核空母「エンタープライズ」寄港阻止40周年集会を開催
2008年1月19日・20日 長崎県佐世保市


●1月19日午後1時〜 集会・デモ
 1月19日に、長崎県佐世保市の松浦公園で、長崎県平和運動センターが主催する「核空母エンタープライズ寄港阻止闘争から40年 九州ブロック反基地集会 IN 佐世保」が開催されました。この集会には、九州各県や全国の基地所在地から、約500人が参加しました。
 主催者を代表してあいさつに立った長崎県平和運動センター議長の中崎幸夫さんは、原子力潜水艦シードラゴンの寄港阻止闘争(64年)、原子力空母エンタープライズの寄港阻止闘争(68年)、原子力船むつの入港阻止闘争(78年)などの歴史を解説しました。その上で、原子力艦船の日本寄港に際しては常に佐世保が狙われてきたこと、そうした策動に労働組合が先頭に立って反対してきたことなどを明らかにしました。
 その後、佐世保現地闘争本部の吉村庄二さん、平和フォーラム事務局長の福山真劫さん、社民党全国連合の藤田高景さん、19日佐世保市民の会の藤原辰雄さん、全港湾労組九州地本委員長の村永幸司さんが、エンプラ闘争当時の思い出と、今後も米軍基地強化に反対する決意を述べました。
 集会終了後、参加者はデモ行進に移り、松浦公園から佐世保橋・米軍ゲート前・平瀬橋・アーケード街と、40年前と同じコースを歩きました。

●1月19日午後3時〜 講演会
 デモ行進の終了後は、佐世保市内のホテルで記念講演会をおこないました。講演会の冒頭には、40年前に長崎放送が作成した「佐世保・激動の記録」が上映されました。スクリーンから流れる労働者・学生・佐世保市民の闘いの映像に、エンプラ闘争当時を知っている人も、知らない人も、大きな感銘をうけました。
 その後、軍事ジャーナリストで沖縄大学客員教授の前田哲男さんが、「武力による安全保障から憲法にもとづく平和補償へ エンプラ闘争40年に考える」という題で、講演をおこないました。
 前田さんは、@原子力潜水・原子力空母を佐世保に入港させ、成功すればその後に横須賀・全国へと拡大していく、A朝鮮・ベトナムへの出撃拠点として佐世保を強化する――という戦略が、当時の米軍にあったことを明らかにしました。
 また現在の軍事力を基にした安全保障では、国民生活と国家安全が両立しないこと、日本とアジア諸国の安全が両立しないことを述べ、こうしたジレンマを取り除くためには、EUのような「共通の安全保障」を模索するしかないことを訴えました。

●1月20日午前9時〜 各地区報告
 20日午前中には、集会に参加した各地域から、米軍基地や日米共同演習などについての報告がありました。
 参加者は2日間の行動を通して、在日米軍再編や自衛隊の強化に対して、全国の運動を1つに結んで対抗していくことを確認しました。


●写真レポート


●集会会場の「松浦公園」には、500人が集まりました。
エンタープライズが入港した68年1月19日を挟む「激動の1週間」では、
この公園から多くの労働者が阻止行動に出発しました。


●長崎県平和運動センター議長の中崎幸夫さん。


●佐世保現地と九州各地から参加した仲間たち。


●「19日佐世保市民の会」の藤原辰雄さん。
1968年1月19日から40年間、毎月19日に佐世保市内でデモ行進を行っています。
「私は80歳。40歳の時にエンプラが入港し、それ以来40年間デモをしている。」
「この40年間で分かったことは政府のいうことはウソばかりということ」と、話しました。


●米軍基地に向けて出発。佐世保市内3キロを、デモ行進しました。


●市内のホテルで開いた集会。講演は前田哲男さんです。
40年前、前田さんは長崎放送の記者として、エンプラ闘争を取材していました。


●沖縄の状況を報告する、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さん。


集会決議
1968年1月19日、喧騒の中を米原子力空母「エンタープライズ」は佐世保港に入港した。労働者や学生、市民をはじめとする多くの国民の反対の声を押し切り、ベトナム戦争・北爆に参加した「動く核基地」が日本に初めて入港を強行したのである。

当時の総評、社会党で組織する「原子力艦隊寄港阻止全国実行委員会」は、寄港日を中心に1月17日から23日の出港まで連日にわたって反対行動を展開、佐世保を揺るがす激動の闘いに全国の人々の関心が注がれ、そして、日米両政府をして反復寄港をためらわせることにつながった。こうした反対運動の高揚に、労働者が大きな役割を果たしたことを忘れてはならない。

その闘いから40年の節目を迎えるにあたり、私たちは、反戦・反基地闘争を積極果敢に取り組んできた歴史と伝統を、さらに継承・発展させることを誓いあうとともに、軍事力によって平和は守れないこと、そして、米軍再編・日米軍事一体化や自衛隊の海外派兵など、憲法の空洞化につながるすべての策動にも抗し続けることをあらためてアピールする。

この間、米国追随の政策によって日米安保体制は強化されてきた、沖縄をはじめとする基地の存在は、多くの地域住民に恐怖と不安、重圧を強いてきた。岩国でも明らかなように地方自治の根幹さえ踏みにじられているのである。

憲法を変えて戦争ができる国づくりをめざした法整備も着々と進められている。周辺事態法、有事法制、教育基本法改定などに続き、先の臨時国会では、米軍艦船等への給油活動再開のための法案が再可決という与党の暴挙によって成立した。来週にも自衛艦が佐世保と横須賀からインド洋へむけて出動する。さらに、政府・与党は自衛隊の海外活動の恒常化と武力行使に道を開く、いわゆる「恒久法」の制定も視野に入れている。

そして、原子力空母の初寄港から40年の今年8月には、最新鋭の米原子力空母「ジョージ・ワシントン」の横須賀への配備が強行されようとしている。

私たちはこうした現状を断じて許すことはできない。非戦・平和主義、主権在民、基本的人権の尊重を基本理念とする日本国憲法にもとづく平和保障を確立するため、さらに運動を強化することをここに決議する。


2008年1月19日
核空母「エンタープライズ」寄港阻止闘争40年 九州ブロック反基地集会



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