5・15平和行進
琉球新報の記事
琉球新報2012年5月6日
●きょうから平和行進 復帰40年、初の与那国皮切り
第35回「5・15平和行進」(主催・同実行委員会、沖縄平和運動センター)が6日、与那国島からスタートする。沖縄の本土復帰40年の特別企画として、政府が自衛隊配備計画を進める与那国島を、今回初めてコースに組み込み、自衛隊配備の反対を訴える。
平和行進は、本島は11〜13日、宮古島市では12日、石垣市では15日に行われる。
本島のコースは三つに分かれて実施する。名護市辺野古を出発し南下する「東」、読谷村役場を出発し嘉手納基地周辺を歩く「西」、県庁前県民広場を出発し南部の戦跡を巡る「南」の各コース。
13日は、3コースの参加者全員が米軍普天間飛行場に沿って行進した後、午後2時から宜野湾海浜公園屋外劇場で「5・15平和とくらしを守る県民大会」を開く。
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●社説 平和行進開始 本土復帰の内実見つめよう
沖縄が本土に復帰した5月15日の記念日を前に、沖縄の基地重圧と平和を目指す行動の大切さを見つめ直す「5・15平和行進」が6日、与那国島で始まった。
1972年に復帰が実現する前、県民は「基地のない平和な沖縄」を切望した。平和行進には、その悲願を実らせる意思を再確認し、日米政府による沖縄への基地押し付けや、復帰の内実を問う意義が宿っている。
復帰40年を迎える今年は、南西諸島の防衛力強化と称した、陸上自衛隊配備計画が進む与那国島が初めてコースに入った。
100人超の参加者が島内を巡り、陸自配備予定地などで「沖縄に基地はいらない」と気勢を上げた。
「復帰して40年、私たちが住むことで島を守り、隣国と仲良くしてきた。突然、自衛隊を置けば紛争の火種になる」
行進に参加した与那国町在住の女性の言葉を重く受け止めたい。
尖閣諸島の領有権問題を背景に、政府は海軍力を強める中国に対抗心をあらわにしている。だが、外交努力によって緊張の根を和らげる戦略は希薄で、南西諸島の自衛隊強化をめぐる国会論戦も乏しい。
こうした状況で、自衛隊配備が既成事実化されることがあってはならない。沖縄社会にとっても、自衛隊との向き合い方が問われる。
軍事に頼らない平和構築の営みをあくまで追求する意思を行進の中で再確認し、強めてほしい。
東西と南の3コースを歩く沖縄本島での行進は11日に始まる。
昨年は東日本大震災から日が浅く、本土への組織的な参加呼び掛けを取りやめたが、今年の申し込みは既に1300人を超えた。
県外参加者は、国土の0・6%の県土に居座る米軍基地の実態を目と耳に焼き付け、相互理解を深める意義をかみしめてもらいたい。
13日には、普天間飛行場を抱える宜野湾市で県民大会が開かれる。
米海兵隊は地元の反対を無視し、事故が相次いだ垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを7月にも普天間に配備する計画を立てている。6月に市民大会を開く宜野湾市は、配備を拒む姿勢を強固にしている。
配備阻止は、今年の基地問題の最大の課題の一つだ。平和行進と県民大会を、軍事最優先の米軍基地運用に歯止めを掛ける契機としたい。とりわけ、県民の命と人権への脅威となるオスプレイ配備は何としても撤回させる必要がある。
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●基地なき沖縄へ決意 平和行進、本島きょう出発
沖縄本島で11日から始まる「5・15平和行進」を前に、ガンバロー三唱する参加者たち=10日午後4時30分ごろ、那覇市の県立武道館
第35回「5・15平和行進」の全国結団式(同実行委員会、沖縄平和運動センター主催)が10日、那覇市の県立武道館で開かれた。復帰40年の節目の平和行進は、6日に与那国島で行われ、11日は本島の3コースが出発する。結団式では、県内外から駆け付けた参加者約300人が、基地のない平和な沖縄の実現へ決意を新たにした。
昨年は東日本大震災の影響に配慮し、沖縄単独で規模を縮小し開催した。今回は2年ぶりに全国の労組や平和団体も参加。主催者によると、県内からも含め11〜13日に延べ7千人超が行進する。原発事故被害に苦しむ福島県などからも参加、基地撤去に加えて脱原発へのメッセージも内外に発信する。
結団式では、6日の与那国島行進で団長を務めた崎原正吉与那国改革会議議長らから、崎山嗣幸実行委員長(沖縄平和運動センター議長)にたすきが引き継がれた。また、名護市辺野古を出発する「東」、読谷村役場を出発する「西」、那覇市の県民広場を出発する「南」の3コースの団長らに、崎山実行委員長からそれぞれたすきが掛けられ、固い握手を交わした。
南コース団の本土代表を務める福島県の国分俊樹さん(49)は「沖縄は基地に、福島では放射能に古里を奪われている。思いは一緒ではないだろうか。どちらもないほうがいい。沖縄と一緒に闘いたい」と決意を述べた。
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●平和願い本島行進 3コース出発 辺野古反対訴え
シュプレヒコールを上げながら出発する「5・15平和行進」東コースの参加者=11日午前、名護市辺野古
復帰40年の節目を迎え、基地のない平和な沖縄を求める第35回「5・15平和行進」(同実行委員会、沖縄平和運動センター主催)は11日、沖縄本島の3コースで出発した。参加者は13日まで各コースを行進、最終日の13日には宜野湾市に集結し、米軍普天間飛行場沿いを包囲するよう行進する。同日午後2時からは宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれる「5・15平和とくらしを守る県民大会」に参加し、同飛行場の即時撤去や名護市辺野古移設に反対の声を上げる。
平和行進初日は、名護市辺野古から南下する「東」、読谷村役場を出発する「西」、那覇市の県庁前県民広場を出発する「南」の3コースを出発。行進団は時折「辺野古新基地建設反対」などと、シュプレヒコールで気勢を上げた。 2日目の12日は、「東」はうるま市の天願桟橋、「西」は沖縄市役所、「南」は糸満市の平和祈念公園で午前9時に出発式を開き、行進する。
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●過重な基地問う きょう宜野湾で県民大会
第35回「5・15平和行進」の最終日となる13日午後2時から、「平和とくらしを守る県民大会」(同行進実行委員会主催)が宜野湾市の宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれる。主催者によると、平和行進の参加者らを中心に5千人規模の大会になる予定。
ことしは「日本独立と引き替えに沖縄が切り捨てられた“屈辱の日”」とされる対日講和条約発効から60年、沖縄が本土に復帰して40年の節目の年。米軍普天間飛行場の移設問題など、これまで変わらず沖縄が押し付けられてきた基地の過重負担や、基地から派生する事件事故に怒りの声を上げ“復帰”の意味を問い直す。
13日は「東」「西」「南」3コースの行進団が宜野湾市に集まり、午前9時半から普天間飛行場周辺を二手に分かれて行進し、基地を「包囲」。正午すぎに宜野湾海浜公園に到着する予定。
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●住民自治回復を 県民大会に3千人参加
“基地の島”の現状に、参加者約3千人が日米両政府への怒りの声を上げた「5・15平和とくらしを守る県民大会」=13日午後、宜野湾海浜公園屋外劇場
「5・15平和とくらしを守る県民大会」(同実行委、沖縄平和運動センター主催)が13日、宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれた。東京電力福島第1原発事故に苦しむ福島県を含めた全国各地から約3千人(主催者発表)が参加。今年は復帰40年、沖縄を日本から切り捨てた対日講和条約発効から60年。変わらぬ“基地の島”に平和と住民自治を取り戻そうと、参加者らは両政府に怒りの声を上げた。「反戦反基地」とともに「脱原発」「核兵器廃絶」も訴えた。
自衛隊配備に揺れる6日の与那国島コースを皮切りに始まった平和行進。本島では南部の沖縄戦激戦地や中北部の米軍基地を縫うように11日から13日にかけて125・1キロ、延べ約6千人が復帰後も変わらぬ基地の現場を歩き、最後は米軍普天間飛行場を取り囲むように歩いた。12日には宮古島コースも行われた。石垣島コースは15日に実施予定。
県民大会では日米両政府が強行するオスプレイの配備、辺野古への新基地建設、東村高江のヘリパッド建設、嘉手納基地や普天間飛行場周辺の爆音被害などへの怒りの声が上がった。
糸満市摩文仁など南部を巡った南コース本土代表を務めた福島県平和フォーラムの国分俊樹事務局長は「沖縄と福島を苦しめている根っこは同じ。国防と日米安全保障条約の毛皮をかぶり、エネルギー施策の毛皮をかぶった拝金主義だ。この社会に風穴を開けるために、沖縄から基地をなくそう」と呼び掛け、福島から全国に避難している住民への支援を求めた。
第2次普天間爆音訴訟団の島田善治団長は「沖縄はいまだに憲法番外地。皆さんの地元で沖縄の基地問題をどう考えるのか、問い掛けてほしい」と訴えた。最後に平和な社会をつくるための県民大会宣言を参加者で採択。ガンバロー三唱で締めくくった。
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(動画あり)