米軍再編に係る戦闘機の訓練移転 実施状況(2011年度)
(1)訓練の概要
2006年に日米政府が合意した「再編実施のための日米のロードマップ」で、米空軍嘉手納基地(沖縄県)・米空軍三沢基地(青森県)・米海兵隊岩国基地(山口県)に所属する戦闘機部隊の訓練を、航空自衛隊の千歳基地(北海道)・三沢基地(青森県)・百里基地(茨城県)・築城基地(福岡県)・新田原基地(宮崎県)へ、年に数回、移転することになりました。
訓練移転は当初、嘉手納基地周辺住民の爆音被害の軽減策として検討が始まりましたが、最終的な合意では、三沢基地や岩国基地の米軍機も対象となりました。訓練移転に係る費用は、日本側が4分の3を負担します。
さらに昨年1月には、嘉手納基地の戦闘機がグアム等で行う訓練、また三沢基地や岩国基地の戦闘機が嘉手納基地に行く代わりにグアム等に行って行う訓練についても、日本政府が費用の4分の3を負担することになりました。
前述の通り、戦闘機の訓練移転は、そもそもは嘉手納基地周辺の爆音被害の軽減を目的としていました。しかし実際には、嘉手納基地の戦闘機部隊が訓練移転を行っている最中でも嘉手納基地周辺の爆音は軽減されていないこと、場合によっては爆音が増加していることが、周辺自治体の調査で明らかになっています。これは、日本各地の米軍基地、在韓米軍基地、米本土基地などに所属する戦闘機が、嘉手納基地に来て訓練を行うためです。
2006年のロードマップと2011年の合意は、爆音被害を軽減することにはならず、米軍戦闘機の訓練を、日本の税金を使って本土各地やグアムに拡大することになったのです。
(2)昨年度の状況
昨年度の実施状況は下記の通りです。訓練に対しては、各地の加盟組織による反対運動が行われました。
実施日時 |
実施先 |
移転部隊 |
訓練の規模 |
7月 8日〜 7月15日 |
築城基地(福岡県) |
三沢基地(青森県) |
タイプU F-16・6機 |
10月10日〜10月31日 |
グアム/北マリアナ |
岩国基地(山口県) |
FA-18・20機 |
12月 1日〜12月18日 |
グアム/北マリアナ | 岩国基地(山口県) |
FA-18・20機 空中給油機・1機 |
2月 6日〜 2月24日 |
グアム/北マリアナ |
嘉手納基地(沖縄県) |
F-15・18機 |
2月13日〜 2月24日 |
百里基地(茨城県) |
岩国基地(山口県) |
タイプU F-18・6機 AV-8B・3機 |
(3)移転対象の米軍機部隊の概要
@米空軍嘉手納基地 …F-15戦闘機隊×2個・約54機が移転対象。F-15の主任務は防空戦闘。
A米空軍三沢基地 …F-16戦闘機隊×2個・約38機が移転対象。三沢F-16部隊の主任務は、空爆攻撃に先立ち、敵のレーダーや対空ミサイル基地を破壊する防空網制圧。
B米海兵隊岩国基地 …FA-18戦闘攻撃機隊×3個・約36機、AV-8B隊×1個・約8機が移転対象。FA-18の主任務は地上への爆撃と防空戦闘。AV-8Bの主任務は揚陸艦に乗船して出撃する第31海兵遠征隊(31MEU)と行動を共にし、上空からの支援を行うこと。