WE INSIST!、ニュースペーパー
2021年03月01日
五輪憲章を理解しないIOC 東京五輪中止の決断を!
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東京五輪は、1年延期となったが、しかし、その原因である新型コロナウイルス感染症の拡大は、全世界で止まらない。止まらない中で、IOCおよび東京五輪パラリンピック組織委員会(森喜朗会長)はともにオリンピックは延期されないとしている。市民感覚とは大きなずれがあるのではないか。そう思わざるを得ない。森喜朗会長の「どんなことがあっても五輪をやります」などの言葉に、ロンブーの田村淳さんが「強引に五輪をやって、誰が幸せになるのだろう」と述べて、犬山市観光大使として走るはずの聖火リレーを辞退したと報じられた。オリンピック開催に反対する声は少なくない。近年、巨大化したIOCは、モンスター企業化してはいないか。そのために、オリンピックの意義を忘れてはいないか。東京パラ五輪陸上代表の伊藤智也選手は「人命の犠牲の上に行われるのであれば、やるべきではない」と述べている。東京五輪バトミントン代表の奥原希望選手は「五輪開催には、スポーツを心から楽しめる状況が欠かせない」「五輪がほかの大会と違うのは、『平和の祭典』であり、文化や言葉の違いを超え、世界が一つになれる場所ということ。新型コロナで苦しんでいる人や、参加できない国があるなか開催するのは違うのかな、と思います」と述べている。
オリンピック憲章は、オリンピズムの根本原則において、その目的を「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進をめざすために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」としている。人間の尊厳の保持に重きを置くならば、コロナ禍の中の「開催断念」を、勇気を持って決断すべきではないか。
この間、平和フォーラムはIOC理事に対して、オリンピックを開催する東京都知事の朝鮮人差別発言と行動を問題に、解決のためにはたらきかけてきた。がしかし、反応はほんの一部にとどまっている。憲章はIOCの使命と役割として、「オリンピック・ムーブメントに影響を及ぼす、いかなる形態の差別にも反対し、行動する」と定めている。がしかし、差別に言及する声は聞かない。このコラムを構想している最中、森会長の女性差別発言が出た。反発は大きく、ボランティアの辞退や辞任要求に及んでいる。がしかし、IOCは「森会長は発言について謝罪した。これでIOCはこの問題は終了と考えている」とした。IOCが女性差別を容認するなら、五輪開催の資格はない。(藤本 泰成)