2020年、WE INSIST!
2020年03月01日
弱き者とともに涙しよう 弱き者と共に生きよう!
~どれだけ叫べばいいのだろう/奪われ続けた声がある/聞こえるかい?聞いているかい?/怒りが今また声となる/ソリヨモヨラノエヨオノラ/声よ集まれ歌となれ/トンムヨモヨラノレプルジャ/声を合わせようともに歌おう~
文科省前にこの歌が木霊する。棘のない、若い、澄み切った声が、しかし、心を揺さぶり、心に突き刺さる。歌の真実が、鋭い針となって胸をつく。朝鮮高校の授業料無償化措置からの排除に立ち上がった在日朝鮮人の若人は、毎週金曜日に文科省前で抗議の声を上げ、歌い続けてきた。2020年2月21日で、200回を数えた。
毎週の金曜日、歌を聴き、在日朝鮮人の若人の叫びを聞いてきた文科省の職員は、心は揺れないか、痛まないか。聞いてみたい。ある朝大生は「差別とのたたかいは、時には辛くやりきれない。しかし、この場所に立つことによって私たちは強くなる」と語った。強くなった分、しかし、その心の傷は深い。
安倍首相は、政権奪還の直後の2013年2月20日、文科省令を改定して朝鮮高校だけを授業料無償化から排除した。あからさまの差別は、日本で生まれた朝鮮高校の生徒を、どれだけ傷付けたか。自身の故郷を知り、言葉を覚え、自身のアイデンティティーを確認する民族教育は、権利だ。「どんな場所でも、自身の民族性を守り、愛することは、誰かに拘束されるべき事ではない」昨年、文科省前にたった韓国の教職員組合の統一委員長チョ・キョンソンさんは、そう述べて差別撤廃を訴えた。
イラン出身のタレント、サヘル・ローズさんの話しを聞いた。母子家庭の貧しい中で、明日の授業に使うバラの花を買った。やっと買ってもらったそのバラは、いじめっ子の足の下で潰れた。バラの花を持たないローズに、理科の教員は「君は授業に出る資格がない」と言った。理解者だと思っていた教員から投げつけられた言葉は、どれだけのものだったか。彼女は、三千人の前で、泣きながら語った。この話に涙しない人がいただろうか。
差別があるから、差別されることの恐怖がある。そして、人は差別する側に回る。権力は、自らの存在のために、差別をつくり出し、差別をあおる。だからこそ、安倍首相の心は、真実で揺さぶられることはない。被差別者の声に、揺さぶられることはないのだ。日本人よ、弱き者でいよう、弱き者とともに生きよう、弱き者とともに涙しよう!日本社会は、そのことでしか救われない。
(藤本泰成)