■平和フォーラム資料
在日米軍の編成
更新日:2010年1月6日
(はじめに)
日本には米陸軍・海軍・空軍・海兵隊の4軍が駐留しています。これら在日米4軍の詳細な編成・人員配置・装備を記載した、日本語の書籍・資料・インターネットサイトを見つけることができませんでした。そのため、以下に記した編成表や解説は、複数の書籍・資料・インターネットサイトの情報をまとめたものです。従って、間違いを含んでいる場合があります。
米軍の編成と在日米軍の上級組織
■米国は、@陸軍、A海軍、B空軍、C海兵隊−−の4つの軍隊を保有しています。
米国は世界を6つの地域に分割して、各地域を担当する統合軍を配備しています。
また陸軍・空軍・海軍・海兵隊の4軍も自軍を6つに分割して、各統合軍の下に配備しています。
6つの統合軍と担当地域は以下の通りです。
●北方軍 | 北米大陸 |
●南方軍 | 南米大陸 |
●太平洋軍 | 太平洋・東アジア |
●中央軍 | 中央アジア・中東 |
●欧州軍 | ヨーロッパ大陸・ロシア大陸 |
●アフリカ軍 | アフリカ大陸 |
■日本は太平洋軍の担当範囲に含まれています。太平洋軍には以下の各軍組織が所属しています。
●太平洋陸軍 |
●太平洋空軍 |
●太平洋艦隊 |
●太平洋海兵隊 |
■太平洋担当の各軍組織の下に、以下の部隊が日本に駐留しています。
●在日米陸軍・第1軍団(前方) |
●在日米空軍・第5空軍 |
●在日米海軍・第7艦隊 |
●在日米海兵隊・第3海兵遠征軍 |
■米国が太平洋地域で軍事行動を開始する場合には、各軍は以下の指揮系統で展開します。
大統領 | ⇒ | 太平洋軍司令部 | ⇒ | 太平洋陸軍司令部 | ⇒ | 在日米陸軍・第1軍団(前方) |
太平洋空軍司令部 | ⇒ | 在日米空軍・第5空軍 | ||||
太平洋艦隊司令部 | ⇒ | 在日米海軍・第7艦隊 | ||||
太平洋海兵隊司令部 | ⇒ | 在日米海兵隊・第3海兵遠征軍 |
■この指揮系統とは別に、米軍は日本に在日米軍司令部を置いています。
在日米軍司令部は、平時に4軍の運用調整や自衛隊との連絡に当たっています。戦時の指揮権はありません。
在日米軍
1.概要
司令部所在地 | 東京都/空軍横田基地 |
司令官 副司令官 |
空軍中将 エドワード・A・ライスJr 海兵隊准将 ジョン・A・トゥーランJr |
所属人員数 | 軍人 | 約50,000人 | |
(内わけ) |
陸軍 | 約 2,000人 | |
空軍 | 約13,000人 | ||
海軍 | 約19,000人 陸上勤務 約 6,000人 艦隊勤務 約13,000人 |
||
海兵隊 | 約16,000人 | ||
家族 | 約43,000人 | ||
国防総省軍属 | 約 5,000人 | ||
日本人労働者 | 約25,000人 |
(注意)日本に駐留している米軍兵士の人数について
日本に駐留している米軍兵士の数については、以下の3つのインターネットサイトから情報を得ることができます。
(1)「About U.S. forces Japan」(在日米軍に関して) 「在日米軍公式サイト」内
このサイトは日本に駐留している兵士の数について、次のように記載しています。
●consists of approximately 36,000 military
personnel, 43,000 dependents, 5,000 DoD civilian
employees, and 25,000 Japanese workers.
●U.S. Army, Japan, consists of about 2,000
soldiers
●III MEF, which is under the operational
command of Marine Forces Pacific, consists
of approximately 16,000 Marines,
●U.S. Marine Corps Bases, Japan, consists
of approximately 9,000 military and civilian
personnel
●Commander, Naval Forces, Japan, consisting
of about 6,000 personnel,
●U.S. Seventh Fleet, which is under the
operation control of Commander, Pacific Fleet,
has about 13,000 sailors,
●Supporting that mission are approximately
13,000 military and civilian personnel
(訳)
○(在日米軍は)約36,000人の兵士、43,000人の軍人家族、5,000人の国防総省軍属、25,000人の日本人従業員によって構成されている。
○在日米陸軍は約2,000人の兵士によって構成されている。
○太平洋海兵隊の指揮下にある第3海兵遠征軍は、約16,000人の海兵隊員によって構成されている。
○在日海兵隊基地は、約9,000人の海兵隊員と軍属によって構成されている。
○在日米海軍司令部は、約6,000人で構成されている。
○太平洋艦隊指揮下の第7艦隊は、約13,000人の海軍兵士で構成されている。
○(第5空軍の任務は)13,000人の兵士と国防総省軍属で支援されている。
※上記の表のうち所属人員数については、このサイトの記述を基に作成しました。
※なお、このサイトの記述には以下の問題点があります。
@米軍兵士約36,000人の中には、第7艦隊約13,000人は含まれていないと思われます。
A在日海兵隊基地約9,000人は誤記載であるか、第3海兵遠征軍と重複している可能性があります。
B在日海兵隊基地約9,000人と第5空軍約13,000人は、兵士と軍属を含む数として記載されており、兵士のみの数は不明です。
Cこれら@〜Bを勘案しても、兵士総数約36,000人・軍属総数約5,000人と、各軍の合計人数が合致しません。
(2)「Military Personnel Statistics」(軍兵士統計) 「米国防総省公式サイト」内 http://siadapp.dmdc.osd.mil/index.html
このサイトでは2009年3月31日現在で、日本に配備されている米軍兵士の数を、次のように記載しています。
□陸軍 2,585
□海軍 4,036
□海兵隊 15,243
□空軍 12,690
□合計 34,554
※海軍の中には横須賀を母港としている第7艦隊に所属している兵士が含まれていません。
(3)「在日米軍人等の施設・区域内外における市町村別居住者数について」 「防衛省公式サイト」内
このサイトでは、2009年3月31日現在で、日本国内に居住する米軍兵士・軍属・家族の数を、次のように記載しています。
□米軍兵士 51,794人
□軍属 4,217人
□軍人・軍属の家族 46,443人
在日米陸軍
1.概要
部隊名称 | 在日米陸軍・第1軍団(前方) |
司令部所在地 | 神奈川県/キャンプ座間 |
司令官 | 陸軍少将 フランシス・J・ワーシンスキー |
所属兵員数 | 2,000人 |
■日本に駐留する米陸軍部隊には、在日米陸軍と第1軍団(前方)の2つのユニットがあります。
在日米陸軍司令官は、第1軍団副司令官と第1軍団(前方)司令官を兼務しています。
2.主要な所属部隊
●第78航空大隊 | (神奈川県/キャンプ座間) |
●第78通信大隊 | ( 〃 ) |
●第441軍事情報大隊 | ( 〃 ) |
●憲兵大隊 | ( 〃 ) |
●第88憲兵分遣隊 | ( 〃 ) |
●第35サプライ・サービス大隊 | (神奈川県/相模総合補給廠) |
●第836輸送大隊 | (神奈川県/横浜ノースドック) |
●第83補給大隊 | (広島県/呉港) |
●第1高射砲連隊第1大隊 | (沖縄県/嘉手納基地) |
●第10地域支援群 | (沖縄県/トリイステーション) |
●第505需品大隊 | (沖縄県/トリイステーション) |
●第58通信大隊 | (沖縄県/キャンプ・フォレスタ) |
●第835輸送大隊 | (沖縄県/那覇軍港) |
※在日米陸軍の指揮系統とは別に、以下の部隊が沖縄県に駐留しています。
●第1特殊部隊・第1大隊 | (沖縄県/トリイステーション) |
在日米海兵隊
1.概要
部隊名称 | 第3海兵遠征軍・在日米海兵隊基地 |
司令部所在地 | 第3海兵遠征軍(沖縄県/キャンプ・コートニー) |
在日海兵隊基地(沖縄県/キャンプ・フォスター) | |
司令官 | 海兵隊中将 リチャード・C・ジェルマー |
所属兵員数 | 16,000人 |
■日本に駐留する海兵隊には、戦闘部隊である第3海兵遠征軍と、基地の維持・管理にあたる在日海兵隊基地の2つのユニットがあります。
第3海兵遠征軍司令官は、在日海兵隊基地司令官を兼任しています。
2.主要な所属部隊
(1)第3海兵師団
所在地 | 沖縄県/キャンプ・コートニー | ||||
所属兵員数 | 「在日米国海兵隊」のサイトに表記なし | ||||
主な所属部隊 | |||||
●司令部大隊 | |||||
●第3海兵連隊(米国/ハワイ) | |||||
●第4海兵連隊(沖縄/キャンプ・シュワブ) | |||||
傘下部隊 | ・歩兵大隊×3個(UDP) | ||||
●第12砲兵連隊(沖縄県/キャンプ・ハンセン) | |||||
傘下部隊 | ・砲兵中隊×3個(UDP) | ||||
●第3偵察大隊(沖縄県/キャンプ・ハンセン) | |||||
●戦闘攻撃大隊(沖縄県/キャンプ・シュワブ) | |||||
傘下部隊 |
・水陸両用強襲中隊(UDP) | ||||
・軽装甲車偵察中隊(UDP) | |||||
・戦闘工兵中隊 |
(2)第1航空団
所在地 | 沖縄県/キャンプ・バトラー |
所属兵員数 | 約6,400名(「在日米国海兵隊」のサイトより) |
主な所属部隊 | |
○第12海兵航空群(山口県/岩国基地) | |
●第242海兵戦闘攻撃飛行隊 | FA‐18戦闘攻撃機 (13機) |
●海兵戦闘攻撃飛行隊(UDP) | FA‐18戦闘攻撃機 (12機) |
●海兵戦闘攻撃飛行隊(UDP) | FA‐18戦闘攻撃機 (12機) |
●海兵戦術電子戦飛行隊(UDP) | EA‐6B電子戦闘機 (5機) |
●海兵攻撃飛行隊・分遣隊(UDP) | AV−8B戦闘機 (8機) |
●大型ヘリコプター飛行隊(UDP) | CH−53Dヘリ (8機) |
○第36海兵航空群(沖縄県/普天間基地) | |
●第262中型ヘリコプター飛行隊 | CH‐46Eヘリ (12機) |
●第265中型ヘリコプター飛行隊 | CH‐46Eヘリ (12機) |
●大型ヘリコプター飛行隊(UDP) | CH‐53Eヘリ (15機) |
●海兵軽攻撃ヘリコプター飛行隊 | AH−1W・UH−1N (17機) |
●第152海兵空中給油飛行隊 | KC‐130空中給油機 (12機) |
○第24海兵航空群(ハワイ) | |
●大型ヘリコプター飛行隊×3個 | CH−53D |
※( )内の機数は未確認
(3)第3海兵兵站群
所在地 | 沖縄県/キャンプ・キンザー |
所属兵員数 | 2,775名(「在日米国海兵隊」のサイトより) |
主な所属部隊 | |
●本部役務大隊 (沖縄県/キャンプ・キンザー) | |
●第3即応物資大隊 (沖縄県/キャンプ・キンザー) | |
●第3医療大隊 (沖縄県/キャンプ・ハンセン) | |
●第9工兵支援大隊 (沖縄県/キャンプ・ハンセン) | |
●第36戦闘役務支援分遣隊 (山口県/岩国基地) | |
●第76戦闘役務支援分遣隊 (静岡県/キャンプ富士) |
※なお第3海兵遠征軍には、遠征軍の全体ではなく一部を派遣する場合の単位として、以下の2つがあります。
●第3海兵遠征旅団(中規模)
●第31海兵遠征部隊(小規模)
※UDPとは、Unit Deployment Programの頭文字で、「部隊展開計画」と訳します。日本に特定の部隊を常駐させるのではなく、米本土の部隊を6ヶ月のローテーション配備します。
在日米海軍
1.概要
部隊名称 | 在日米海軍司令部 米海軍第7艦隊 |
司令部所在地 | 神奈川県/横須賀基地 |
司令官 |
在日米海軍司令部 海軍少将 リチャード・B・レン 第7艦隊 海軍中将 ジョン・M・バード |
所属兵員数 | 地上勤務 約 6,000人 洋上勤務 約13,000人 |
■日本に駐留する海軍は、基地の維持・管理にあたる在日米海軍司令部と、戦闘部隊である米海軍第7艦隊との2つのユニットで成り立っています。
在日米海軍司令官には海軍少将が、米海軍第7艦隊司令官には海軍中将が就任しています。
2.主要な所属部隊
(1)CTF‐70 ジョージ・ワシントン空母打撃群
◎所在地:神奈川県/横須賀基地
◎所属艦船・航空機
●原子力空母ジョージ・ワシントン
●第5空母航空団(厚木海軍航空施設)
(2)CTF‐75 第7艦隊戦闘部隊
◎所在地:神奈川県・横須賀基地
◎所属艦船
●イージス巡洋艦 2隻 カウペンス シャイロー
●イージス駆逐艦 9隻 カーティスウィルバー ジョン・S・マケイン マスティン フィッツジェラルド ステザム ラッセン マッキャンベル
(3)CTF‐72 第7艦隊巡回・調査部隊
◎所在地:青森県/三沢海軍航空施設
◎所属航空機
●P‐3C EP‐3 など12機
(4)CTF‐74 第7艦隊潜水艦部隊
◎所在地:神奈川県/横須賀基地
※司令部は横須賀基地、潜水艦の母港はグアムやハワイなどを母港にしています。
(5)CTF‐76 第7艦隊水陸両用戦部隊
◎所在地:長崎県/佐世保基地
◎所属艦船など
●強襲揚陸艦エセックス
●揚陸指揮艦ブルーリッジ(神奈川県・横須賀基地)
●ドック型揚陸艦輸送デンバー
●ドック型揚陸艦トーチュガ
●ドック型揚陸艦ハーパーフェリー
●掃海艦ガーディアン
●掃海艦パトリオット
●救難艦セーフガード
(6)CTF‐79 第7艦隊上陸作戦部隊
※第3海兵遠征軍と同じ
在日米空軍
1.概要
部隊名称 | 在日米空軍・第5空軍 |
司令部所在地 | 東京都/横田基地 |
司令官 | 空軍中将 エドワードA・ライスJR |
所属兵員数 | 13,000人 |
■日本に駐留する米空軍は、在日米空軍と第5空軍の2つのユニットで成り立っています。
在日米空軍司令官は、第5空軍司令官を兼務します。また慣例で、在日米空軍司令官が在日米軍司令官を兼務ます。
2.主要な所属部隊
(1)第374航空輸送団
◎所在地:東京都/横田基地
◎所属兵員数:3,500人 (「横田基地」のサイトより)
◎所属機:約20機 ( 〃 )
◎主な所属航空部隊は以下の通り(機種毎の機数は不明)
●第36航空輸送隊 | C−130輸送機 |
●第459航空輸送隊 | UH−1Nヘリコプター C−12J輸送機 |
●第374作戦支援隊 | UH−1Nヘリコプター C−12J輸送機 C−130輸送機 |
※他に地上部隊あり
(2)第18航空団
◎所在地:沖縄県/嘉手納基地
◎所属兵員数:7,000人 (「嘉手納基地」のサイトより)
◎所属機:約100機 ( 〃 )
◎主な所属航空部隊は以下の通り( 〃 )
●第44戦闘隊 | F−15C/D戦闘機 | 27機 |
●第67戦闘隊 | F−15C/D戦闘機 | 27機 |
●第909航空給油隊 | KC−135R空中給油機 | 15機 |
●第961航空管制隊 | E−3早期警戒管制機 | 1〜2機 |
●第33救助隊 | HH−60ヘリコプター | 約10機 |
(3)第35戦闘航空団
◎所在地:青森県/三沢基地
◎所属兵員数:3,850人 (「三沢基地」のサイトより)
◎主な所属航空部隊は以下の通り(機数は報道などより)
●第13戦闘隊 | F−16戦闘機 | 18機 |
●第14戦闘隊 | F−16戦闘機 | 18機 |
◆「在日米軍」 U.S.FORCES JAPAN
http://www.usfj.mil/
◆「在日米陸軍・第1軍団(前方)」 UNITED
STATES ARMY JAPAN & ICORPS(FWD)
http://www.usarj.army.mil/
◆「在日米国海兵隊」 (日本語)
http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Index.html
◆「在日米海軍司令部」 Commander U.S. Naval
Forces Japan
https://www.cnic.navy.mil/Japan/index.htm
◆「第7艦隊司令部」 Commander U.S.7the
Fleet
http://www.c7f.navy.mil/
◆「三沢基地」 Misawa Air Base
http://www.misawa.af.mil/
◆「横田基地」Yokota Air Base
http://www.yokota.af.mil/
◆「嘉手納基地」kadena Air Base
http://www.kadena.af.mil/
◆Global Security
http://www.globalsecurity.org/military/agency/index.html