在日米軍再編の進捗状況09年1月〜3月


●海兵隊グアム移転協定
 米国では09年1月20日、オバマ前上院議員が大統領に就任しました。新政権発足直後の2月16日にはクリントン新国務長官が来日し、17日に中曽根弘文外務大臣と会談しました。このクリントン―中曽根会談で、「海兵隊グアム移転協定」の署名が行われました。協定は、米国領グアムに建設する米軍基地の建設費用の一部を日本が負担することと、普天間基地の代替施設を名護市辺野古沖に建設することを確定させるものです。沖縄県内では、県議会が3月25日に移転協定に反対する意見書を賛成多数で採択するなど、強い抗議の声が上がっています。
 なお、海兵隊のグアム移転とパッケージとなっている普天間基地の辺野古沖への移転に関しては、08年3月15日から開始された辺野古沖の環境アセスメント調査が、09年3月14日に終了しました。


●F22戦闘機の嘉手納基地への一時配備 米軍戦闘機の訓練移転
 米本土・バージニア州ラングレー空軍基地所属のF22戦闘機・12機が、1月10日から3か月の予定で沖縄県・嘉手納基地に一時配備されました。F22戦闘機の嘉手納基地への配備は、07年2月以来で2度目です。F22戦闘機は、米軍機や自衛隊機と戦闘訓練を行っています。
 一方、嘉手納基地所属の米空軍F15戦闘機5機が2月23日から27日の日程で、宮崎県・航空自衛隊新田原基地で訓練移転を行いました。
 米軍基地から自衛隊基地への米軍戦闘機の訓練移転は、本来は嘉手納基地周辺住民の騒音被害を軽減するための措置でした。ところが、嘉手納町の調査によると、米軍再編合意以降、県外での訓練に参加した嘉手納基地所属機が述べ30機に対して、嘉手納基地以外から飛来する航空機は126機であることが判明しました。


●米軍艦の入港
 2月5日には米海軍第7艦隊旗艦「ブルーリッジ」が長崎県・長崎港に入港しました。2月27日には原子力空母「ステニス」が長崎県・佐世保港に入港し、同時に随伴艦のイージス巡洋艦「アンティータム」が鹿児島県・鹿児島港に、イージス駆逐艦「プレブル」が福岡県・博多港に、イージス駆逐艦「キッド」が佐世保港に入港しました。


●ミサイル防衛
 2月26日に航空自衛隊は、岐阜県・岐阜基地の第4高射群第13高射隊にPAC3ミサイルを配備しました。

●事件・事故
 1月から3月にかけては、米軍関連の事故が多発しました。神奈川県・キャンプ座間では、基地内のゴルフ場からのゴルフボールの飛び出しが続いています。相模原市議会は2月6日の臨時会本会議で、在日米軍や政府などに対し抜本的な再発防止策を求める決議を全会一致で可決しました。
 2月15日には横須賀港で、イージス艦「ラッセン」がプレジャーボートに接触する事故を起こしました。
 2月17日には厚木基地所属のFA18戦闘攻撃機が飛行中に部品を落下させる事故が発生、厚木基地周辺市議会基地対策協議会(中丸孝志会長)は2月19日に基地に要請文を手渡しました。
 沖縄県金武町伊芸区では昨年12月、民家の駐車場に駐車していた乗用車に銃弾が突き刺さった状態で発見されました。沖縄県警は鑑定で米軍が使用している銃弾と同じものとしましたが、ケビン・メア在沖米総領事は記者会見で「(発見された銃弾は)第2次世界大戦の前から沖縄戦でも使われている弾であちこちにあるものだ」と述べ、米軍との関係を否定しました。これに対して金武町の住民は、3月1日に「米軍演習被弾事件を糾弾する区民総決起大会」を開催し、約400人が抗議の声をあげました。
 宜野湾市・海兵隊普天間基地では3月3日に、ジェット燃料3024リットルが漏れ出す事故が起きましたが、宜野湾市に連絡が入ったのは事故から2日後の3月5日でした。宜野湾市と県は基地への立ち入り検査を要求し、3月13日に検査が実施されました。
 山口県・岩国基地には、神奈川県・厚木基地から空母艦載機部隊の移駐が予定されていますが、基地周辺住民は反対運動の一環として3月7日、爆音訴訟原告団を結成しました。


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