広島・山口で米軍と自衛隊が共同訓練を実施
広島県平和運動センターなどが強く抗議

(記事・写真・別紙資料はともに、広島県平和運動センターです)


日米合同訓練に抗議
 1月16日から3日間、陸上自衛隊第13旅団と米海兵隊による合同訓練が、岩国基地、川上弾薬庫(東広島市)、秋月弾薬庫(江田島市)において実施されることに抗議し、1月16日、県平和運動センターと県原水禁の呼びかけで原爆ドーム前にて座り込みを行い80人が参加しました。
 県平和運動センターの向井高志議長は、「防衛庁の省昇格直後に訓練を強行した。シビリアンコントロールや専守防衛など、戦後の防衛政策の原則が大きく転換しはじめている」と危機感を述べ、「改めて岩国基地機能強化をはじめ基地縮小・撤去の闘いをさらに強めていこう」と呼びかけました。参加者で採択した安倍首相、久間防衛相あてに抗議文(別紙)を送付しました。
 また、川上弾薬庫のある憲法を守る東広島地区協議会は、1月12日、共同訓練の即時中止を求める要請書を久間防衛相あてに送付(別紙)。
15日には、東広島市長に対し国に訓練中止を求めるよう要請書を手渡しました。16日には早朝から監視行動を行い、東広島市役所前にて21人が参加して抗議の座り込みが行われました。

●原爆ドーム前での座り込み


憲法を守る東広島地区協議会代表委員・赤木達男さん(07年1月17日)

 私たち憲法を守る東広島地区協議会は16日から3日間、陸上自衛隊第13旅団が米軍海兵隊と米軍川上弾薬庫の合同警護訓練が開始されるという情報を受け、12日に久間防衛大臣宛の「訓練中止の申し入れ」(郵送)、15日に藏田東広島市長への要請、16日に抗議と即時中止を求める座り込み、16日からメンバーが随時現地での監視を行うなどの取り組みを展開しています。

 今回の日米合同による川上弾薬庫の警護訓練の問題点の第一は、過去2回の訓練と同様、真に市民の生命・財産を守るのではなく、むしろ平穏な市民生活を脅かし、懸念と不安を募らせるものだからです。明らかにアメリカにより意図された情報操作と国際法を無視し始まったイラク戦争は、泥沼化し内戦状態と化しています。国内外で批判に晒されている米ブッシュ政権は、さらに2万2千人規模の軍隊を増派し、大規模な作戦行動を計画していると聞きます。「イラク特措法」により派遣されている航空自衛隊が、この大規模な掃討作戦の兵員を輸送する任務に当たることは歴然としています。結果、米軍と共にイラク戦争を続ける「侵略軍」として対日感情は一段と悪化し、在外邦人や日本国内の安全が脅かされることが危惧されます。こうした誤った政策を続ける前提で、米軍施設を「テロ攻撃から守る」ための訓練が実施されることはどうしても容認できません。

 第二に、「国民保護法」に基づき今年度末を目途に「東広島市国民保護計画」の策定が進められています。極東アジア最大規模の米軍川上弾薬庫を抱える中で、真に市民の生命・財産を守るための計画を策定するには、川上弾薬庫に関する情報を抜きに実効あるものとできません。ところが貯属弾薬の種類や数量は一切明らかにされず、昨年2月以降は弾薬輸送に関する情報提供も狭められ、市民の安心・安全にとって不可欠な情報は完全にクローズされています。こうした中で米軍施設の警護訓練を実施することは容認できません。

 第三に今回の訓練規模が、出動する隊員数が約3倍になり米海兵隊との合同訓練となっていることなど、過去2回のものと比べ規模、質とも大きく変容していることです。2003年と2005年にも陸自による警護訓練が行われていますが、正門横には銃座が設けられ市民の往来する市道や隣接する民家など市街地に重機関銃の銃口が向けられた中で戦闘ヘリが上空を飛び交い、無反動砲が空を睨むという物々しい中で訓練が強行されました。今回の訓練は、これまでの3倍の陸自の部隊員と米海兵隊90名という大規模な訓練です。にもかかわらず、当該自治体にすら詳細な情報を提供せず、一片の「お知らせ」で済ませることは極めて重大な問題です。日米安保条約と地位協定に基づくものあるとはいえ、「軍事機密」の一言で、市民の生命・財産に直接責任を負う当該の自治体すら「蚊帳の外」に置くことも、到底容認できません。
 
 第四に、この訓練が日本の防衛政策の質的な大転換と軸を一にして実施されることです。1月9日、「防衛庁」が「防衛省」に格上げされ、これまで内閣府を通じて行ってきた閣議の開催請求や予算要求などを防衛相が行うことになり、自衛隊法で付則に規定されていた国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法(イラク特措法)に基づく活動などを「わが国の防衛」と並ぶ自衛隊の本来任務とするなど、「シビリアンコントロール」と「専守防衛」というこれまでの防衛政策を転換しました。一層、海外での米軍との一体的な軍事行動の道を開き、防衛省の権限権能を強化が、日本にとって真の安全保障となり、国民、市民の生命・財産を守り、自立した地方自治運営につながるのか大いなる疑問であり、むしろ懸念と危惧を禁じ得ません。

 第五に、こうした状況の下で訓練が繰り返されることで、米軍川上弾薬庫の機能強化と永続化につながる懸念があることです。これまで市行政も議会も、市民も米軍川上弾薬庫は平穏な市民生活と市経済発展にとって不要な施設として、関係機関を通じて早期の撤去と跡地の返還を求めてき。このような本市の基本姿勢から言っても、今回の警護訓練を容認することはできません。
 
こうした理由から、冒頭述べました行動を展開しています。訓練2日目に入っていますが、弾薬庫では完全武装した米海兵隊員と自衛隊警護隊員が、基地に出入りする民間車輌を含めた厳重なチェックを行うなど、通常の基地とは異なる緊迫した状況に包まれています。いつ大規模な部隊員と戦闘車両やヘリなどが出動したテロ撃退訓練が実施されるのか不明ですが、現地では監視行動を続けながら、非核兵器都市宣言を発し平和を希求する東広島の平穏な市民生活が脅かされている事実を広めて行けなければと考えています。川上弾薬庫の早期撤去に向けた粘り強い運動を展開していきますので、皆さんのご支援をよろしくお願い致します。



●基地前の状況


2007年1月16日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
防衛大臣    久間 章生 様

原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)
代表委員  向井高志 片山春子 桑原知己

広島県平和運動センター
議  長  向井高志

「在日米軍施設及び区域における警護に関わる訓練」実施に抗議する

1月16日から3日間にわたり、在日米軍岩国基地、川上弾薬庫(東広島市)、秋月弾薬庫(江田島市)において、陸上自衛隊第13旅団と米海兵隊による「在日米軍施設及び区域における警護に関わる訓練」実施に強く抗議する。

 今回の訓練は、真に市民の生命・財産を守るのではなく、むしろ平穏な市民生活を脅かし、懸念と不安を募らせるものである。明らかにアメリカにより意図された情報操作と国際法を無視して始まったイラク戦争は、泥沼化し内戦状態と化している。国内外で批判にさらされている米ブッシュ政権は、さらに2万人規模の軍隊を増派し、秋頃までの大規模な作戦行動を計画している。「イラク特措法」により派遣されている航空自衛隊が、この大規模な掃討作戦の兵員を輸送する任務に当たることは歴然としており、結果、米軍と共にイラク戦争を続ける「侵略軍」として対日感情は一段と悪化し、在外邦人や日本国内の安全が脅かされることにつながるものである。こうした誤った政策を続ける前提で、米軍施設を「テロ攻撃から守る」ための訓練が実施されることは容認できない。

 また、この訓練が日本の防衛政策(軍事政策)の質的な大転換と軌を一にして実施されものであり、1月9日、「防衛庁」が「防衛省」に格上げされ、自衛隊法で付則に規定されていた国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法に基づく活動などを「わが国の防衛」と並ぶ自衛隊の本来任務とされ、世界のどこにでも米軍とともに戦争のできる態勢づくりにむかい、「シビリアンコントロール」と「専守防衛」というこれまでの防衛政策を大転換したものと言わざるを得ない。そして政府は、自衛隊の海外派兵恒久法制定、武器使用基準の緩和、集団的自衛権の行使、憲法改悪をもくろみ、戦争のできる国へと進もうとしていることは断じて容認できない。

 私たちは、こうした戦争につながる一切の動きに反対する。


2007年1月12日

防衛大臣 久間章生 様

憲法を守る東広島賀茂地区協議会
代表委員  岩本喜寿  中杉義宏  赤木達男  鳴尾善彦

在日米軍施設(川上弾薬庫)における警護訓練の中止求める申入書

 来る1月16日から3日間、陸上自衛隊第13旅団が米軍川上弾薬庫の警護訓練を実施するという情報に接しましたが、私たちは下記の理由により容認できません。
 第一に、過去2回の訓練と同様、真に市民の生命・財産を守るのではなく、むしろ平穏な市民生活を脅かし、懸念と不安を募らせるものだからです。明らかにアメリカにより意図された情報操作と国際法を無視し始まったイラク戦争は、泥沼化し内戦状態と化しています。国内外で批判に晒されている米ブッシュ政権は、さらに2万人規模の軍隊を増派し、秋頃までの大規模な作戦行動を計画していると聞きます。「イラク特措法」により派遣されている航空自衛隊が、この大規模な掃討作戦の兵員を輸送する任務に当たることは歴然としています。結果、米軍と共にイラク戦争を続ける「侵略軍」として対日感情は一段と悪化し、在外邦人や日本国内の安全が脅かされることが危惧されます。こうした誤った政策を続ける前提で米軍施設を「テロ攻撃から守る」ための訓練が実施されることはどうしても容認できません。

 第二に、国民保護法に基づき今年度末を目途に「東広島市国民保護計画」が策定されています。極東アジア最大規模の貯蔵能力の米軍川上弾薬庫を抱える市として、真に市民の生命・財産を守るための計画を策定するには、川上弾薬庫に関する情報を抜きに実効あるものとすることができないことは論を待ちません。ところが貯属されている弾薬の種類や数量が一切明らかにされないばかりか、昨年2月以降、弾薬輸送に関する情報提供も狭められるなど、市民の安心・安全の確保にとって不可欠な情報は完全にクローズされています。こうした中で米軍施設を警護する訓練が実施されることは容認できません。

 第三に今回の訓練規模が、出動する隊員数が約3倍になり米海兵隊との合同訓練となっていることなど、過去2回のものと比べ規模、質とも大きく変容していることです。これだけ大規模な訓練を実施するにもかかわらず、当該自治体にすら詳細な情報を提供せず、一片の「お知らせ」で済ませることは問題です。日米安保条約と地位協定に基づくものあるとはいえ、「軍事機密」の一言で、市民の生命・財産に直接責任を負う当該の自治体すら「蚊帳の外」に置くことも、到底容認できません。

 第四に、この訓練が日本の防衛政策(軍事政策)の質的な大転換と軸を一にして実施されることです。1月9日、「防衛庁」が「防衛省」に格上げされ、これまで内閣府を通じて行ってきた閣議の開催請求や予算要求などを防衛相が行うことになり、自衛隊法で付則に規定されていた国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法に基づく活動などを「わが国の防衛」と並ぶ自衛隊の本来任務とされるなど、「シビリアンコントロール」と「専守防衛」というこれまでの防衛政策を転換したものと言わざるを得ません。
 いっそう海外での米軍との一体的な軍事行動の道を開き、防衛省の権限権能の強化が、日本にとって真の安全保障となり、国民、市民の生命・財産を守り、自立した地方自治運営につながるのか大いなる疑問であり、むしろこれまで述べましたような懸念と危惧を禁じ得ません。

 第五に、こうした状況の下で訓練が繰り返されることが、米軍川上弾薬庫の機能強化と永続化につながる懸念です。これまで市行政も議会も、市民も米軍川上弾薬庫は平穏な市民生活と市経済発展にとって不要な施設として、関係機関を通じて早期の撤去と跡地の返還を求めてきました。

 これらの理由をもって、下記について申し入れます。



貴職の職責として、今回の「在日米軍施設および区域における警護に関する訓練」を即時中止するとともに、防衛省として「テロ」の惨禍を誘発する一切の行動を慎むこと。

以上、強く申し入れます。


2007年1月15日

東広島市長 藏田義雄 様

憲法を守る東広島賀茂地区協議会
代表委員  岩本喜寿  中杉義宏  赤木達男  鳴尾善彦

陸上自衛隊による米軍川上弾薬庫における警護訓練に関する要請書

 平穏で安心・安全な市民生活を築くための諸政策推進にご尽力いただいておりますことに、心から敬意を表します。
 さて来る1月16日から3日間、陸上自衛隊第13旅団が米軍川上弾薬庫の警護訓練を実施するという情報に接しましたが、私たちは下記の理由により容認できません。

 第一に、過去2回の訓練と同様、真に市民の生命・財産を守るのではなく、むしろ平穏な市民生活を脅かし、懸念と不安を募らせるものだからです。明らかにアメリカにより意図された情報操作と国際法を無視し始まったイラク戦争は、泥沼化し内戦状態と化しています。国内外で批判に晒されている米ブッシュ政権は、さらに2万人規模の軍隊を増派し、秋頃までの大規模な作戦行動を計画していると聞きます。「イラク特措法」により派遣されている航空自衛隊が、この大規模な掃討作戦の兵員を輸送する任務に当たることは歴然としています。結果、米軍と共にイラク戦争を続ける「侵略軍」として対日感情は一段と悪化し、在外邦人や日本国内の安全が脅かされることが危惧されます。こうした誤った政策を続ける前提で米軍施設を「テロ攻撃から守る」ための訓練が実施されることはどうしても容認できません。

 第二に、国民保護法に基づき今年度末を目途に「東広島市国民保護計画」が策定されています。極東アジア最大規模の貯蔵能力の米軍川上弾薬庫を抱える市として、真に市民の生命・財産を守るための計画を策定するには、川上弾薬庫に関する情報を抜きに実効あるものとすることができないことは認識の共通するところです。ところが貯属されている弾薬の種類や数量が一切明らかにされないばかりか、昨年2月以降、弾薬輸送に関する情報提供も狭められるなど、市民の安心・安全の確保にとって不可欠な情報は完全にクローズされています。こうした中で米軍施設を警護する訓練が実施されることは容認できません。

 第三に今回の訓練規模が、出動する隊員数が約3倍になり米海兵隊との合同訓練となっていることなど、過去2回のものと比べ規模、質とも大きく変容していることです。これだけ大規模な訓練を実施するにもかかわらず、当該自治体にすら詳細な情報を提供せず、一片の「お知らせ」で済ませることは問題です。日米安保条約と地位協定に基づくものあるとはいえ、「軍事機密」の一言で、市民の生命・財産に直接責任を負う当該の自治体すら「蚊帳の外」に置くことも、到底容認できません。

 第四に、この訓練が日本の防衛政策(軍事政策)の質的な大転換と軸を一にして実施されることです。1月9日、「防衛庁」が「防衛省」に格上げされ、これまで内閣府を通じて行ってきた閣議の開催請求や予算要求などを防衛相が行うことになり、自衛隊法で付則に規定されていた国連平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法に基づく活動などを「わが国の防衛」と並ぶ自衛隊の本来任務とされるなど、「シビリアンコントロール」と「専守防衛」というこれまでの防衛政策を転換したものと言わざるを得ません。

 いっそう海外での米軍との一体的な軍事行動の道を開き、防衛省の権限権能の強化が、日本にとって真の安全保障となり、国民、市民の生命・財産を守り、自立した地方自治運営につながるのか大いなる疑問であり、むしろこれまで述べましたような懸念と危惧を禁じ得ません。

 第五に、こうした状況の下で訓練が繰り返されることが、米軍川上弾薬庫の機能強化と永続化につながる懸念です。これまで市行政も議会も、市民も米軍川上弾薬庫は平穏な市民生活と市経済発展にとって不要な施設として、関係機関を通じて早期の撤去と跡地の返還を求めてきました。このような本市の基本姿勢から言っても、今回の警護訓練を容認することはできません。

 趣旨ご理解いただき、下記についての対応をとっていただきますよう要請いたします。

1.陸上自衛隊第13旅団長および防衛庁長官に、今回の「警護訓練」を即時中止する   とともに、「テロ」の惨禍を誘発する一切の行動を慎むことを申し入れられること。

2.東広島市民の生命・財産を保護する観点から、米軍川上弾薬庫に関する情報と、これまで通りの弾薬輸送に関する情報提供を強く求めていただきたい。

3.基地を抱える関係自治体との連携はもとよりですが、本市独自で防衛施設庁、外務省  などを通じ米軍に直接的な申し入れるなどアクションを起こしていただきたい。

4.「川上弾薬庫の撤去」実現に向けてさらに一層の働きかけを行うと共に、アクション  ・プログラムの策定に着手していただきたい。

上記の各項目について、「国の専任事項」「防衛機密」という壁に怯むことなく、市民の生命・財産に直接的な責任を負う自立した基礎自治体として、毅然とした姿勢で対応していただきますよう強く要請いたします。




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