2012年、WE INSIST!

2012年10月01日

明るい、ナショナル!─中国反日デモを思う─

「明る~いナショナル 明る~いナショナル……… な~んでも ナショ~ナ~ル~」というCMソングがあった。「水戸黄門」や「大岡越前」「江戸を斬る」など今は少なくなった時代劇中心の「ナショナル劇場」の初めに聞こえた歌で、私たちの世代には懐かしい。ナショナルとはご存じ松下幸之助創業の松下電器(現・パナソニック)のことだ。

ナショナルと歌っている分には懐かしいが、今、この言葉の意味が問われようとしている。尖閣諸島の国有化が決定して以来、中国では反日デモが大規模化している。中国に進出しているジャスコや平和堂などの大型店舗もデモ隊のターゲットになっている。日本車が狙われ破壊されている。日本国内では、政治家のナショナリズムをあおる発言が相次いでいる。尖閣に上陸した軽薄な地方政治家もいる。「海に落ちて必死に泳いだら上陸してしまった」と議会で答弁した者もいるらしい。

そもそも尖閣問題は、日中両国が棚上げをしてきた課題であり、それだけに双方に困難な課題との認識があった。そのことを持ち出して将来の展望無く政治課題にした石原慎太郎東京都知事は、中国での日本企業の損害への責任がある。「尖閣問題など領土問題には特定の立場はとらない」とクリントン米国務長官が表明している。にもかかわらず、自民党総裁選で安倍晋三元首相は「尖閣問題を見れば、集団的自衛権の行使は必要だ」と発言している。集団的自衛権のパートナーの米国が「中立」を表明しているにもかかわらずである。「開いた口がふさがらない」とはこのことだ。日本維新の会の橋下徹代表も「権利があれば使うのは当然」と発言した。何時どのように使うのか聞いてみたい。

松下政経塾出身の議員の皆さんの多くも「ナショ~ナ~リズム」が好みらしい。パナソニック青島工場は放火され操業停止に追い込まれている。パナソニックの副社長は「中国の近代化の発展にできる限りのことをしてきたが、歴史を知らない一部の方が被害をもたらすのは大変残念」と述べたとされているが、そのような言葉が通用するわけはない。「あなたこそ日中間の歴史を知らない」と返されるだろう。中国の暴徒化した反日デモを容認はしないが、日本の政治家の稚拙さにはあきれる。松下幸之助はどう思っているのか、聞いてみたい。

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