700人が集まり辺野古新基地建設反対を誓う

●日時:2009年12月15日
●会場:東京都千代田区・星陵会館ホール


 12月15日夜、国会に近い星稜会館で「普天間基地はいらない 新基地建設反対 12・15緊急集会」が開かれました。主催は、平和フォーラムと辺野古への基地建設を許さない実行委員会の2団体です。定員400人のホールに700人以上が集まり、会場に入りきれない人々はロビーでテレビモニターを見ながらの参加とななりました。集会には、ヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんと、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さんが駆けつけ、沖縄の現状を報告しました。以下は、お2人の報告の要旨です。



安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会・共同代表)

 
 こんばんは。辺野古の問題ではこの星稜会館で何度も集会を持ちました。しかし今日は、ホールが満席になるだけではなく、ロビーにも人があふれています。多くの人々が私たちの闘いに連帯してくれることに、改めてお礼を言います。本当にありがとうございます。
 
 まず何と言っていいのか。「驕る平家久しからず」という言葉がありますね。僕は今回の8月30日の選挙は、小泉政権下の構造改革で多くの国民が虐げられて格差社会が生じる、あるいはお年寄りの生活が圧迫される、また官僚の天下りと、うみがものすごくでてきた、それに対する国民の反撃の選挙だと思います。必ずしも民主党の力だけで政権を変えた訳ではないでしょう。「自民党・公明党の政権で私たちの生活はどうなるのだ!!」という怒りが、政権交代を勝ち取ったのだと思うのです。これは主権者である国民の力です。そのことを確認し合う必要があると思います。

 そういう意味で連立政権に私たちは本当に期待しました。鳩山首相は普天間基地の移設問題について、「最低でも県外」と訴えていました。その結果、沖縄県では、自民党の国会議員は比例区でも当選できませんでした。これは正に沖縄の、自公政権に対する怒りの声だと思うのです。そのことを背景にして、連立政権は米国と交渉するのだろうと、大きな期待を持っていました。岡田外務大臣も政権発足当初は、「県外が政府の方針」と言っていたのです。それが米国との交渉が始まると、その姿勢が変わっていくのです。選挙前には対等の外交と言っていましたが、その窓口である外務大臣は何を考えているのか。防衛大臣は「官僚主導から政治主導へ」と言った民主党の大臣ではないのか。ところがこの間、官僚の思うままに発言が引っくり返っていきました。その発言に対して、私たちは腹が煮えくりかえるほどの怒りが沸きました。日ごとに変わる閣僚の発言、日替わり定食のような発言に、「民主党政権はどうなっているのか」と感じました。最後は鳩山首相が決めるということを信じていました。

 ゲーツ国防長官やキャンベルが来日した時に、マニフェストで言っている米軍再編の見直しを、なぜ堂々と言えないのでしょうか。国民の声で政権を作ったのです。民意を反映するべきです。沖縄の声は「普天間基地は即時閉鎖、普天間基地はNO」です。これが沖縄の民意です。なぜこの民意を背景にして、米国との交渉に臨まないのでしょうか。それが私たちの感想でした。交渉には相手がいます。相手側は米軍再編を見直したくないのですから、日本政府に圧力を加えて来るでしょう。しかし狭い道をこじ開けるのが外交交渉ではないでしょうか。そういう強気の姿勢を持たないで、外交交渉ができるでしょうか。私はそう思います。

 しかも前政権は、「外交・防衛は政府の専権事項」「閣議決定は国策」と言ってきました。私たち沖縄県民にそういう理由で、辺野古新基地建設を押し付けてきたのです。その前政権のツケを、新しい政権が踏襲する必要はありません。私たちが選挙の結果として連立政権に期待したことを、もっともっと政治の中で政策の中で実現して欲しいのです。

 本日の閣僚委員会の決定も、「一歩前進、一歩後退」で実質的には「チャラ」ではないでしょうか。なぜかというと、官僚の決めた「12月決着」を止めたことは大きな勝利です。しかし3党の結論の中には、普天間関連経費が予算に計上されることになりました。米国政府の顔色をうかがって、800億円の予算を借り置きすることはおかしいのではないでしょうか。本気になって交渉するのであれば、800億円は計上しない、「日本政府はこうなっている」と米国に伝えるべきです。800億円あれば、福祉や医療に回すべきです。そういうことを3党の協議で検討してほしかった。

 さらにアセスの手続きは継続されることになりました。2〜3日前に防衛省の高見沢局長が、「MV−22オスプレイの配備は決まっている」と発言しました。ところが、環境アセスメントの手続きの中では、方法書や準備書の作成過程の中で、私たちがオスプレイの配備を追及すると、防衛省は「米国に確認したがオスプレイの配備は決まっていない」と言っていたのです。米国側は2012年までに既存のヘリコプターをオスプレイに変えると言っているのにです。それが最近になって民主党政権では通用しないと考えたのか、オスプレイの配備を認めるようになりました。防衛省は国民に対して、どれだけウソをついているのでしょうか。

 アセスメントの審査会の中で私たちは、「なぜ200メートルの埠頭が必要か」と問いただしました。すると防衛省は、ヘリコプターが壊れたときに修理するために輸送船で運んでいく。そのためには200メートルの埠頭が必要だ」というのです。しかもそうした機会は、1年に1回程度ということです。これは明らかにウソでしょう。大浦湾は復帰まえにサンゴを爆破して、いまでも大型艦船が入れるのです。200メートルの埠頭とは軍港のことです。なぜ軍港が必要なのでしょうか。辺野古には弾薬庫があります。米軍はいま国道を使って、弾薬を運んでいます。辺野古にヘリ基地が移転して、そこに軍港があれば、辺野古弾薬庫の弾薬を船に積んでフィリピンやそのほかの地域に即座に移動することができるのです。米軍にとっては好都合な基地ができるのです。そのために私たちの税金が莫大に使われようとしているのです。

 これは前政権が許してしまったことです。しかし新しい政権が踏襲することがあっては、絶対にいけません。間違った国策については、私たち民衆の闘いでしか問い直すことはできないのです。今回の選挙で政権交代が起きました。国民の声を国会審議の中で生かして、過去の政策を覆すことが、今の国会の役割だと思うのです。政策や国策が間違っていたら、それを変えていく民衆運動が起きることが民主主義です。外交や防衛が国の専権事項だというのは、間違った論理です。それは戦前の軍独裁政権がやってきたことです。その結果が沖縄戦、広島・長崎、東京大空襲を生んだのではないですか。

 沖縄返還には、米国との間で密約がありました。自民党政権はそれを隠していました。あるいは外務官僚は、「この大臣なら話せる」という大臣には密約を教えていました。政権が代わって、そのことが次々と明らかになっています。新しい政権は、こうした外務省や防衛省の密約を、もっともっと明らかにしなければなりません。密約を引き出して国民に明らかにすることが、新政権の務めです。

 いま一番やらなくてはいけないことは、普天間基地の閉鎖です。それを米国と交渉するべきです。また環境アセスメント手続きを続けるのであれば、方法書からやり直すべきです。MV−22オスプレイの騒音など、だれもわからないのです。また36種類の新種のエビやカニがいることが、WWFの最近の調査でわかりました。このことは防衛省が委託した業者の調査では出ていません。おかしいでしょう。本当は見つかったのに、データを隠しているのかもしれません。業者がデタラメナ調査をしたのかもしれない。そうしたことを追及する必要があります。そうなると方法書からのやり直しなのです。

 沖縄担当大臣の前原さんは、MV−22の配備が事実であればアセスはやり直しと言いました。しかし防衛省の高見沢局長は、やり直しの必要はないと言っています。こういう官僚を、徹底的に追及しなければならないのです。

 来年は環境アセスメントの見直しの時期です。抜本的な改正をしなければなりません。日本の環境アセスメント法は、実態を事業に合わせるのです。環境アセスメントではなく「合わせメント」です。欧米並みの環境アセスメントの成立が必要です。環境を破壊する事業はストップさせる。こうした法律を作ってもらいたい。

 また来年は安保から50年です。今の政権は「日米同盟」という言葉を平気で使います。これは違うでしょ。日米同盟とは軍事同盟のことです。安保条約50年の節目に、日米安保条約を日米平和友好条約に変えましょう。私たちの手で、沖縄の闘いと同時に国民的な闘いとして検討してください。


山城博治さん(沖縄平和運動センター・事務局長)


 会場一杯にご参集をいただきました皆さん、本当にご苦労さまです。心から感謝を申し上げます。この状況が沖縄に報道されれば、県民は大きな勇気と力をえるでしょう。今日は与党3党の閣僚委員会で改めて協議する、新しい候補地も含めて検討するという報道で私たちは大きな力をいただいています。民主党・社民党・国民新党、それぞれの中でご尽力をいただいた議員の皆さん、後押しをしていただいた全国の仲間の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 私たちはこの選挙で、大きな勇気と展望をいただきました。しかしながら、新政府が樹立されるやいなや、米国からは大変な圧力がかかっています。野にあって反対を唱える者にとっても、政府にかかっている米国の圧力を感じないわけにはいきません。

 衆議員選挙の最中にインターネットを見ると、知日派といわれるジョセフ・ナイやマイケル・グリーン、多くの米国の論客が、民主党の反米3点セットという論を流していました。それを新しい政府が実現するのであれば日米関係は危ういと、選挙戦の最中から警告を発していました。一つは在日米軍再編、辺野古への基地移設の見直しです。あるいは沖縄側が要求している日米地位協定の見直し。あるいは2000億円にのぼる思いやり予算。民主党はこの3点を見直すと言っていました。米国の論客たちは、反米3点セットと言って警告を発していたのです。

 政権が発足した9月27日、マイケル・グリーンはこう言いました。「米国政府はいつまでも、鳩山内閣に甘くはない」です。こう言って日本政府の軌道修正に断固たる警鐘を鳴らしたのです。10月にやってきたゲーツ国防長官は、辺野古移設が唯一の選択肢として日本政府に求めました。安次富さんが言うように、日本政府の大きな動揺と腰砕けが始まっています。県民は落胆し、嘆き、この事態を憂いていました。しかし多くの国民の激励をうけて、政府が立ち止っていることに、私たちは大きな勇気と力を得ているのです。この流れを変えるわけにはいきません。ご参集をいただいた仲間の皆さん、ぜひとも内閣を支えて、今日3党が決めたことに間違いがないように、ぶれることがないように、後押しをして監視をしていこうではありませんか。

 しかしながら米国のことです。改めて大きな力を日本政府にかけて動揺を誘い、挫折をもくろむ事でしょう。私たちは断固とした闘いを進めなければなりません。このように思っています。この1点は辺野古の問題で闘っていますが、戦後60有余年の軍政下にあって、人権を踏みにじられ、命と財産と暮らしを脅かされたことの象徴であって、この問題を突破口に沖縄の戦後を回復する、私たちが基地から解放される、このような闘いの象徴にしたいと思っています。それはわが国の民主主義の回復でもあるのです。日本が60有余年、米国の属国となって、米国の言いなりとなって、憲法が無いかの如く扱ってきたわが国に、改めて国民が民主主義の時代を作る布石であると思っています。ご参集をいただいた皆さん、そのことを踏まえて闘いを作って行こうではありませんか。私たちも最後まで戦います。

 先日は大阪の橋本知事が、全国知事会に沖縄問題を提起したいといいました。また今日は全国町村会が、沖縄問題は全国の問題である、全国町村会で議論しようという大胆な提起をしています。そうした開かれた論議の中で国民世論が作られて、米国が付け入る隙を与えない、そうした国民世論が出来上がることを期待したいと思います。

 民主党政権が発足して以来、自民党政権下では封印をされてきた、宜野湾市の伊波洋一市長に対する大きなエールが送られています。先日来、国会では、伊波市長を招いての学習会が始まっています。ご案内のように、伊波さんはこう言っています。「米軍の普天間基地からグアムへの移転計画は、米国がどう言おうが着々と進んでいる」、「普天間基地移設の見直しをすれば、米軍再編は止まるという議論はおかしい」このように言っています。

 明らかにされた資料を見れば、普天間基地は全てグアムに移転することになっています。伊波市長も私たちも、「グアムに行け」と言っているわけではありません。米国自身が「グアムに行く」という詳細な計画を立てているのです。環境アセスメントも実施して、着々と実施しているのです。そうした中で、「辺野古が止まれば全てが止まるという論議はおかしい」と伊波さんは言っているのです。米国が日本国民を恫喝する論理が崩れているのです。

 神奈川県のキャンプ座間には、米陸軍第1軍団司令部が移転する予定でした。しかし米国の都合で、移転は中止になりました。米国が言っている、米軍再編のパッケージ論はウソのまやかしです。恫喝の道具なのです。そのことを踏まえて、しっかりと論議を踏まえて米軍にあてって行きましょう。勇気を持ってさらなる闘いを作って行きましょう。

 11月8日には、2万1000人が結集する闘いが作られました。1月24日の名護市長選挙でも、堂々たる勝利を収めることができると確信しています。この問題が持ちあげってから、過去3回の市長選挙に負け続けました。知事選挙も負け続けました。私たちの闘いは「物言えば唇寒し」の闘いをこの10数年余儀なくされてきました。しかし沖縄の闘いは、そうした状況にあっても着々と態勢を作ってきました。いまや揺るぎない世論として、普天間基地は即時閉鎖、辺野古新基地建設反対が県内に満ち溢れています。名護市長選挙に勝って、全国の仲間とともに、堂々たる陣形で米国政府に迫る、そうした闘いを作ります。
 
市長選挙が終われば、自民党県連は必ず方針転換をするでしょう。自民党が押し立てた仲井真県政も方針を変えて、基地の県内移設反対に加わってくるでしょう。確信しています。その時には必ずや沖縄県議会は、超党派の決議を採択して県内外に発信します。必ずや全会一致の決議で、全都道府県に、内外に発信する沖縄の闘いが作れる日を夢見ています。

 当面の辺野古の闘いですが、戦後64年、米国によって奪われた私たちの生活を取り戻す闘い、米国に物を言えない、全ては米国の仕切りでやってきたこの国に、自らの足で立ち、自らの意思で作る夜明けになるでしょう。

 鳩山首相の言うように、このアジア地域に戦争のない時代を作る、そういう政府を作りましょう。沖縄も改めて頑張る決意を申し上げて、あいさつにします。


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