会が下した次のような先例法理にもあきらかに反するものである。

「その人の属する労働組組合が活動し、またはその人が通常の労働組合活動を行っている区域への立入禁止を伴って、人の移動の自由を限られた区域に制限することは、結社の自由の正常な享受、及び労働組合活動を行う権利の行使に合致しない。」

戦後類をみない異常な逮捕劇のくりかえし、長期勾留、そして、この保釈許可条件は、一連の権力弾圧の目的が、鎌田慧さんの表現をかりれば「労組壊滅作戦」にほかならないことをあらためて示している。

国賠訴訟で国の責任追及へ

この保釈許可条件を取り消させることが当面の重点課題。平和フォーラム各地方組織のみなさまにもご協力いただいて、7月以降、関係する裁判所に対する要請署名活動にとりくんでいる。全日建中央本部、関西地区生コン支部ほか組合員3人の5者が原告となり、国(裁判所と検察)、滋賀県、京都府、和歌山県の4者を相手取って、2020年3月に提訴した国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が8月21日に開かれる。この国賠訴訟では、この保釈条件を付けた裁判所の憲法違反の行為をはじめ、逮捕された組合員や家族に組合脱退を迫った警察や検察の違法捜査、640日に及ぶ恣意的な長期勾留の責任などの真相を明らかにし、その責任を追及することになる。

国賠訴訟のねらいを描くパンフレット『あたりまえの組合活動で逮捕されたから、国を訴えた件 ~マンガでわかる関西生コン事件・国家賠償訴訟編~』を作成した。売上げは国賠訴訟の裁判費用に充てられるので、宣伝に使っていただけるようお願いしたい。
(A5判16ページ、頒価200円)
*お問い合わせは以下にメール(sien.kansai@gmail.com)またはFAXでお願いします。(こやの たけし)

「関西生コンを支援する会」
101-0062千代田区神田駿河台3-2-11連合会館 平和フォーラム気付/FAX 03-5289-8223

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