在沖縄米海兵隊砲兵部隊の
沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・実施の状況(2011年度)


(1)訓練の概要
 沖縄県の海兵隊キャンプ・ハンセン(金武町)には、第12砲兵連隊第3大隊が駐留しています。この部隊は155ミリりゅう弾砲を運用していますが、キャンプ・ハンセンでの射撃訓練に際しては演習場の中を通る県道104号線を封鎖しなければならず、近隣住民の生活に弊害となっていました。そのため1996年のSACO最終報告で155ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練を、本土5か所の陸上自衛隊演習場――矢臼別(北海道)・王城寺原(宮城県)・北富士(山梨県)・東富士(静岡県)・日出生台(大分県)――に移転することで合意しました。
 第12砲兵連隊には、司令部中隊・第1大隊・第3大隊の3つの部隊が所属しています。このうち第1大隊はハワイに、司令部中隊と第3大隊は沖縄に配備されています。第3大隊には本部中隊と3個の砲兵中隊が所属していますが、常駐しているのは本部中隊のみで、実動部隊である3個の砲兵中隊はアメリカ各地から6か月のローテーションで派遣されてきます。
 2006年に日米政府が合意した「再編実施のための日米のロードマップ」で、第12砲兵連隊の司令部機能はグアムに移転することになりました。今後は、司令部はグアムにあり、部隊は米本土に配備されているにも関わらず、訓練のためだけに沖縄に派遣され、本土各地で実弾射撃訓練を行うことになるのです。アメリカ国内に駐留する部隊に対して、演習場を提供する必要は一切ありません。
 また日米政府は、本土の演習場での移転訓練は、キャンプ・ハンセンで行われていたものと同質・同量とするとしていました。しかしキャンプ・ハンセンでは行われていなかった夜間射撃が実施され、2006年からは小銃や機関銃も行われるなど、訓練内容は拡大しています。さらに報道各社や地元自治体への訓練公開が年々縮小していること、訓練部隊の移動に際して多数の大型車両が公道を使用するにもかかわらず日程が非公開なこと、訓練で使用する弾薬を民間運送業者のトラックが運んでいることなど様々な問題があります。また昨年度の日出生台では、宿営地に帰る部隊の車両が道を間違え、一般道に出てしまうという事件も起きました。砲兵部隊の移転訓練は、廃止されるべきです。

(2)2011年度の状況
 移転訓練は通常は1年に4回行われています。しかし昨年度は東日本大震災の影響から王城寺原演習場での訓練が中止になり、実施は3回でした。実施状況は下記の通りです。訓練に対しては、各地の加盟組織による反対運動が行われました。

回数  実施日時  演習場  参加部隊の規模
 第1回   6月18日〜 6月30日  東富士演習場 (静岡県)  大隊規模 人員430人 車両100両 砲数12門
 第2回   8月下旬  王城寺原演習場(宮城県)  中止(東日本大震災の発生を踏まえ)
 第3回  11月11日〜11月24日  北富士演習場 (山梨県)  大隊規模 人員430人 車両100両 砲数12門
 第4回  2月10日〜 2月22日  日出生台演習場(大分県)  中隊規模 人員220人 車両 50 両 砲数  6門



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