「北朝鮮の核実験に抗議し、全ての核兵器及び核計画の放棄を求める決議」
に対する問題点整理


1.衆議院は10月10日に、参議院は11日に、「北朝鮮の核実験に抗議し、全ての核兵器及び核計画の放棄を求める決議」を全会一致で採択しました。この決議は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験に抗議し核計画の放棄を要求すると共に、日本政府に対して「今後は、中国・韓国など地域の関係国との協調を強化し、米国など関係各国と連携し国連憲章第七章に基づく措置」をも含めた問題解決のための行動を求めています。

2.国連憲章第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の第41条〔非軍事的措置〕は、兵力の使用を伴わない措置そして「経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶」をあげています。また第42条〔軍事的措置〕は、「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる」としています。国会決議は文末で「平和的な解決を模索すべきである」としていますが、軍事的措置を否定していません。非軍事的措置には、航海の中断があげられており、これを根拠にして海上における「臨検」を実施することも可能です。

3.また国会決議は、国連憲章第7章に基づく措置を、国連の枠組みで実施するのではなく、「米国などの関係国と連携し」としています。これは90年の湾岸戦争以来米国が用いてきた、国連決議を根拠に、行動は有志連合でおこなうという、国連をないがしろにした単独行動主義を認めるものでしかありません。

4.日米両国は国連安全保障理事会の場で、船舶・航空機を含めた北への一切の入国・出国禁止、一切の輸出入の禁止を内容とする決議を提案しようとしています。またそれを実行するための、日米両国による「臨検」活動を検討しています。今回の国会決議は、こうした日米両国政府の、対北朝鮮制裁策動を、後押ししてしまう危険をはらんでいます。また米海軍と海上自衛隊による北朝鮮に対する経済封鎖=「臨検」は、本格的な戦争の引き鉄になる可能性もあります。

5.日本の国内法では、自衛隊による「臨検」の実施には、周辺事態法とその一部である船舶検査法の発動が不可欠です。周辺事態法が発動されれば、自衛隊は自衛のための武器使用を許され、また国や地方自治体、国以外のものに対しても米軍への協力が要請されます。自治体職員などが要請を拒否した場合には処分の対象であることが、国会答弁などで明らかになっています。

6.平和フォーラムは、全ての国の核実験と核保有に反対します。同時に全ての国の武力による威嚇や武力の行使に反対します。北朝鮮に対して断固とした抗議を行い、強く核計画放棄を要求します。しかしそれは、対話と協調によってなされるべきであり、日米両国による武力威嚇・武力行使を許してはなりません。

7.平和フォーラムは、北朝鮮・韓国・中国・ロシア・日本・米国の各政府に対しては、直接協議・6カ国協議・6カ国首脳級協議・また国連の場を通した、対話による問題解決を望みます。

作成日 2006年10月13日


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