再稼働許すな!2.11さようなら原発1000万人アクション全国一斉行動in東京
1万2000人が参加し全原発の廃炉を求める

●日時 2012年2月11日
●集会 東京 代々木公園


集会の舞台となった、代々木公園音楽堂。

(はじめに)
 原水禁などで作る「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」は2月11日に東京・代々木公園で、「再稼働許すな!2.11さようなら原発1000万人アクション全国一斉行動in東京」を開催しました。集会には多くの個人参加の方をはじめ、反原発にとりくむ市民団体や、平和フォーラム・原水禁加盟の労働組合など約1万2000人が参加しました。
 集会では、呼びかけ人から大江健三郎さん、澤地久江さん、落合恵子さん、福島から永山信義さん(福島県平和フォーラム)、増子理香さん(つながろう!放射能から避難したママネット@東京)、菅野正寿さん(福島県有機農業ネットワーク)、俳優の山本太郎さん、タレントの藤波心さんが発言しました。
 集会終了後、参加者は「さようなら原発」「再稼働反対」を訴えて、渋谷の街でデモ行進を行いました。
 以下に集会での発言内容を記載します。ご覧ください。


●大江健三郎さん(呼びかけ人)

大江健三郎でございます。
昨年9月19日に、「さようなら原発集会」を開きました。6万人の方が集まって下さいました。みなさん、よくいらっしゃっていただきました。
 そこで福島から参加された一人の女性が、こう話をされたことを覚えていらっしゃると思います。
 「私たちはいま静かに怒りを燃やす東北の鬼です」。
 東北の農民の方たち、漁民の方たちは、長い苦しみの歴史を経験してこられました。そうして近代以前も、近代になってからも、民衆の怒りの表現は様々にありました。昔の歴史から、古代史から、民衆の抵抗の歴史は描かれています。
 そうして時が経つにつれて、怒りや悲しみは静まって、東北の人達はあの美しい民謡の音楽を作られました。また楽しく生き生きとしたリズムの踊りを作られました。
 その歌の意味をよく聞くと、またダンス、踊りを目で追ってみると、やはり抵抗の言葉、怒りの言葉を聞き取ることができるのです。私たちのよく知っている宮沢賢二の詩は、そういう人たちの言葉のリズムを生かしていると、私は考えております。
 それがいま、改めて大きな悲しみとして、また怒りとして、蘇ってまいりました。
 「私たちは静かに怒りを燃やす東北の鬼です」という声を直接聞いて、またそれを活字で読んで、それをお互いに語り伝えて、そしてここに参りました。
 あの声を、私たちの声として生かしていくことにしたい、それが私たちの願いです。
             ◆     ◆     ◆
 いま福島の大事故の分析、報告が進んでいます。そして私たちは、原発がどれだけ大きい最悪なのか、その危険は将来につながるものとして、いつまでも、いつまでも残るものだということを知っています。
 原発が毎日作り出している核廃棄物は、これから30年、40年、さらにもっと長く、積み重なっていきます。地下深くに埋めるといいますが、日本の国土は、あの死をもたらす世界中のプレートが集まっているところです。それから活断層の網の目のようなものが、私たちの国を覆っています。地震はいつ始まるかわかりません。
 最近も、東京では7年間で、あるいは40年間で、確率において70パーセント、あるいは40パーセントの大地震が起こるという報道がありました。それについて私どもは、非常に大きいショックを受けています。ところが50年の視野で見れば、確率は限りなく100パーセントに近づくのではないでしょうか。60年、70年で見ればなおさらです。
 その時、もう私はいないでしょう。しかし例えば私の孫の世代に、幼稚園の女の子に、この大きな核廃棄物を、そのまま残さなければならないのです。それを処理する方法は、70年後にはまだ発見されていないだろうというのが、良心的な学者さんたちの考えです。
 これは私達人間が、決してやってはならないことです。そしてこの数万年の間に、私たちがやらなかったことであります。人類が全て滅びるようなものをそのまま置いておくということを、私たちがいま、初めてやっているのです。それはいままで人間がやらなかった最悪のこと、最も悪いことではないでしょうか。それはつまり人間としての倫理、モラルの根本に反するものだと、私たちは考えなければならないと思います。
 ドイツでは原発を廃止する必要があると、優れた多分野の学者たちが提案しました。そうして彼らは見事な報告書を作りました。あの委員会が、ドイツ倫理委員会です。
 ドイツ倫理委員会が、ドイツの人間、将来の人間、そしてヨーロッパ全体、世界の人間が、やってはならないこと、なによりも緊急にやらなければならないことを、すなわち倫理の問題として、原発を取り上げたのです。それをメルケル首相は受け入れました。議会はそれを通しました。そうしてドイツは大きな一歩を踏み出したわけです。
               ◆     ◆     ◆
 私達がいま日本で核廃棄物の、原発を動かせば毎日出てくる核廃棄物の始末もできないまま、それを持っているのです。私たちは既によく知っていますが、爆発の危機に陥っていた発電所の大きな水槽に入っている、ウランとプルトニウムの塊があるのです。1350トンという大きな量です。あれをもったまま、私たちは原発を持っているのです。
 しかもその原発を、私たち民衆の参加のない、政府の、専門家の、あるいは東電の関係者たちの委員会が協議して、今止めている原発を、もう一度活動させようとしています。そうなれば、それが作り出す核廃棄物は増大するままです。もし事故が起こったならば、この国に、この地震の危険に満ちた国に、もう一度事故が起こったならば、私たちはこの国を、あるいはこの国人を、保っていくことはできないかもしれません。
 ところが政治家も実業家も官僚も、そして多くの人達が、この原発のうやむやな再開を認めようとしている。こういう時に、こういう日本人が、大きな危機の前に、うやむやにされようとしているときに、私たちは抵抗しなければなりません。抵抗とはなにかというと、どのような抵抗ができるかというと、これは倫理なのだ、日本人が原発を全廃することは倫理であり、それは他のいかなる価値、経済的な価値とか、政治的な価値とか、国力とか、そうした価値を越えて、根本的に一番重要な倫理である、それを守り抜こうではありませんか。そういうことです。
 私達はいま、もし希望が明らかにあるとすれば、いま現在はまだ原発を止めたままである、再稼働を行おうとしているけれども、それへの抵抗が起こっているということです。
 私達は、いまのうちは、子どもたちにこういうことができます。日本人は、私達は、原発を止めるのだ、それを決意したのだと。子どもたちに、なぜ私たちがそうするのかというと、人間らしさの中で一番重要なことだからです。
 小学校で、中学校で、教室で、先生が子どもたちに、私たちは原発をやめました、もうこの国に原発はない、恐ろしい原発の廃棄物に悩むこともない、苦しいかもしれないけれども、停電があるかもしれないけれども、それを越えて、生きていくことができると、先生方が言えると思います。
 原発をやめるということを、私たちは決意して、それを実行に移さなければなりません。それが、私たちがはっきりと子どもたちに言える希望の証です。
 そして、あの東北の静かに怒りを燃やす女性の方も、その仲間の方々も、生き生きした優しい人間にも戻っていただくことができるでしょう。
 そしてわたしは呼びかけ人として、そういう苦しみの中で、困難の中で、鬼にならなくても生きていくことができる、子どもたちはまさにそうだということを、ここで確認しあいたいと思います。


●澤地久枝さん(呼びかけ人)


 こんにちは、澤地久枝です。
 寒いですね。去年の11月24日に出先で体調を崩してそのまま入院しました。今日も家族に隠れて来たつもりですが、どこかでばれるでしょう。こんなにひどい寒さの中を皆さんよくいらしてくださったと思います。
 もうじきあの日から一年がやってきます。あの政府や役所というものはなんで非人間的で無神経なのかと、腹が立って仕方ありません。マスコミだけを見ていると、みんながあきらめて、慣れて、鎮静化してきて、早くも忘れてしまうのではないかという空気をひしひしと感じます。そして、署名も思ったように集まらないという声も聞きます。
 出先で、初めて会う方に「あなたは(さようなら原発1000万人署名の)呼びかけ人ですね」と言われました。署名のために、知らない人に声をかけるのは勇気がいると思いますが、やらなければいけないと私は思います。原発を推進してきた人たちはくり返し、くり返し安全だと言い続けてきたじゃありませんか。しかし、絶対起きてはならないことが現に起きました。

 今、私たち大人が気を付ける。子どもたちに何を食べさせるかということを配慮する。しかし、その先の孫とかひ孫、さらにその先の日本人の命、それから世界中の命。生きとし生けるもの全てですよね。飢え死にしていった牛だとか、犬とか猫とかというもの、原発のあった辺りでは小さな鳥が姿を見せないと言います。全ての命あるものに対して、今私たちは物を言える世代として責任を背負っていると思います。どんなことがあっても、原発は止めなくてはならないと思います。
  検査をしなければならないなど、様々な理由で全部止まりますね。原発ゼロの日が来る。これは私たちがやったことではなく、政府側、東京電力、その他電気関係の業者たちが相談して、日本中から原発が止まる日が一度やってくるということですね。これは手続き上の問題として実現したということではなくて、そこに有権者である私たちがもう原発は絶対に嫌、原発さようならという気持ちを強くアピールしてきたことが、この現実を生んだということを私たちが確認し、同時に政治や企業を動かしている人たちが痛いほど知らなければならないと思います。

 今日みたいな会に、一人でも多くの方々が寒さをおしてやってきてくださるということに、非常に意味があると私は思います。(参加者と一緒に拍手)。本当によくいらしてくださいました。まとまらないことを言いましたけど、でも何とか自信を持って、責任を持って、今の私たちの世代にできること、今差し当たってできることは、ともかく原発を止めるということ。
日本は自分の国で起きた事故も収拾できないくせに、原発のノウハウをよその国に売ろうと一生懸命ですね。でも、そういう無責任なことも許せないと思います。

 新聞を見ていたら、アメリカはスリーマイル島の事故以来、一つも原発を新しくつくらなかったのに、オバマ政権の下で新たに原発の方向を決めました。でも、世界は普通の市民レベルで考えたら多くの人々が原発は嫌なのです。ともかく事故が起きたときにはもう人が住むことができないですし、風も放射能を運んできますね。そういう国籍を超えた人々の意思というものが、結局は政治だとか企業というものを動かしている人を追いつめていると思います。今日の会に意味があったと私は思っています。本当によくいらしてくださいました。


●永山信義さん(福島県平和フォーラム事務局次長)


 皆さんなら何と答えられるでしょうか、小学生からの問いかけがあります。
 「それでも、原発を輸出するのですか?」。
 皆さんがたなら即座に「とんでもないことだ!」と答えられるでありましょう。
 しかし、この原発輸出の問題とともに、再稼動に向けても粛々と進められていると思っております。
 さて、福島県がようやくにして廃炉の態度を明らかにしましたけれども、その矢先に、「時期尚早だ!とんでもない」と抗議をした町長がおります。地方議員選挙で原発推進をぶち上げて、トップ当選を果たした例もあります。残念なことではありますけど、福島原発事故の起こった地元での出来事であります。これら、巻き返しの動きに細心の注意を払う必要があるだろうと思っております。

 次に、マスコミの皆さんにもお願いがあります。先の鉢呂経産大臣が現地を視察した後に「ゴーストタウン」の言葉を使い、辞任に追いやられました。原発事故の経過を見て率直に語ったことが辞任の、クビの原因であるとするならば、その原因をつくった人たち、国やその機関はいったいどうなるのでしょうか。
 安全だ、安全だ、安全だ――念仏のように唱え、湯水のようにカネを使いました。それもそのはず、一部は税金、一部は電気料金として上乗せをして、皆さんから吸い上げたものではありませんか。そうして安全神話をつくりあげ、誘致をされたというかたちを取りながら原発を押しつけ、地震大国である日本に54基もの原発をつくりあげてきた、国とその機関、原子力委員会、安全・保安院、関連のゼネコン、そして今もって「このくらいの放射能は大丈夫」と公言してはばからない専門家の皆々様。この人たちは謝罪をしたでしょうか。反省をしましたか。クビになりましたか。もちろん、首を挿げ替えて済む話ではないことは明らかでありますけど、皆さん、どうお考えになるでしょうか。
 日本は世界に例を見ないほどの経験をしてきました。広島・長崎だけではなく、第五福竜丸、そして「もんじゅ」の事故、JCO。外国での事例ではスリーマイル、チェルノブイリでの事故。そして止めは福島の事故ではないですか。

 あと1ヶ月で1年になろうとしています。避難されている方は15万7000人。そのうち福島県外への避難者は6万1000人といわれています。なかでも帰宅困難者が2万5000人といわれています。福島県の小学生が9540人減少したといわれています。
 私は郡山に住んでおります。郡山を例に言いますと、ホットスポットがあります、隣の学校に転校した例もあります。ささやかな抵抗だと思いますけど、ささやかな努力だと思いますけれども、いま、そういう現状にあるわけです。避難をめぐっても、避難する・しないで対立し、離婚に至った例もあります。また、母と子が郡山から米沢に避難をしました。下の子はすぐ溶け込んで、友達もできました。上の子はなかなか馴染めず、いじめに遭い、帰りたい、帰りたいと言っている。そういう痛ましい話もあります。
 絆、絆と叫んでおりながら、その絆を打ち壊したのはいったい誰でしょうか。
 避難された方々は一様に、戻りたい、帰りたいと言っています。至極当然のことではないでしょうか。国は12月16日、「収束宣言」をいたしました。これで果たして、「収束」と言えるでありましょうか。有機栽培の農家の方が「これでようやく安全安心なキャベツを学校に提供できる」と喜んでいたにもかかわらず、原発事故に遭い、自殺に追いやられました。「原発がなければ」と、自殺された酪農家もあります。形を変えた殺人と言っていいだろうと思います。丹精込めた桃、梨、米、野菜。不検知であっても売れません。いわゆる風評被害です。事故前につくって屋内に保管していたものが出荷できなかった例も報告されています。商業、観光業界も同様です。

 私は叫びたい。あの美しい福島を返せ。ふるさとを返せ。あのささやかな日常を返せ。私たちは福島の地から脱原発を、全国―世界に向けて発信してまいります。「3.11原発いらない! 福島県民大集会」、福島県郡山市、開成山野球場でお会いしましょう!
 ありがとうございました。


●増子理香さん(つながろう、放射能から非難したママネット@東京)

 みなさん、こんにちは。
 「つながろう、放射能から非難したママネット@東京」の増子と申します。
 壇上から僭越でございます。本日は素晴らしい集会にお招きいただきまして心から感謝しております。皆様の脱原発、反原発活動に敬意を表しております。どうぞ引き続き、福島の子どもを守る活動や、政府の心無い対応に物申す行動を一緒につながって活動してくださるとうれしいです。

 私は、福島県三春町から、5月に娘と東京に非難してきたものです。自主的避難者の立場として、一人の母親として、私メッセージで恐縮ですが、ささやかな思いをご拝聴いただければうれしいです。
 私は、黒毛和牛と田んぼと畑をたてる農家に嫁ぎまして、自分だけ農業をするために有機農業JASの認定を受けながらインターネットで全国宅配をしたり、近隣のお宅にお野菜を配達したりしていました。手には鍬の肉刺をつくり、土と肥やしにまみれたとても充実した日々を福島で送っておりました。
 しかし、あの日を境に、私たちの福島は一変しました。国や県から施行される安全宣言とは裏腹に、驚くような数値をしますガイガーカウンターの数字、自主的な非難を決断しなければならず、同居家族の軋轢を抱えたまま、夫を福島に残し、小学生の娘と身を寄せ合って暮らしています。
 4月、小学校に入学した神々しい娘の顔には、白く大きなマスクがありました。文科省から配布された、年間20ミリシーベルト以下は安全だという保護者への便り。地産地消の学校給食、そのとき、娘の学校の校庭は、毎時2.2マイクロシーベルトでした。水道水への不安から、娘に持たせた水筒は、一滴も娘ののどを潤すことなく持ち帰られました。学校の水道水は安全だから、水筒を持ってきては駄目。担任の先生から言われたのです。「ママが水道のお水は危ないから、私一滴も飲まなかったよ。のどが乾いたけど、我慢したよ。」誇らしげに報告する娘がいました。学校と行政。大人の間で翻弄される、この幼いわが子は、自分で自分の命の選択をしたのです。

 私たち、福島県民は、はかない一艘の小船です。さざ波の上をするすると流れていく枯葉の小船です。この手にしっかりと携えていたはずのオールはどこかにながされ、今握りしめているものは、幼いわが子の小さな、小さな手だけです。この子だけでも守りたい、この子に夢と希望のある未来を見せてあげたい。私たちの願いは、人の親であれば、誰でも思うささやかなものです。これ以上、福島の子どもに悲しみを負わせないでほしい。もうこれ以上、生きる希望や夢を奪わないでほしい。福島に残してきた自分と、ここにいる自分が、いつも心の中で叫んでいます。引き裂かれた2つの自分が、いつか1つになれることを夢見て。
 どうか福島から学び、同じ過ちを繰り返さぬよう、私たちは出来ることの限りを尽くしたいと思います。皆様とつながって力を蓄えたい。私たち避難者にも出来ることはあります。避難者で立ち上げた、「つながろう、放射能から非難したママネット@東京」は、福島の子どもを守るため、非難した子どもを守るため、ささやかではありますが、目に見える活動を進めています。皆様、どうぞ一緒につながってください。今日はありがとうございました。
(事実関係に不明確な点があり、一部削除しました。)


●菅野正寿さん(NPO法人福島県有機農業ネットワーク理事長)


 こんにちは。
 私は原発から50キロの福島県二本松市で、米・トマト・麹の加工などをやっています。菅野正寿といいます。よろしくお願いします。
 原発によって、放射能の拡散により、福島の里山、農地、海が、ことごとく汚染されてしまいました。とりわけ私たち有機農業者にとって大事な、落ち葉、藁、堆肥が本当に使えるのか…。地域資源循環型の有機農業が、大きな打撃を受けました。
 子どもたちの命と健康のために、健康な作物、健康な家畜を育んできた有機農業者の苦しみは、ことのほか深刻です。

 津波で家も農地も流されてしまった苦しみ、避難を余儀なくされている苦渋、そして自ら命を絶った多くの農家の人達。私たちはこの苦しみを受け止めて、耕して種をまき、米や野菜を作ってきました。
 その結果、実は、福島県の米や農産物には、予想以上に放射性セシウムが移行しないことがわかってきました。それは福島県の土壌は粘土質が多くて、粘土質プラス有機物が、セシウムをしっかり土に固定化して、米や野菜が吸わないことが、有機農業学会の先生方と私たち農家の検証によって、明らかになってきました。
 夏のきゅうり、トマト、ナスなどは、0から20ベクレル。秋の大根、ニンジン、白菜なども0から30ベクレル。米は95パーセント以上が100ベクレル以下です。
 ただ残念ながら、柿、梅、栗、柚子などの果樹類、あるいはネギ類は、100から150ベクレル以上出てしまいます。きのこ類は、きのこの菌種がセシウムを取り込みやすいということで、高く出てしまいました。
 私たちは農家が自ら、自分の田や畑で検証して、放射能が高く出たもの、低く出たものをちゃんと、1年間の積み上げを、しっかりと消費者の皆さんにお伝えしていきたいとおもいます。

 しかし、わずか0・数パーセントの玄米などから500ベクレル以上が出てしまったために、センセーショナルにマスコミが報道しています。福島の米は食べられないというマスコミの報道に、怒りを持っています。藁の問題、花火大会の中止、すべて福島県民が加害者のようなマスコミの報道に、私は怒りを持っています。
 いま基準値が500から100に下げられようとしています。私は福島の1年間の検証をしっかりと反映する、主食である米や野菜は50ベクレル以下でもいい、ただ出やすいものはでる、そのきめの細かい基準値を、福島の検証を基にして作ってほしいと思っています。
 私たち農家は、自分たちが食べられるのも、孫に食べさせるものを作って、消費者の皆さんに届けてきました。私たちの台所の延長線上が、消費者の台所です。ですから今回の放射能問題でも、私たちが食べられるのも、孫たちが食べられるものを、まず皆さんに届けなければならない。そのためには福島県が、学校給食に地元の野菜を出荷させる、まず福島県の私たちが食べて出荷することが、皆さんへの信頼につながると思います。そのために福島の再生に向けて頑張っていきたいと思います。

 もう一つ。私はいま持続可能な社会、原発にたよらない新しい社会を、農村も、生産者も、消費者も力を合わせて、ともに作っていきたいと思います。林業、漁業、農業という第1次産業が、持続可能な社会であると思います。そのために、皆さんと力を合わせて、いま変えなければならない。いまが時代を変えていく転換点だと思って、ともに持続可能な社会を作ることを強く訴えて、私からのあいさつとします。



ドイツDIE LINKE.党エネルギー政策スポークスマンである連邦議員のドロテー・メンツナーさんもかけつけた


●山本太郎さん(俳優)


 すごい人ですね。わ〜。感動しちゃいますね。いや〜これだけ寒いのに。
 建国記念日ですって。本当にこの国を愛している人たちが、いまここに集まっていますよ。
 普通、こないですよ。普通に大手メディアの流れる情報を信じていれば、ここにはいない。でも、本当のことが見える人たちが、こんなにたくさんいるのですよ。勇気をもらいますよ。本当にありがとう。

 3・11。それからもう1年近く経とうとしているのですよね。すこしは、ましな国になっているのですかね。その自信、なにか手ごたえみたいなものを、皆さん感じていますか。
 電力は余っているのですよ。ウソをつかれているのですよね。僕たち。
 原発54基あるうち、3つだけですよ、動いているの。東電管内は1基だけですって。九州も四国も脱原状態ですよ。余裕なのですよ。それをなぜウソをつくのか。よほど大きな利権構造なのですね。
 でも、あきらめるわけにいかないですよ。命がかかっていますもん。あきらめるのは、あっちですよ。もっともっと、声を上げませんか! もっともっと、怒りませんか! みなさん。
 いま一番必要なことは、やはり大手メディアの情報しか流れてこない、そういう人たちがいまだに無関心であるということです。
 「収束したのでしょう」「放射線は大丈夫なのでしょう。100ミリまで」、平気で聞こえてくるのですよ。おかしいですね。怖い話ですね。
 もちろん、ここに集まっている皆さんは、一生懸命に仲間を増やしていこうとされている方々だと思います。でもそれを、もっとテンポアップしていかないと、間に合わないかもしれません。地震の活動期ですものね。地震、津波の想定、原子力発電所ではデタラメだということが、はっきりしたのですよね。急がないといけませんね。
 もしも次にどこかに大きな地震が来たら、この国は終わってしまいますよね。この国を終わらせるわけにはいきませんよね。再稼働なんてさせるわけにはいかないのですよ。エネルギーは余っているから。
 一刻も早く、高汚染地に住む子どもたち、避難ができるように、避難の権利を、国がさっさとお金を払えと、皆で国会議員のお尻を叩きましょうよ。

 そして放射性廃棄物。びっくりしましたね。バグフィルター付けたら大丈夫だって。大ウソですよ。放射性物質による実証実験、されていなかったのですね。よくそんなことができますね。一体、なにがしたいのか。瓦礫利権を全国にばらまきたいだけですよ。瓦礫の山は、宝の山なのですよね。産廃業者にとっては。
 だったら震災で経済的に圧迫されている、その土地、土地にサイトを作って、そこで処理をして、地元に雇用を生んで、お金を回すようにするべきではないですか。皆さん。どう思われますか。
 いま本当のことを見つめている大人。ここにいる皆さんが、もっともっとテンポアップしていって、本気になっていけば、間に合うかもしれません。
 この国を終わらせないために、もっともっと怒って、もっともっと声を出していきましょうよ。
 よろしくお願いします。
 即時廃炉ですよ。それ以外に選択はない。

 「残り1分」と出ましたけれど、もう少し話をさせてください。
 先ほど、ドイツの方と話をしました。ドイツでは今、福島の東電事故を風化させないために、今日、150の街で大規模なデモ行動が起こっているのですよ。抗議行動をしているのですよ。
 世界中が、僕たちに勇気を与えてくれています。
 事故の当事者である僕たち。もっともっと力を入れて頑張っていきましょうよ。
 世界中が見ていますよ。日本人は何をしているのだと。このままでは、世界を巻き込む事故になってしまいます。ドイツにできて、日本にできない理由なんてないですよ。見せてやりましょうよ。日本人の底力を。頑張っていきましょう。よろしくお願いします。
 そしてもう一つ。世界は見ているといいました。いまアルジャジーラが密着しています。アルジャジーラのカメラマンの方が来ています。どうぞ来てください。
 皆さん、いいですか。アルジャジーラは世界中に流れています。世界中が思っているのです。日本政府のつくウソは、「ウソつきだな」程度にしか思っていません。
 でも日本人は何をしているのだと、日本人はどうして声を上げないのだと、世界中が見ています。このアルジャジーラのカメラを通して、日本人はこのぐらい怒っているのだということを、シュプレヒコールでぜひ、アピールしたいと思います。お願いします。

げんぱつ はんたい!
げんぱつ はんたい!
げんぱつ いらない!
さいかどう させない!
さいかどう はんたい!
こどもを まもれ!
おとなも まもれ!
でんりょく たりてる!
げんぱつ はんたい!
さいかどう はんたい!

がんばっていきましょう! ありがとうございました。


●藤波 心さん(タレント)

 皆さんこんにちは、藤波心です。
 東日本大震災から、あともう少しで1年が経ちます。3.11以降、私の価値観は大きく変わりました。人類の歴史に残るような大きな事故なのに、大したことないことのように見せる国の姿勢や報道。検査も少ししかしていないのに、経済を守るためのゆるすぎる基準。食べて応援しようなんていう、人の命の重さを無視した、無責任な、国を挙げてのキャンペーン。私は、これはすごく怖いことだと思います。日本ってこんな国だったのかと、残念な気持ちになりました。
 いま日本は歴史上大変な危機に瀕していると、私は思います。この狭い国土に、この地震の多い国土に、気がついたら原発を54基も建ててしまっていた。これは繁栄の象徴ではなく、ただの時限爆弾です。もし、また、どこかで、大地震が起きて、別の原発が爆発するようなことがあったら、今度こそ、日本は終わりだと思います。いつ、爆発するかわからない、爆弾と一緒に生活するなんて、私は絶対にいやです。
 美しい山や川、海。歴史ある街。おいしい山の幸や海の幸。もう私たちの国土に、第二の福島をつくっては絶対にいけません。私たちはしょせん、ちっぽけな生き物です。どうやったって、地球の自然には勝てません。科学が発達したからといって、人類が何でもコントロールできると思ったら、大間違いです。自然のなかに生きる私たちは絶対、自然を超えることはできません。こんな地震の多い国に、原発をつくりまくるというのも、自然をばかにした、人類の驕りだと思います。
 私たちは、原発によって支えられていたのではなく、何も知らない私たちが、原発を支えていたのだと思います。よく、経済がだめになるから、原発は必要だと言う人たちがいます。でも、いまの日本は、原発があるから、経済がだめになってしまっているように私には思えます。今こそ、本当の幸せとは何か、豊かさとは何か、考え直すときが来ているのだと思います。
いつも、最後にしわ寄せが来るのは、一般市民や弱い人、子どもたちです。皆さん、ひとりひとりの力は、大きな力に変わります。子どもたちの明るい未来を、そして日本の未来を、守ってください、よろしくお願いします。
最後に、今日は「故郷」を歌って、終わりたいと思います。

(「故郷」歌う)


●落合恵子さん(呼びかけ人)

 みなさん、こんにちは、落合です。
 寒いでしょう、風邪引かないでくださいね。ここにたどり着くまでに、私は迷子になりました。見えているのだけど、たどり着けなかった。けれども、脱原発、反原発は迷子にならず、まっすぐに、まっすぐに、まっすぐに歩いていきましょう。私たちの声は必ず届くはずです。私たちが諦めてしまったとき、この場で地団駄を踏んでしまったとき、私たちの思いは届かなくなるのだ、ということを、私はここで、自分自身と約束するためにお話をさせていただきます。

 先ほど、司会の方からありましたように、呼びかけ人の一人、鎌田さんは、今、新潟上越でお話をされていますが、600人の方が集まって、「さぁ、これから東京のここと一緒に歩き出そう!」 ということでお待ちになっています。
 私たちは「NO」を突きつけましょう。収束をしていない福島第一原発を無理やり「収束」といったあの人に。
 そして、私たちは「NO」を突きつけていきましょう。また同じ事をどこかの国で繰り返すために、原発を輸出しようとしている人達に。
 私たちは「NO」を突きつけていきましょう。命を犯すものに、人生と人権を奪うものに。
 私たちは心から「NO」といって、同時に、私たちが「YES」といえる社会と時代を作っていきましょう。
 命が大切にされる社会、人権が大切にされる社会。誰かの幸せのために誰かが不幸にならない社会。私たちの幸せが、誰かの幸せともつながっていく社会にむけて、一歩一歩歩いていきましょう。
 私たちは、少数派であることを恐れませんよね。いつだって時代の先端を開いてきたのは、少数派なのです。ですから私たちは、誇りある少数派として、歩き続けていきましょう。

 呼びかけ人をやってから、私はなぜか、選挙の応援演説みたいなものが身についてしまっていて、普通のしゃべり方が出来なくなってしまったのですが。
いきますよ。私たちは、平和に向かって、私たちは、反・脱原発に向かって、そして、反・脱原発はこの国が抱えてしまった全ての原発的体質を変えるための一歩でもあるということを、どうか心に刻んでいきましょう。
 お年寄りが、「もう疲れた、お墓に避難します」なんていう社会ではならないはずです。みなさんがおっしゃったように、電気は足りています。何の心配もいりません。
 髪の毛もどんどん怒髪になってきちゃって、皆さん、やりませんかと怒りの髪で天を突いても良いし、地をうるわしても構わないのですが、自分にも言い聞かせましょう。
 私は、次の世代、次の世代、そのまた次の世代に少しでも胸を張って、でもこれまでのことに対して、ごめんなさいを込めて、前を向いて歩いていくのだ。
 どこかの首相は、増税のためにネバー・ネバー・ネバー・ネバーギブアップとおっしゃいましたが、私達の言葉です。ネバー・ネバー・ネバー・ネバー999回、ギブアップです。歩きましょう。さようなら。

*発言要旨は、当日録音したテープを事務局で文章化しました。発言者の校閲は受けていません。文責は事務局にあります。



●舞台側から会場と見ると、こんなかんじです。


●オープニングコンサートは、「the JUMPS」


●司会は、実行委員会の土井登美江さん。


●デモ出発コンサートは、日音協のみなさんです。


●デモ行進。市民の皆さん。


















●デモ行進。労働組合の皆さん。









●写真     : 今井 明
●テープ起こし: 橋本麻由・山本圭介・あべこう一・八木隆次


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