岩国で1万人が補助金カットに「怒」
井原市長を先頭に、岩国市で市民集会を開催


12月1日に山口県・岩国市で「国の仕打ちに怒りの1万人集会in錦帯橋」が開かれ、全国各地から1万1千人が参加しました。また山口県平和運動フォーラムの呼びかけで開かれた前段行動には、全国から2,000人が参加しました。以下は、集会のレポートです。


●参加者全員で、「怒」の文字を掲げて日本政府に抗議。


◆平和フォーラムの前段行動
「社会の正義を取り戻そう in 岩国」


●平和フォーラムの前段行動であいさつする、岩国市長の井原勝介さん。


●衆議院議員の横路孝弘さん、重野安正さん、平岡秀夫さんから連帯のアピール。


●厚木基地爆音訴訟同盟のみなさんも、駆けつけました。
「基地被害のたらい回しはゆるさない」と強く訴えました。


●前段行動に参加した全国の平和フォーラムの仲間、2,000人。


◆本集会
「国の仕打ちに怒りを 1万人大集会」


●集会は喜納昌吉さん(参議院議員・民主党)の歌で始まりました。


●会場になった錦帯橋下の河原。主催者発表で1万1千人が参加しました。



●市長の井原勝介さんから、強い訴え。

井原勝介さん

 いま岩国市は、米軍再編をめぐって苦しんでいます。岩国市民は、平和な生活を望んでいるだけです。その岩国市民を「アメとムチ」で押さえつけるのは、国のすることではありません。私は、基地の撤去を求めているわけではなく、これ以上の負担の拡大は受け入れられないといおっているのです。また協議を拒否しているわけでもありまあせん。岩国市は分断されています。全国の皆さんの応援をお願いします。

 日本政府は2年前に、米軍再編に関して、「厚木基地から59機の航空機が移転してくる」と発表しました。私はこれを聞いて、「とんでもないことだ」と思いました。いまでも岩国市は大きな負担を抱えていますが、これ以上に基地が強化されれば、岩国市の発展はなくなってしまいます。これまで岩国市は、米軍基地や政府の方針に協力してきました。しかし自治体としては、住民の安心と安全を守らなければなりません。いま以上の負担は、我慢することができません。

 岩国市では住民投票を行い、住民が艦載機移転の反対を決めました。政治の場では、民意は非常に重たいものです。しかしその民意が、政府にはとどかないようです。
 岩国市の新市庁舎は、建設が始まって3年目です。3年目で補助金をカットするというのは、信じられない強行措置です。この米軍再編は、逮捕された守屋前事務次官がリードしていました。岩国市の補助金カットは、その強引な手法の象徴です。
 国の役割は、国民の負託を受けて、国民を幸せにすることです。いまのようなことを、国がするべきではありません。国に対する不振が高まるだけです。今回の問題の最大の焦点は、「米軍再編・国の安全保障」と、「地域住民の安全・安心」を、どのように調整するのかということです。

 私は昨日、国に対して5つの条件を出しました。この条件をもとに、納得の行く解決策が示されなければ、取引はしません。「どうせ艦載機は来るのだから、カネももらっておかなければ」という意見には組しません。平和で平穏な生活をおくるためには、どうすればいいのか。一人一人が自由に選択できることが、民主主義です。「街の将来は自ら選択する」、それを示したのが、住民投票です。

 私は絶対にあきらめません。納得いくまで議論します。みなさん、一緒にがんばりましょう




●民主党・社民党・共産党・無所属の国会議員が勢ぞろいし、連帯のあいさつ。


●発言に聞き入る人びと。


●どてには大きな「怒」の文字が。


●「怒」を刷り込んだ紙を、全員で掲げ、抗議の意思を示しました。


岩国市庁舎問題とは

 岩国市は、新市庁舎を建設しています。81億5000万円のうち49億円を政府の補助でまかなう予定で、既に2年間交付されています。 最終年度の07年度は35億円を見込んでいました。

 政府から岩国市への補助は、SACO関係費が当てられていました。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)は1996年、沖縄の基地負担軽減のため、普天間基地の返還や、海兵隊実弾砲撃演習の訓練移転などで合意しました。その中で普天間基地のKC130空中給油機を岩国基地に移転することになり、岩国市も同意。見返りとして、新市庁舎建設への補助金交付が決まったのです。

 SACOで岩国基地移転とされたKC130空中給油機が、米軍再編で再度検討され、岩国基地移転を基本に鹿屋基地(鹿児島県)とグアムへのローテーション展開へと変わりました。そこで政府は岩国市への補助金を、SACO関係費から米軍再編関係費に移したのです。

 岩国市はSACOによる空中給油機移転は受け入れましたが、米軍再編による空母艦載機移転には反対しています。政府は、空母艦載機移転を受け入れない限り、補助金交付は困難としているのです。

 政府は、米軍再編は「国の専管事項」としています。岩国市が拒否をしても空母艦載機の移転は行われるのでしょう。移転が行われた後に、周辺自治体は交付金を受け取りながら、最も負担の大きい岩国市は交付金を受けられないということにもなりかねません。



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