小松基地へのF15戦闘機の移転訓練反対
平和フォーラム北信越ブロック中心に800人が基地を包囲。
石川県平和運動センターと平和フォーラム北信越ブロックは5月20日、「来るな米軍!5.20小松基地抗議集会」を開催し、800人が参加しました。
石川県の航空自衛隊小松基地では、5月17日から23日までの日程で、米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機5機による移転訓練が行われています。移転訓練は、在日米軍再編協議の中で、嘉手納基地周辺住民の騒音被害の軽減を目的に日米政府が合意したものです。1週間から10日程度の訓練を1年間に15回、千歳基地(北海道)・三沢基地(青森県)・百里基地(茨城県)・小松基地・新田原基地(宮崎県)・築城基地(福岡県)の6か所に移転して行ないます。第1回目の訓練は今年3月に築城基地で行われ、小松基地で行なわれる今回の訓練は第2回目になります。
13時30分から始まった集会では、平和フォーラム北信越ブロック幹事県・長野県労組会議議長の飯田敬次さん、石川県平和運動センター代表の嶋垣利春さん、全国基地問題ネットワーク共同代表の住友肇さん、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さん、連合石川会長の川淵尚志さん、小松基地爆音訴訟原告団代表の広瀬光夫さんなどが、次々と訓練移転反対・基地の撤去を訴えました。
1時間の集会終了後、参加者は小松駅までのデモ行進を実施。その後、小松基地正面ゲートに移動して、「人間の鎖」で基地を包囲しました。
●長野県労組会議議長の飯田敬次さん
17日からF15戦闘機5機が飛来し、共同訓練が始まりました。この間、石川県平和運動センターを中心に、申し入れ行動などを行なってきましたが、訓練は強行されてしまいました。訓練強行に対して明確に抗議します。今回の訓練移転は小松基地のみ、石川県のみの問題ではなく、日本全体の平和のあり方に対する問題です。そのために北信越ブロックとして集会を主催しました。
共同訓練は、日米ロードマップに基づいて行なわれています。その狙いは、日米軍事同盟の一体化と、集団的自衛権の行使に道を開くことです。米軍基地の恒久化という大きな狙いもあります。米軍再編に日本が組み込まれていくことを、改めて認識しなければなりません。
米軍再編の狙いは、同盟国の役割強化・戦争能力の強化によって、米国の「世界の憲兵」としての地位を確固たるものにする戦略です。それは、軍事力による世界の支配であり、平和を求める世界の声に対して逆行しています。
日本は再び戦火に見舞われるかもしれません。断固として、許すことはできません。いま日本国内では、国民投票法・米軍再編特措法案・イラク特措法改正案・教育関連3法案などの強行採決が次々と行なわれようとしています。このことは憲法9条を改悪し、集団的自衛権の行使に道を開く流れと一体のものです。米軍再編は、この流れと切り離すことはできません。米軍再編に反対する闘いは、将来の日本の姿を決める重要な闘いです。小松基地での訓練移転に反対する闘いを、日本全国に発信していきましょう。軍事大国化反対、憲法改悪反対の大きな声を、私たちの力で作りましょう。
●石川県平和運動センター代表の嶋垣利春さん
「いま闘わずして、いつ闘うのか」。大変厳しい環境の中にありますが、平和運動センターをはじめ平和を求める団体が、「いま闘わずに、いつ闘うのか」。そんな思いが強くなります。石川県平和運動センターは行政に対して、「訓練移転に反対してほしい」という要請を、繰り返し繰り返し行なってきました。しかしながら、私たちの声に耳を貸さず、17日からの共同訓練を認めてしまいました。決して許してはならない。この集会を通して、そのことを訴えていきましょう。
本日の集会には、北信越各県、北海道・沖縄・東京からの仲間が参加しています。訓練移転は「沖縄の負担軽減」を名目にしています。しかしそれは名ばかりです。その本質は、小松基地を米軍基地にしてしまうことです。北朝鮮や中国を睨んで、小松基地を米軍が自由使用できる基地にする恐れがあるのです。
今回の訓練移転を含めて、全ては憲法改悪に結びついています。この動きを阻止するために、私たちの力で本日の集会を成功させましょう。
●全国基地問題ネットワーク共同代表の住友肇さん
北海道の千歳市も、最初は訓練移転の受け入れに慎重論でした。しかし経済が疲弊している中で、地域振興・交付金、また外交防衛は国の専権事項という政府の圧力という、「アメとムチ」によって、受け入れを決めてしまいました。全国同様に、予算をつけながら受け入れを迫っています。
国会では、様々な悪法が強行的に成立しています。政府は教育基本法に愛国心を盛り込み、戦争に加担する国民を作ろうとしています。日本を、戦争をする国に作り変えようとしているのです。
全国各地で闘いが続いています。現地闘争は重要です。しかし、最後は国会での闘いです。安倍首相は、参議院選挙を「改憲」を争点に闘うとしています。9条改悪に反対する世論は多数です。その世論を結集し、一人でも多くの自民党や公明党の議員を落選させましょう。私たちの代表の議員で、参議院の多数派を獲得しましょう。次の参議院選挙は、国民の「安倍政権NO」の声を伝える重要な機会です。現地での運動とともに、選挙に勝利しましょう。
●沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さん
安倍内閣が暴走しています。憲法改悪・教育基本法改悪、集団的自衛権の行使に踏み込むための解釈改憲を行なおうとしています。私たちはその動きに対して、「再び日本が戦争をしてはいけない」という決意を、強く打ち固めるときが来たのだと思います。
沖縄の本土復帰から35年がたちました。その今年、あらためて「沖縄を返せ」と訴えて、沖縄を歩きました。なぜいま「沖縄を返せ」と訴えなければならないのか。普天間基地のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落し、ごうごうたる「基地撤去」の世論が巻き上がりました。米軍は必死になって、米軍再編で基地負担を軽減すると、普天間基地の移設や嘉手納基地の訓練移転を行なおうとしました。
しかしそのことは、沖縄の負担を全国に拡散する、欺瞞のキャンペーンであることは明らかです。「ふざけるな!」という怒りが発しています。沖縄の涙を、全国の涙に変えることはできません。嘉手納では昼夜通して爆音がとどろいています。深夜の2時・3時にも戦闘機が飛び立ちます。戦争の様な状況です。一度米軍を受け入れれば、嘉手納のような状況になるのです。石川県の人々は、決して訓練移転を受け入れてはなりません。全国の仲間と手を取り合って、嘉手納基地訓練の全国分散を止める決意です。
辺野古では自衛隊が入り、住民を排除しての基地建設が進もうとしています。私たちは陸上・海上から抗議を繰り返しています。しかし海上保安庁が抗議団を阻止して、自衛隊に手を貸しています。なぜ海上保安庁が住民を排除し、軍隊に手を貸すのか。改めて怒りが沸き起こります。
「沖縄の集団自決は無かった」と、政府は教科書を書き換えようとしています。沖縄の怒りが政府に向かっています。そうした中で自衛隊は、住民を排除して、銃口を県民に向けて基地建設を強行しようとしています。あの忌まわしい沖縄戦の惨状が目に浮かびます。しかし政府は沖縄県民の声に、耳を貸しません。「基地建設ありき」です。「戦争ありき」です。
どのような困難が訪れようと、沖縄県民は強く団結して、再び戦争を起こさせない、沖縄戦の惨状を目の当たりにしてはならない、そうした決意です。
私たちの団結の力で、「戦争へ」「戦争へ」とひた走る安倍内閣にストップをかけて、私たちの未来を、子どもたちも未来を、守ろうではありませんか。
●小松基地は、民間と自衛隊の共用空港です。
手前はANA機。奥に見えるグレーの機体が米空軍のF15戦闘機。
●団結がんばろうでデモ行進に出発。
●北信越各県から、800人が参加したデモ行進。
●手製のプラカードをもって。
●航空自衛隊小松基地の正面ゲート。門を閉ざしで厳重な警備。
奥に見える車両は、イラクに派遣された自衛隊が使用している軽装甲機動車。
市民に対して、何をしようとしているのか。
●抗議行動の様子を、撮影し続ける自衛隊員。
●小松基地の前に集まった参加者。自衛隊と米軍に対して抗議の呼びかけを行ないました。
●800人の「人間の鎖」で、正面ゲートをブロック。
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