済州島レポート その1 ●2011年9月30日〜10月3日 |
▼9月30日から10月4日までの4日間、韓国済州(チェジュ)島の江汀(カンジョン)村に行ってきました。9月上旬に続いて、2回目の訪問です。(最初の訪問の様子はこちら) ▼カンジョン村では10月1日に、『カンジョン・マウル生命平和祝祭第2弾 泣くな、クロンビ! がんばれ、カンジョン!』が開かれました。また住民や活動家にも、話を聞くことができました。 ▼祝祭と、最近のカンジョン村の様子を、写真レポートでお届けします。 |
●10月1日午前 海軍基地建設現場前でのミサ。 カンジョン村の住民を支援しているカトリックの神父たちは、毎朝、基地建設現場の前でミサを開いています。 私がカンジョン村に到着したのは9月30日の午後でしたが、その日の午前中にもミサが行われていました。ミサ終了後、一行の前を通り過ぎる工事車両に、イ・ヨンチャン神父が抗議すると、警察は業務妨害としてイ神父を逮捕しました。またイ神父の逮捕を阻もうとしたムン・ジョンヒ神父も、一緒に逮捕されてしまいました。 翌31日にも、ミサは行われました。例え政府がどのような弾圧を加えようとも、祈り続けることが、カンジョン村の平和につながると、神父たちは話したそうです。 カンジョン村では、ムン神父をはじめとして、多くの司祭が座り込みなどの抗議行動に参加しています。韓国カトリックの中には、「天主教正義具現全国司祭団」という組織があり、人権・民主化の問題に、積極的に参加しているとのことです。 一方、カンジョン村にもカトリックの教会があり、以前は多くの住民信者が通っていたそうです。しかし、海軍基地の受け入れの是非を巡って住民信者の間でも争いが起こり、いまでは教会に通う人は減ってしまったようです。 ●10月1日午前 村の広場でコーヒーサービス。 村の真ん中にある広場では、基地建設反対派の人々が集まる憩いの場のようになっています。この日はそこで、豆から挽いたコーヒーを入れて、道行く人々にサービスしていました。 写真の男性はトヨンさん。「彼の入れたコーヒーはおいしいですよ。プロだからね」と隣にいた女性がすすめてくれました。彼は、韓国のレーバーネットのメンバーでもあるそうです。話をしていると、日本のレーバーネットや労働組合で活動する共通の知人の名前が次々に出てきました。 「It's a small world」。トヨンさんは笑いながら、私にコーヒーカップを手渡してくれました。 ●10月1日 集会の飾り付けが始まる。 村のあちらこちらで、集会を告知する横断幕などの飾り付けがはじまりました。準備しているのは青年たち。 ●県央共闘の横断幕がたなびく 「あれ!日本語だ」と思って近づいてみると、神奈川県央共闘の名前が。数週間前、スタディーツアーでカンジョン村を訪れた際にプレゼントしたようです。 ●10月1日 集会のプレイベントが始まる。 集会当日、村の広場では、様ざまなプレイベントが行われました。ボランティアのスタッフが、道行く人々にチラシを配ったり、逮捕された神父の釈放を求める署名のお願いをしたりしています。 前回のレポートにも書きましたが、カンジョン村は、済州島のトレッキングコース「オルレ」の途中にあります。この時、韓国は連休であったため、多くの人々が済州島にトレッキングにやってきていました。そうした人たちにも一人一人、チラシを渡してカンジョン村の状況を説明していました。 ●10月1日 子どもたちの歌と踊り 広場に作られたステージでは、村の子どもたちが歌や踊りを披露していました。 ●10月1日午前 陸地から来た警察たち。 済州島では、韓半島のことを「陸地」と呼ぶそうです。この日の集会を規制するために、ソウルや光州(カンジュ)などの陸地から、戦闘警察がバスに乗ってやって来ました。バスの数は、ここに駐車しているだけでも30台以上です。 ●村の中心の十字路。この警察官の列の先には小学校があります。警察官の前に並んでいる赤・白の突起物は、車道と子どもたちの歩行路を分けるものだそうです。 「あなたたちがそこにいるから、子どもたちが道も歩けない」と若いお母さんが怒っていました。 ●ここは、座り込み場所に続く道です。 ●村の中は、陸地の警察に占領されたような状態です。どこに行くにも、警察の前を通らなければなりません。 済州島では1948年4月3日、米軍支配に反対する島民たちが、抗議を開始しました。これに対して韓国軍・韓国警察・陸地の右翼団体などが鎮圧のために済州島にやってきて、住民を虐殺しました。朝鮮戦争を経て1954年9月までの間に、5人に1人の住民が殺されたと言われています(4.3事件)。 こうした歴史を持つ済州島の住民にとっては、何百人もの警察官がいることが無言の圧力になっているのかもしれません。 ●10月1日夕方 生命平和祝祭会場。 生命平和祝祭の会場は、基地建設現場に隣接する港です。開始時刻の7時を前に、多くの人々が集まってきました。 ●島内各地からの参加者。 カンジョン村の基地建設反対運動は、徐々に島内に広がっているようです。この日も、島内の各地から、バスが11台の参加があったそうです。また韓国陸地から参加者は約300名とのことでした。 写真のグループは、カンジョン村の隣りの地域から来た人たちだそうです。 ●会場入り口では、村の女性たちが出迎えてくれました。 ●参加者は1000人くらいでした。 ●オープニングは、子どもたちの踊りと歌です。 ●こちらは、韓国の伝統音楽を現代風にアレンジした演奏のグループです。 ●カンジョン村の反対運動のリーダーたちから、参加者の皆さんへ感謝のあいさつ。 ●現在も警察による拘束が続く人々、一人一人へのメッセージが読み上げられました。 ●とにかく、子どもたちがかわいらしいのです。 ●内容は良く分かりませんでしたが、伝統コントのようでした。 ●韓進重工業の労働者から連帯のあいさつ。プサンにある韓進重工業では整理解雇進めようとする経営者側に対して、労働者側の激しい闘争が続いています。 ●参加者全員で、風灯を飛ばしました。 ●集会のラストは、村の女性たちによる民俗打楽器の演奏(サムルノリ)です。音楽に合わせて、皆が輪になって踊りました。 ●10月2日午前 海軍基地建設現場前でのミサ。 逮捕されていた2人の神父が釈放されました。そしてこの日も、ミサが行われ、カンジョンの平和を祈りました。 【10月5日記 つづく】 |
カンジョン村の状況については「レーバーネット」内の「韓国の労働運動」に多数の翻訳記事が出ています。