2019年、WE INSIST!
2019年03月01日
政治に、社会に、優しさと思いやりを!
競泳の女子選手、来年の東京オリンピックでメダルが期待される池江璃花子さんが、自身のツイッターで白血病と診断されたことを告白した。「私自身、未だ信じられず、混乱している状況です。ですが、しっかりと治療すれば完治する病気でもあります。」と今の心情を語りながら、最後に「さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。」との決意を語っている。記録を次々に塗り替えてきた彼女にとって、ことの衝撃がいかなるものか想像に難くない。白血病を克服してきた多くの人々から、そして仲間から激励の言葉が贈られている。どれだけ励ましになるかと思う。
一方で、桜田義孝五輪担当大臣の発言が問題となっている。「早く治療に専念して頑張ってもらいたい。」と言いながら、一方で「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手ですから、本当にがっかりしています。」と述べた。選手を駒としか見ていないなどとの批判が広がっている。オリンピックは「国威発揚の場」ではない。オリンピック憲章を桜田大臣は読んでいないと答えているが、憲章の精神を理解しているならこのような発言はなかったのか。そのような理解とは別に、他人の病を病とも思わぬ冷酷な感情しか持ち合わせないのか。どちらにしろ、大臣失格、政治家失格と言わざるを得ない。
これまでも様々な失言があったが、責任をとった閣僚や政治家は皆無、口にした言葉に責任を負うことなく撤回すればいいものと思っている。失言によってどれだけ傷ついた人がいるのだろうか。
安倍首相は、入管法改正の国会議論の中で、技能実習生が69人も亡くなっていたという衝撃的な事実に関して、「存じ上げないので、お答えのしようがない。」と他人事のように答えている。今だけ、金だけ、自分だけ、そして仲間だけの政治が広がって、ひとり一人の命の尊厳がないがしろにされている。
政治だけではない。私たち自身も自らを考えなければならない。問題の背景は、日本社会の全体の人権意識の希薄さにあるのではないか。相模原障害者施設殺傷事件の時、反貧困ネットワーク副代表で作家の雨宮処凛さんはこう書いた。「軽く扱われているのは障害者の命だけではない。『健常者』だって過労死するまで働かされ、心を病むまでこき使われ、いらなくなったら使い捨てられる。その果てに路上にまで追いやられた人を見る人々の視線は、優しいとは言い難い。」
(藤本泰成)