PAC3の武山基地への配備反対で防衛省に申し入れ
2008年1月21日 東京都・防衛省
概要
日本政府は現在、ミサイル防衛(MD)を進めています。弾道ミサイルを大気圏外で迎撃する「SM3」搭載のイージス艦4隻と、弾道ミサイルを近距離で迎撃する「PAC3」16高射隊分を配備する計画です。「PAC3」の配備は07年度から始まり、既に入間基地(埼玉県)・習志野基地(千葉県)への配備が完了しました。さらに年度内に、武山基地(神奈川県)・霞ヶ浦基地(茨城県)へ配備する予定です。また自衛隊は1月14日夜に東京都新宿区の新宿御苑で、PAC3関連車両を展開し、発射地点としての適応性を調査しました。
こうした問題に対して、三浦半島地区労・神奈川県平和運動センター・平和運動センター関東ブロック連絡会・平和フォーラムの4団体は、1月21日に防衛省を訪れて申し入れを行いました。申し入れには社民党党首で参議院議員の福島みずほさんに、紹介議員として同行していただきました。
冒頭に、三浦半島地区労議長の三影憲一が、「横須賀市ではPAC3の配備や、原子力空母の配備が予定されている。地元住民は不安をいだいている。配備を中止してもらいたい」と述べました。以下は、申し入れでのやりとりです。
●防衛省
現在の国際情勢を見ると、大量破壊兵器や弾道ミサイルの配備が進んでいる。何かあったときの防御策の一環として、PAC3の配備は必要。地域に対しては、安全性と配備による効果を説明する。理解してもらいたい。
●質問
埼玉県入間基地へのPAC3配備以来、抗議を続けてきた。抗議の際に、PAC3で弾道ミサイルを撃墜した場合に、爆破したミサイルの破片などによる被害を質問したが、自衛隊は「分からない」という。先般、新宿御苑でPAC3のための調査が行われた。東京でPAC3を使用した場合は、落下物による被害も大きい。なぜこうしたことを、都民に知らせないのか。
●防衛省
敵の弾道ミサイルが、いつ・どこから・どのように飛来するか、ケースごとに迎撃形態が変わる。展開の形態は、一概には言えない。また、PAC3・SM3共に、能力を教えることはできない。弾道ミサイルに対して、PAC3で迎撃すれば、その破片は落下し被害が出る。それは間違いない。しかしどの程度の被害かは、不明である。
●質問
新宿御苑で、調査が行われた。なぜ新宿御苑なのか。
●防衛省
弾道ミサイルを迎撃する場合に、PAC3は迎撃に最適な場所に展開する。状況に応じては、都心に展開する場合もある。
展開地点の第1候補は自衛隊施設だが、都心の自衛隊施設は限られている。そのため国有地・公有地での展開の可能性もある。今回の調査は、そのための事前確認。必要に応じて今後も、他の地域での調査を実施する。
●質問
弾道ミサイルが発射された場合、日本にはどのくらいの時間で到達するのか。またその時間内で、自衛隊基地から迎撃地点までの移動が可能なのか。
●防衛省
射程距離1,000km程度のIRBM(戦域弾道ミサイル)の場合、発射から10分程度で目標に到達する。発射されてはじめて気づくということのないように、日常的に情報収集を行っている。
●質問
調査や訓練を行う際に、地元自治体や住民に対して事前通告を行うことはないのか。
●防衛省
今回は、事前通告を行わなかった。理由は、安全かつ円滑に調査を行うため。今後の実施に当たっては、そのたびごとに、通告するかどうかを判断する。
●質問
公園などへの、長期間の展開も想定しているという報道もあるが。
●防衛省
そのときにならないと、分からない。
●質問
私は横須賀の市議会議員。12月議会でも質問したが、国から横須賀市に対しては、PAC3配備の通告が無い。どういう装備が配備されるのかなどを含めて、市への説明が行われていない。情報公開が必要ではないか。
●質問
私は、横須賀に隣接する三浦市に住んでいる。PAC3の迎撃半径は20kmとのことだが、三浦市は20kmに入る。しかし三浦市に対しても、国からの説明は無いも無い。
●防衛省
PAC3は、現在配備しているPAC2のアップグレード版。隊員や装備が増えるなどで、基地が強化されるわけではない。自治体に対しては既に、PAC3の配備は通達している。
●質問
国から住民への説明は、実施しないのか。
●防衛省
一義的には、自治体に対して連絡する。住民への説明は、ケース・バイ・ケース。
●質問
PAC3の調査・訓練に必要な要件は、展開地の管理者からの使用許可だけなのか。
●防衛省
管理者の使用許可があれば、問題ない。また武力攻撃事態の際には、自衛隊法の基づく土地使用の場合もありうる。
●最後に
住民への説明・情報公開が不足している。また攻撃を受けないための努力を強めてもらいたい。
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●「日本のミサイル防衛(MD)を考える」
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