解説3 周辺事態法と労働者


 周辺事態法によって、米軍協力を行うのは自衛隊だけではありません。周辺事態法8条「関係行政機関による対応措置の実施」は、防衛庁と並んでその他の関係行政機関の長も、対応措置を実施するとしています。また9条「国以外の者による協力等」は、地方公共団体の長に対して必要な協力を求める、国以外のものに対して必要な協力を依頼するとしています。つまり関係行政機関に勤める者(国家公務員)、地方公共団体に勤める者(地方公務員)、国以外のもの(民間の労働者)にも、米軍協力=戦争協力が要請されるのです。

周辺事態法は日本が行う米軍支援として、以下の項目を上げています。公共サービスや運輸に関係するほとんどの職場に、協力要請が行われることになります。

●給水 ●給油 ●食事の提供 ●人員や物品の輸送 ●修理や整備 ●医療 
●通信施設の利用 ●空港や港湾での支援 ●基地での廃棄物処理や給電

新ガイドラインの締結以来、米軍の艦船が地方自治体の管理する民間港湾に入港する事例が激増しました。これは周辺事態に際して、自治体や民間の労働者を米軍協力に動員するための、訓練だと考えられます。例えば米軍艦船が入港する場合、岸壁に着岸するにはタグボートの支援が必要であり、そのタグボートは民間企業または自治体の所有です。着岸中には、給水・給電・食料の補給などが行われますが、これらを実施するもの自治体または民間の労働者です。

それでは労働者は、米軍への協力要請を断われるのでしょうか。政府は当初、地方公共団体は国の要請を断われない、公務員は従事命令を断われないとしていました。ところが地方自治体から多くの反発があり、強制ではないと答弁を変更しました。

しかし自治体であれ民間企業であれ、労働者が業務命令を断わるには大変な勇気が必要です。ですから企業に対しては米軍支援業務を受注しないことを、自治体に対しては米軍協力を拒否することを、労働者の側が日ごろから主張している必要があります。また米軍への支援要請があった場合の対応を、労使間の協約として確立しておくことも重要です。


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