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「美しい国」とは何か
過日、全国町村会が「日本人よ、故郷をなくしてどこへいくのですか」という新聞広告を出した。内容はこうだ。「農山漁村は、日本の原風景、日本人の心の原点だ。そこが、危機に瀕している。かけがえのない価値を認識して、後世に引き継がなくてはならない。平成の合併で、多くの愛されてきた町村名が消えた。効率だけを追求し、市場主義に偏った制度改革で突き進んだら、もう後戻りはできない。ふるさとを失うことは、日本を、日本人のアイデンティティーを失うこと」。
自・公連立政権は、この間、新市場主義で突き進んだ。突然の辞任でひんしゅくをかった安倍晋三元首相は、華々しく登場したとき「美しい国 日本」という公約を掲げた。戦後の民主主義と憲法を、戦後レジームと断罪しその脱却をめざすとして、まず初めに、戦後民主主義教育を支えた教育基本法を改悪した。公共の精神を柱とする偏狭な国家主義と競争主義を教育に持ち込もうとした。小泉首相から安倍首相への時代へ、効率と能力と競争が、社会を支えるとされた。
その「国のあり方」が問題にされ、政権交代が実現した。「美しい国」は、決して今の日本ではなかった。新しい時代に、新しい「国のあり方」が問われている。それは、例えば、勝ち組と負け組に人間を分ける社会ではない。途上国を飢餓の危機にさらしながら、飽食を続ける社会ではない。外国人をあたかも犯罪者のように扱う差別社会ではない。気に入らないものを、武力で威嚇する社会ではない。
「ではない」社会であれば、「である」社会はどのような形なのか。故郷を、日本の原風景を美しいと感じるのは、その中にゆったりとした心の、時間の流れを感じ、安心して受け入れることのできる空間が存在するからではないか。私たちが「美しい」と感じる「国のあり方」を、真剣に議論すべきときがきている。
(藤本)
※「WE INSIST!」はプロパガンダJAZZの旗手、マックス・ローチのアルバム名。
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