沖縄から65人の要請行動団が上京 地位協定の抜本的改定を訴える
2008年4月14日・15日 東京都・国会周辺


 4月14日(月)・15日(火)の両日、沖縄県から「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会実行委員会」の日米政府要請行動団67人が上京しました。同実行委員会は、3月23日に北谷町・北谷公園で6000人の県民大会を開催し、米軍兵士による少女やフィリピン人女性に対する性暴力事件に抗議の声を上げました。今回の要請行動は、県民大会で決議した4項目の実現を、日米両国政府に迫るためのものです。

 要請行動団は2日間の日程の中で、総理官邸をはじめとした関係省庁・米国大使館・衆参両院への要請や、沖縄等米軍基地問題議員懇談会との懇談、本土支援者との連帯集会などを、精力的にこなしていきました。

 要請先での回答は、「総理に伝える」「大臣に伝える」「地位協定は改正ではなく、運用改善で対処する」など、要請行動団の期待に応えるものではありませんでした。

 実行委員長の玉寄哲永さん(沖縄県子ども会育成会連絡協議会会長)は、「教科書問題での申し入れでは、役所との面会人数も限られ、十分に話すことができなかった。しかし今回は、参加者全員が、思いを話すことができた」としました。

 その上で、「今回の省庁の回答が、その後どのように対処されるのか、本当に総理や上司に伝えたのか、しっかり確認しなければならない。その確認をしてくれるのは、沖縄県選出の国会議員のみなさんだ」、「弱いものが勝つためには、あきらめないこと大切。沖縄問題では勢いとうねりが生まれている。この勢いで闘う方策を考えよう。全国との連携を深めよう」と決意を語りました。

 行動の最後に、玉寄さんの音頭で「がんばろう」を三唱し、今後の取り組みに向けた決意を固めました。


■政党への要請
 民主党・社民党・共産党への要請では、各党ともに党幹部が対応しました。要請団からは全員が発言し、沖縄の生の声を聞いてもらうことができた様です。
 自民党への要請は、山崎拓衆議院議員と、個人事務所で会うことになりました。山崎議員は、党外交調査会長・沖縄振興委員長です。要請団は3人でしたが、それぞれの思いを強く訴えました。知花徳盛さん(沖縄県老人クラブ連合会常任理事)は、「私たちの方が負けてはいなかった」と話しました。

■米国大使館への要請
 米国大使館では、課長のグリーンさんが対応しました。要請団から、集会決議4項目を説明しましたが、「地位協定は運用改善で効果を上げている」との回答でした。また「基地の整理・縮小が先決」との声には、だまったままでした。私たちの意見を「上司に伝える」といっていましたが、「満足いく回答ではなかった」そうです。

■日本政府
 外務省では、外務副大臣の木村仁さんが対応しました。いろいろ話していたが、「大した中身はなかった」そうです。小渡ハル子さん(沖縄県婦人連合会会長)は、「事件が起きたときに、1度や2度抗議するだけでは、効き目がない。日本政府に対する抗議・要請では、保守・革新を超えて心を1つにして県民として訴えよう」と話しました。
 防衛省では、防衛大臣政務官の寺田稔さんが対応しました。政務官は「現在は運用改善で対応している。しかしそれで不十分であれば、地位協定の改定を外務省に進言する」と、踏み込んだ発言をしました。


日程
■4月14日(月)
●米国大使館への要請     安全保障担当課長 レイモンド・グリーンさん
●自民党への要請
●社民党への要請
●都道府県・東京事務所などへの要請
●全参議院議員事務所への要請
●沖縄等米軍基地問題議員懇談会と懇談
●東京連帯集会

■4月15日(火)
●衆議院への要請        衆議院副議長  横路孝弘さん
●参議院への要請        参議院議長   江田五月さん
●首相官邸への要請       内閣官房副長官 大野松茂さん(衆議院議員)
●外務省への要請        外務副大臣   木村 仁さん(参議院議員)
●防衛省への要請        防衛大臣政務官 寺田 稔さん(衆議院議員)
●内閣府への要請
●民主党への要請
●共産党への要請
●全衆議院議員事務所への要請
●報告集会
●記者会見


【写真レポート】 4月14日(月)


●自民党への要請では、山崎拓衆議院議員(党外交調査会長、沖縄振興委員長)が対応してくださいました。


●「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」への要請。懇談会会長の鳩山由紀夫さんから、国会での取り組みを報告。


●沖縄の現状を語る、上京団の皆さん。


●夜には国会そばの星陵会館で連帯集会を開催。平和フォーラム加盟組織や市民団体など、400人が結集。


●沖縄上京団と本土参加者で、集会場は熱気。


【写真レポート】 4月15日(火)


●衆議院副議長の横路孝弘さんと懇談。


●要請活動を終えて、国会内で報告会。


●要請行動の成果とこれからの活動を確認して、団結がんばろう!!


●日程の最後は、記者会見。


米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する決議

 「私たちに平和な沖縄を返してください。」?1995年、繰り返される米軍の事件・事故に抗議し日米両政府に訴えた県民大会から13年、そのとき約束された「再発防止」や「綱紀粛正」はむなしく、米軍犯罪は止むことをしらない。
 
戦闘機・ヘリコプターなどの墜落事故、殺人的な爆音、環境破壊など、県民は被害を受け続けている。しかも、女性に対する性暴力という凶悪犯罪がいまだ後を絶たない。

 米軍は今回の事件後、夜間外出禁止などの「反省期間」をおいた。しかし事件後も飲酒運転、民間住居不法侵入などを立て続けに起こした。日米両政府のいう、地位協定の「運用改善」ではすまされない実態が明らかになっている。

 基地被害により県民の人権が侵害され続けている現状をみれば、日米地位協定の抜本改正を行うことが、私たちの人権を守ることにつながる。

 13年前に約束した基地の整理縮小は一向に進まず、依然として広大な米軍基地の重圧に苦しめられている。私たちはあらためて、海兵隊を含む米軍兵力の削減など具体的な基地の整理縮小を強く求めていかなければならない。

 何ら変わらぬ現状に県民の我慢の限界はすでに超えている。

 日米両政府は、沖縄県民の訴えを、怒りを、真摯に受け止め、以下の事項を確実に進めるよう強く要求する。

記 

一、米軍優先である日米地位協定を抜本改正すること。

一、米軍による県民の人権侵害を根絶するため政府はその責任を明確にし、実効ある行動をおこすこと。

一、米軍人の綱紀粛正策を厳しく打ち出し、実効性ある具体的な再発防止策を示すこと。

一、米軍基地の一層の整理縮小を図るとともに、海兵隊を含む米軍兵力の削減を図ること。


米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会

2008年3月23日



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