2010年、WE INSIST!
2010年02月01日
歴史を乗り越えるために
2010年が明けた。今年は、新日米安保条約締結から50年、日本の植民地支配の象徴である韓国併合条約締結から100年、節目の年となっている。この年のはじめに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府は、朝鮮労働党機関紙などを通じて、米国との関係改善のため、対話と交渉を通じて平和と非核化を実現しようとする姿勢を示した。11日の報道では、朝鮮戦争当事国に平和協定締結を呼びかけ、現在の制裁解除を条件に6ヵ国協議への復帰も表明した。対話での交渉を求める姿勢を、私たちは歓迎しなくてはならない。
昨年12月4日、京都朝鮮第一初級学校に学ぶ在日コリアンの子どもたちに対する差別事件が起きた。これは、アジア侵略の歴史を総括してこなかったことの発露であり、私たちは、その現実を解決しなくてはならない責任を負っている。逆に、年明けの5日、花園ラグビー場で行われた全国高校ラグビーで準決勝まで勝ちのぼった大阪朝鮮高校の活躍と、彼らと対戦した高校生のお互いのさわやかな姿は印象的だった。互いの不幸な歴史を乗り越えて、新しい日朝関係と歴史がつくられていく可能性を、若い世代に見せつけられたような気がした。
鳩山連立内閣は、東アジア共同体構想を掲げ、米国一辺倒の外交姿勢を修正しようとしている。日朝両国が、良好な関係性を保ち相互互恵の経済関係をつくっていくことの重要性は誰しも否定できない。旧政権下では、従軍慰安婦の否定や靖国参拝、侵略戦争の美化が繰り返された。しかし、侵略の歴史を誰も変えることはできない。まさに今、侵略戦争と植民地支配を総括し、その反省に立って新しい関係を構築する真摯な努力が、日本にこそ求められている。
まず、私たちは、新たな歴史の一歩を進めて行くために、北朝鮮が発する対話への意欲に積極的に応えなくてはならない。いや、私たちには応えなければならない責任がある。日朝間に横たわる多くの悲しみを乗り越える努力を開始すべきだ。