解説4 朝鮮民主主義人民共和国に対する国連制裁決議
国連安全保障理事会は、10月14日午後(日本時間15日未明)に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する制裁決議を、理事国15カ国の全会一致で採択しました。決議は、北朝鮮が大量破壊兵器の保有を断念するよう要求し、そのために国連憲章7章に基づく制裁を行うとしています。
北朝鮮への具体的な要求項目は以下の通りです。
@さらなる核実験またはミサイル発射を行わないこと
ANPT条約からの脱退宣言の即時撤回
BIAEAによる査察の受け入れ
C弾道ミサイル計画に関する全ての活動停止、ミサイル発射凍結の約束の復活
D核兵器開発の完全で検証可能・不可逆的な放棄
E全ての大量破壊兵器と弾道ミサイル計画の完全で検証可能・不可逆的な放棄
また制裁措置は以下の通りです。
@戦車・装甲車・大砲・戦闘機・攻撃ヘリコプター・軍艦・ミサイルシステムの輸出禁止
A核開発と弾道ミサイル開発に関連する物品の輸出禁止
Bぜいたく品の輸出禁止
C軍事援助・トレーニング・アドバイス・サービスの提供禁止
D核と大量破壊兵器開発に関連する個人や団体の金融資産の凍結
E核と大量破壊兵器開発に関連する個人や団体その家族の渡航禁止
F核兵器・化学兵器・生物兵器の移動を禁止するための臨検の実施
ただし食料品や医療などに関する資金の使用は、凍結免除の対象になっています。
国連安保理で米国のボルトン国連大使は、「決議は金正日体制に懲罰的制裁を科した」と強調し、北朝鮮が国際的孤立の道を突き進むなら「深刻な結果」を招くと警告。また北朝鮮が決議に従わなければ、安保理の「追加的行動」に直面するとして制裁強化を示唆しました。
米国は国連加盟国に対して、臨検活動への参加を求めています。米国のシーファー駐日大使は13日夕、首相官邸で塩崎官房長官と会談し、米軍が船舶検査を行う際の日本の協力を要請しました。大使は会談後、「日本が意味のある貢献をすると確信している」と記者団に語り期待感を示しています。
船舶臨検は、米海軍の艦船が日本海に常駐して実施することになります。船舶臨検自体は、国連憲章第7章第41条の〔非軍事的措置〕に基づくものです。しかし臨検の実施方法によっては北朝鮮が挑発と受け止め、軍隊による対抗措置をとる場合もありえます。また米国が、臨検では不十分として、軍事的措置に踏み出すことも十分にあります。私たちは今回の制裁決議が、日本海での米朝戦争に発展する事態を招く可能性があることを、十分に認識しなければなりません。