朝鮮民主主義人民共和国への制裁について 想定される事態


日米政府は、@国連憲章7条を明記した国連決議の採択、A経済制裁の強化――をめざしています。報道等では、経済制裁を実行するため北朝鮮に向かう船舶への臨検も検討されているようです。しかし自衛隊による臨検の実施は、「周辺事態法発動」につながる恐れがあります。


■船舶検査=臨検を実施するには
 ●日本が北朝鮮に向かう船舶に対して船舶検査=臨検を実施する場合は、「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律」が根拠法となります。

 ●この法律を運用して、自衛隊が臨検活動を行うためには以下2つの条件が必要です
 @臨検の根拠となる国連安保理決議  A周辺事態法の発動
 
 ●「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律」(2000年12月)の目的は次の通りです。
「周辺事態に際し、貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的で、当該厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会の決議に基づいて、又は旗国(海洋法に関する国際連合条約第九十一条に規定するその旗を掲げる権利を有する国をいう。)の同意を得て、船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるもの(以下「軍艦等」という。)を除く。)の積荷及び目的地を検査し、確認する活動並びに必要に応じ当該船舶の航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請する活動であって、我が国領海又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)において我が国が実施するものをいう。」
 
 ●船舶検査法が発動された場合は、以下のことが可能になります
 @同様の任務を実施する米軍の後方支援  A船舶検査に際して、自衛のための武器使用


■周辺事態法の発動について
 ●船舶検査の前提となる周辺事態法は、以下の手順で発動されます。
 @基本計画の策定→A閣議決定→B実施前に国会の承認(ただし緊急の場合に実施後)

 ●周辺事態法が発動された場合、日本は以下のことを行うことになります。
 @後方地域支援(米軍に対する)
 A後方地域捜索救助活動(米軍に対する)
 B船舶検査(北朝鮮に向かう船舶に対する)

 ●周辺事態法が発動された場合、政府は地方公共団体や国以外のものに対して、必要な協力を求めることができます。国以外のものとしては、以下が想定されます。
 ○運輸事業者 ○医療従事者 ○通信事業者 ○空港・港湾関係者 ○電気・水道事業者

 ●地方公共団体の職員
 政府は、自治体職員が米軍協力を拒否した場合は、処分の対象になるという見解を取っています。


■米軍の動きは

 ●米国が恒常的な臨検体制をとるには、米海軍のイージス艦が日本海に駐留することになります。その場合は、日本海側の民間港湾が準母港として使用され、給 油・給水・給電・物資補給などを日本の事業者が行うことになる可能性があります。
 ●沖縄嘉手納基地へのPAC3配備に続き、首都圏の主要基地へのPAC3配備が考えられます。

作成日:10月13日


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