ワシントンD.C.で「帝国ぬきの安全保障・外国軍基地に関する全国会議」を開催
世界各地から200人の活動家が集まる
●日時 2009年2月27日〜3月2日
●会場 米国 ワシントンD.C. アメリカン大学



●米国ワシントンD.C. アメリカン大学に集まった米国ならびに各国の平和運動・反基地運動の活動家たち。


●会議の概略
 2月27日から3月2日までの4日間、米国ワシントンD.C.にあるアメリカン大学で、「帝国ぬきの安全保障・外国軍基地に関する全国会議」が開かれました。この会議は、「米国フレンズ奉仕委員会」、「友和会」、「平和と正義のための連合」、「平和のための帰還兵」など、米国の中心的な平和運動団体によって呼びかけられたものです。米本土とハワイやグアム、また世界各地の米軍基地所在地から、約200人の活動家が集まりました。
 日本本土からは「平和フォーラム」、「ピープルズプラン研究所」、「平和の白いリボン・神奈川」、沖縄からは「ヘリ基地反対協議会」、「沖縄平和市民連絡会」、「軍隊を許さない行動する女たちの会」などのメンバーが参加しました。

 2003年のイラク侵攻以降、米軍兵士の戦死者が増える中で、米国内ではイラクからの撤退を求める市民の声が大きくなりました。それがオバマ新大統領の誕生と、イラクからの撤退表明につながっていきます。
 しかし米国内で平和運動・反戦運動を担う活動家や市民にとって、1,000か所以上存在する米軍の海外基地の問題に関しては、それほど大きな認識を持っていなかったようです。一方で米軍基地所在国は、2004年にインドのムンバイで開かれた世界社会フォーラムで「世界反基地ネットワーク」の立ち上げに合意し、2007年にはエクアドルで同ネットワークの設立総会が開かれるなど、地域間の積極的な交流が進んできました。
 2006年には東京で、平和フォーラムなどが呼びかけた「アジア太平洋反基地東京会議」も開催されています。今回の会議はこうした流れの中で、米国の平和運動が在外米軍基地所在国の平和運動との積極的な連携を求めて開いたものです。

 会議は全体会と分科会に分かれて行われ、米本土・グアム・ハワイ・欧州・南米・アジア太平洋から報告が行われました。米国の参加者からは、@オバマ大統領の誕生によってイラクからの兵力撤退は進むが大きな軍事政策の転換はいまのところ期待できない、Aしかし社会保障政策の充実などをすすめるためには海外基地の閉鎖が必要である、B大統領選挙でオバマに投票した人々に海外基地の閉鎖に関心を持ってもらうためにインターネットなどを利用した独自の情報発信が重要である、C政策転換を実現するには上下両院の議員に対する日常的なロビー活動が必要である――などが述べられました。

 一方、米軍基地所在国の参加者からの発言では、それぞれの地域の状況――その国の政府が基地の撤去を求めているか、反基地運動がどのくらいの広がりを持っているのか――などによって、基地閉鎖にむけた動きに大きな違いがあることが分かりました。また地位協定の問題では、日本や韓国などのアジア太平洋地域よりもイタリアやドイツなど欧州の方が基地受入国の権利が保障されていると報じられていましたが、実態としては欧州の基地もアジア太平洋地域と大差のないことが分かりました。

 丸2日間が会議日程にあてられましたが、各地の情報を共有するところで終ってしまい、基地閉鎖のための具体的な連携まで議論を進めることはできませんでした。しかし全世界にネットワークを持つ米軍基地に対抗するためには、平和運動の側も世界的なネットワークと世界的な連携が必要であることが確認されました。そのため会議では、米国内の団体で事務局を作り、今後も情報交換や連携を強めていくことで合意しました。
 以下に、主要な発言の要旨を掲載します。


●高里鈴代さんが沖縄の現状について報告。


●米国の状況
■フィリス・ベニンズさん(米国 「政策研究院」(Institute for Policy Studies)

 オバマ政権の誕生で何が変わるのでしょうか。ブッシュ政権からの継続性のほうが強いのでしょうか、または変化のほうが強いのでしょうか。オバマ大統領は、グアンタナモの拷問施設を閉鎖するといいました。国民健康保険制度の創設や、大企業優先税制を変えるといっています。こうした政策は、ブッシュ政権とは異なります。全ての政策が、新しくなるのかもしれません。
 では軍事面でも、新しい変化は生まれるでしょうか。オバマ大統領は、11か月以内にイラクから米軍を撤退させるといいました。そのことは評価するべきです。しかし彼は、基地を閉鎖するとか、全軍を撤退させるとか、いっているわけではありません。オバマ大統領は、米軍のうち戦闘部隊である3分の2は撤退させるが、3分の1は駐留を続けるといっています。しかし軍隊を戦闘部隊と支援部隊に分けることには、それほど大きな意味はありません。支援部隊が残ることも、占領には違いないのです。また軍の指導部は、戦闘部隊の名称をアドバイザー部隊などに変えることで、兵力を残そうとするでしょう。

 かつて米国は、植民地の拡大はその地域に文化をもたらすのだと考えていました。植民地の拡大によって、白人が野蛮人に文化をもたらすのです。こうして出来上がった植民地と帝国との間で、帝国は植民地の人々を抑圧し、土地をはく奪してきました。私たち進歩勢力は、すべての帝国に反対します。しかしいま、帝国の概念が変わってきているのかもしれません。チエイニー副大統領は2002年に、「仮に米国が帝国であったなら、もっと多くの領土を支配しているだろう」といいました。60年代までは、まだ古い帝国、領土支配が残っていました。そして敵を倒すことによって、領土を手に入れていました。しかし現在の帝国は、領土をもっているわけではありません。1000以上ある海外軍事基地を通して、諸国を支配しているのです。現在の帝国は、領土の支配(物理的な)を超えているのです。
 オバマ大統領に対しては、さまざまな批判が行われています。しかし米軍のイラクからの撤退を表明したことには大きな意味があります。そこには、米国市民の力があったのです。もし2011年末までの撤退を実施しないのであれば、相当有効な言い訳が必要になります。ブッシュ時代の8年間続いた軍事政策を転換させる大統領が誕生したのです。米国は、クリントン時代の多国間主義から、ブッシュ時代に一国主義に転換しました。そしていま、オバマ大統領は「米国は特別なのだ」というイデオロギーと戦おうとしています。

 帝国の定義が変わってきていると話しました。そうした中で、海外の軍事基地をどのように位置づけるのかが、重要になっています。諸外国の反基地ネットワークと連携すること、海外基地反対の運動が高揚することも重要です。海外基地に反対する運動は、環境保護や女性の人権を守る運動ともつながることができます。また米国の経済危機は、諸外国にも影響を及ぼしています。
 米国はエネルギー問題、環境問題、社会保障問題に対応しなければなりません。赤字財政の中で、国家予算を増やさなければなりません。そのためには国内政策の充実を求める運動と、基地に反対する運動が連携していかなければなりません。さまざまな国内企業が、軍に関係する予算を得ています。そうした軍関係企業は、軍事費が米国市民の経済に利益を与えていると訴えることで、軍事費の増額を求め続けるでしょう。
 しかし海外の米軍基地は、国内経済に効果をもたらしません。だからこそ大規模な海外基地の削減が可能になるのです。

 オバマ大統領は、アフガニスタンでの戦争を拡大しようとしています。米国市民は、アフガニスタンでの戦争には正当性があると考えています。「9・11」への防衛戦争だと考えているのです。しかしすでに明らかになっているように、アフガニスタンと「9・11」には関係がありません。テロリストたちは、米国内の航空学校で飛行機の操縦を習いました。では、テロリストに操縦を教えた米国内の航空学校を、軍は攻撃するのでしょうか。
 私たちは2001年から、アフガニスタン戦争に反対してきました。しかし十分な効果をあげることはできませんでした。それは何故でしょうか。米国の一般市民に受け入れてもらうことができなかったからです。しかしいまは、米国市民の意識を変えるチャンスです。市民は正当な経済政策と経済成長を求めています。海外基地の維持費を、国内経済に振り替えることを望むでしょう。またイスラエルを支援する予算を、国内経済に転換することを望むでしょう。

 イラク侵攻の前夜、世界中でデモが行われ、全世界の参加者が戦争に「NO」を表明しました。いま国際社会の中で、米軍基地NOの動きが作られつつあります。オバマ政権の政策転換を市民が要求し、オバマ政権が政策を転換できるような環境を市民の手で作りましょう。


■ジョージ・マーティンさん 
(米国「正義と平和のための連合」(United For Peace and Justice)全国副議長)
※ジョージ・マーティンは、08年度の原水禁大会に海外ゲストとして参加しました。彼が副議長を務める「正義と平和のための連合」は、米国内のリベラル派平和運動の全国ネットワークです。以下は会議での発言ではなく、休憩時間に行ったインタビューです。)

 私はアフリカ系アメリカ人として、オバマ大統領の誕生には特別な感情があります。しかし私は活動家として、米国の政治過程を理解しています。オバマ大統領が1人で、米国の政治を変えることはできません。彼はまずなによりも、民主党の政策に影響されます。民主党の中では、イラク戦争に反対している人々は50パーセントくらいです。また彼は選挙期間中に「チェンジ」をスローガンに掲げましたが、「チェンジ」には議会の了承が必要です。大統領と議会は同等の力を持っており、大統領1人では法律を通すことはできません。
 米国の平和運動勢力は、オバマ大統領の進めるイラク撤退には満足していません。それは、イラクに駐留する全軍の撤退ではないからです。オバマ大統領は戦闘部隊の撤退後も、イラク軍への軍事アドバイザー部隊や、一部の守備部隊は駐留すると言っています。
 また彼は、イラクからは撤退するが、アフガニスタンへは兵力を増強するといっています。しかし戦争に「良い戦争」と「悪い戦争」があるわけではありません。私たちは、イラクとアフガニスタン両国からの全ての米軍兵士の撤退を求めています。またオバマ大統領は、イスラエルによるパレスチナ侵攻にも理解を示していますが、私たちは反対です。核兵器廃絶では良いこともいっていますが、一方で今後も核兵器に予算を支出するともいっています。
 私たちはオバマ大統領だけではなく、米国議会にも圧力をかけなければなりません。そのためにも、今回の国際会議は非常に重要な役割を果たしました。世界規模で平和運動が連携すること、諸国との連携を進めることが大切だからです。

 オバマ大統領は「チェンジ」を期待されて大統領に選出されました。しかしその「チェンジ」は、米国民にとっての「チェンジ」です。住宅問題・教育問題・医療問題・福祉問題…。そうした問題の「チェンジ」を訴えて当選したのです。
 内政問題で「チェンジ」を進めるためには、多くの予算が必要です。しかし現在の米国は、財政的な赤字を抱えています。ではどこから予算を捻出するのか。長期的には、在外米軍基地の閉鎖しかないでしょう。在外米軍基地の閉鎖は、受け入れ国にとっては、米兵による犯罪・レイプ・環境汚染・受入国負担予算などの問題を解決することにもつながります。そうした目的のために、米国の軍事主義を変えていかなければなりません。そのためには、米国市民の意識が変わることが必要です。

 オバマに投票した市民の中には、自分の生活を守りたいという利己的な理由から投票した人々が多いでしょう。平和運動勢力は、そうした人々とも連携を強めなければなりません。また米国政治の根本的な変革、例えば企業から政治家への献金を規制すること、選挙制度を変えることなども重要です。
 本当の変革を実現することは、簡単なことではありません。しかし自分の求める変革を実現するためには、議会や政治家に対して圧力をかけ続けなければなりません。
 過去5年間で、平和運動勢力は、イラク戦争に対する市民世論を変えることに成功しました。いま市民の多数はイラク戦争に反対で、半数はアフガニスタン戦争に反対しています。私たちは今後、海外基地が必要ないという世論を作るためにがんばります。


●チェコの状況
■Jana Glivickaさん
 チェコと米国は同盟関係にあります。この同盟は対ロシア同盟です。米国はチェコにミサイル防衛のためのレーダー施設を建設しようとしています。こうしたレーダー施設は既に、英国・グリーンランド・アラスカに設置されています。ミサイル防衛のためのレーダー施設の建設は冷戦時代の思考であり、軍産複合体の思惑です。

 米国はチェコとポーランドでミサイル防衛を進めようとしています。2000年にはチェコと米国との間での交渉が始まりました。しかしこれは秘密交渉で、国民にはなにも知らされませんでした。国民の間では反対運動が高まり、政府に対して説明を求めました。それに対して政府は、テロリスト国家、北朝鮮やイランから国民を守るためのものだと説明してきました。またロシアからの防衛のためにも必要だといいました。しかしロシアやイランからのミサイル攻撃があるというのは、説明になっていません。

 レーダー施設の建設予定地は、チェコの国内法では、自然保護区域に指定されています。しかしチェコと米国が協定を結べば、この地域での建設が進んでしまいます。チェコには、国民投票の制度がありません。そこで反対派は、建設反対の署名運動を行い、20万人の署名を集めました。

 レーダー基地建設は欧州議会でも問題になり、欧州議会からの調査団が、チェコに派遣されることになりました。私たちは、欧州議会やEU加盟国の国防大臣などに対して、建設反対の働きかけをしています。チェコの国会では議席数200のうち、97人が反対を表明しています。議会で反対派が多数になる可能性もあります。私たちは議会での採決に期待しています。



●イラクの状況
■Raed Jarrarさん
 イラクの事態は、外国軍の占領に反対する運動の成功例になるでしょう。米国からイラクを取り戻す闘いは、以前にもまして増えています。米国との闘いにはさまざまな形態があり、爆弾を使った闘いもありますが、一方で非暴力の運動、デモや選挙などもあります。どの闘いに参加している人々も、動機は同じです。もし非暴力の運動が有効であれば、全員が非暴力の運動に参加するでしょう。しかし非暴力に限界を感じた人々が、爆弾を使った闘いに向かっていきます。フセインが倒れた後、米国は親米的な政治家を集めてイラク政府を作りましたが、イラクの国民は政府を支持してはいません。

 2007年11月以降、米国はイラクに恒久的な基地を置くための交渉を始めました。米国のブッシュ大統領は、占領終了後も、条約によってイラクに基地を置こうとしていたのです。その動きに対して、イラクでは100万人以上の国民が参加したデモが行われました。イラクの国民は、米軍の撤退を望んでいます。

 米国の代表団がイラクに来ました。米国は1日700億円をイラクのために支出しています。米国の代表団は、イラクの議会は親米的だと考えていました。だから、イラク議会が占領に反対していることを知って驚いていました。米国の代表団は、イラクの状況を知らなかったのです。

 イラク議会の多数派は、イラクと米国の軍事条約を認めていません。イラク議会は、米軍の完全な撤退を求めています。オバマ大統領は昨日、初めて公式に2011年までの撤退を明らかにしました。2010年8月までに戦闘兵を撤退させ、2011年末までに残る20,000人から25,000人も撤退させるというものです。

 私たちは米国の市民が、もっと早い撤退を実現するように、米国政府に求めてもらいたいと考えています。私たちが国を作っていくことに、米国の指導は必要ありません。イラクと米国の友好関係は必要ですが、イラクの人々は自己実現の能力を持っているのです。米国は、米軍が撤退すれば、シーア派とスンニ派の抗争がおこるといいます。私自身は、スンニ派とシーア派のハーフですが、国内問題を解決するのに、米国の保護は必要ありません。米国がイラクから撤退すれば、私たちは自分たちで国作りを行います。


●エクアドルの状況
Gualdemar Jimenezさん
 1999年にエクアドルと米国の政府は、基地協定を結びました。この協定は、国会での審議を無視し、国会の議決を受けないものでした。ですからエクアドルの中では、大きな反対運動が起きました。

 米軍は当初、エクアドル国内の米軍基地を、コロンビアを偵察するために使っていました。しかしその後、実際の基地としての使用が始まりました。エクアドルの領土や領海を、米軍が使用しています。また米軍はコロンビア政府軍に情報提供を行うと共に、エクアドル政府軍の教育も行っていました。エクアドル政府軍の情報部は、米軍の支配下にありました。

 2006年にエクアドルでは大統領選挙が行われ、政権が交代しました。新しい政府は、米軍基地の撤退を求めています。また国民の60パーセントも撤退を求めています。米軍基地撤退のために、さまざまな運動が行われました。反基地運動の合言葉は「おいだせ」でした。

 そうしたなかで、昨年11月に米軍基地が閉鎖されました。米軍基地の存在によって、これまでにどのくらいの被害を受けてきたのか。いま基地の存在した10年間の被害をまとめて、米国に請求しようとしています。

 米国の大統領は変わりましたが、軍事政策は変わるのでしょうか。エクアドルの基地が閉鎖された後も、ペルーやコロンビアでは基地が拡大されるかもしれません。そうした地域との連帯が必要です。


●アジア太平洋地域の分科会


●グアムの状況
■リサ・ナティビダートさん(チャモロ・ネイション)
 グアムはマリアナ諸島の一部です。小さな島ですが、島の北と南に米軍基地があります。またグアムは自治権を侵害されています。

 1521年にマゼランがやってきました。これが初めての西欧との接触でした。その後、グアムはスペイン領にされて、カトリック教の布教が行われました。1898年にはスペイン―米国戦争の結果、グアムは米国領になりました。1941年には日本軍がグアムを侵略しました。1945年には日本軍の撤退後、再び米国の支配下に置かれました。1950年に米国議会で成立した法律によって、米国領に編入されました。しかし自治権はありません。

 米軍の存在が、チャモロ(グアムの先住民)に様々な影響を及ぼしています。現在のグアムの人口は170,000人です。そのうちチャモロは37パーセントの62,900人です。

 2006年に日米両国政府は、在沖縄海兵隊のグアムへの移転に合意しました。また、海兵隊以外の米軍も増強される計画があります。沖縄から海兵隊員が8,000人、そのほかの部隊や、その家族も含めれば、グアムの米軍と家族は55,000人の増員となり、人口はチャモロと同じになってしまいます。

 グアムの経済状態が悪い中で、海兵隊の移転によって経済が上昇すると考えている人々もいます。しかし米軍が増えることで、交通量は増すでしょうし、住宅の賃料などは上昇するでしょう。米軍は基地内に病院を持っていますが、使えるのは軍関係者のみで、チャモロは利用できません。いまでも医療制度は十分ではなく、がんなどにかかった場合は、フィリピンに治療に行くのです。

 海兵隊の移転によって、訓練場の拡大が行われます。またアンダーセン空軍基地も拡大される予定です。ミサイル防衛のための施設の建設や、原子力潜水艦が寄港するための施設も建設されます。米軍配置は冷戦時代の体制から、太平洋地域重視へと変わってきています。その中でグアムの役割が重要になってきています。

 米軍基地はグアムに様々な影響を及ぼしています。島民の健康状態の悪化、放射能による被ばく、基地からの汚染物質の流出などです。

 グアムの中でも、北と南の基地の周辺に住む人は、がんの発病率が高いのです。また米本土とグアム全体を比べても、グアムのほうが高いのです。これには基地だけではなく、米国が1940年代から60年代まで、太平洋地域で行った核実験が影響していると考えています。また基地からは、PCBや枯れ葉剤などが流出しています。

 今年1月には、米国とグアムの共同委員会が、新しい基地のために950エーカーが必要であると発表しました。米国政府は、グアムの住民の声も聞いているといっています。しかし私たちは知りません。米国からの調査団が来たこともありますが、短期間の滞在でした。

 いまグアムの知事は米国政府に補助金を要求していますが、私たちは住民投票を要求しています。しかし状況は非常に厳しいです。米軍が増えることによって、観光業などが盛んになると考えている人々も多いですから。



●ハワイの状況
■カイル・カジヒロさん(アメリカンフレンズ奉仕団・非武装地帯ハワイ)
 ハワイは米国にとって、太平洋の貿易拠点でした。白人の入植者によって、先住民の土地が奪われていきました。1893年には、米国によってハワイ王国が倒されました。1898年のスペイン―米国戦争では、ハワイは米軍の基地になりました。この戦争の結果で、グアムやフィリピンが米国領になりました。ハワイは米帝国の犠牲者であり、協力者でもあるのです。

 現在では米太平洋軍が、パールハーバーから、タコ足のように世界を支配しています。またハワイに設置されたレーダーは、宇宙の軍事化を進めるために使われています。

 ハワイの先住民にとって、土地は先祖からのつながりを示すものです。しかし土地や海は、基地からの汚染にさらされています。いまオアフ島の4分の1が軍事基地です。ハワイの総人口は1250,000人ですが、米軍は160か所の基地に、44,458人の軍人と、56,572人の軍人家族が住んでいます。文化や教育の面での軍事化が進んでいます。青年たちは、将来を自分で決める力を奪われています。土地は米軍に奪われ、そこに爆弾が置かれているのです。

 「9・11」以降、ハワイではさらに軍事化が進みました。いまでは、弾道ミサイルのテストなども行われています。

 米国ではオバマ大統領が誕生しましたが、楽観はできません。私たちは、抵抗運動を続けます。


●会議の合間に行われた、軍事主義反対のファッションショーです。


●最終日の3月2日には、上下両院の議員会館で、ロビー活動を行いました。


●こちらは、ハワイ選出の上院議員・イノウエさんのお部屋。


●あの!マケイン議員のお部屋です。



■TOPへ