在日米軍再編に関する経緯
01年
●2月
ブッシュ米大統領が、米軍の機動性・迅速性強化を訴える演説を行う。
●9月11日
米国で「9.11同時多発テロ」が発生。
02年
●12月
米ワシントンD.Cで日米安保協議委員会(2プラス2)を開催。日米防衛態勢見直しで合意。
03年
●2月
米ワシントンD.Cで日米外務次官級戦略協議を開催。在日米軍兵力構成協議開始で合意。
●3月
米英軍によるイラク侵攻が始まる。
●春
日米外交安保課長級協議を開始。
●6月
ウルフォウィッツ米国防副長官が来日。沖縄海兵隊について「穏やかな調整の余地はある」と、再編の可能性に言及。
●11月
ラムズフェルド米国防長官が来日。沖縄米軍基地を上空などから視察。
●11月
ブッシュ大統領が海外駐留米軍再編に着手するとの声明を発表。
ラムズフェルド国防長官は「再編計画公表から再編完了まで数年」と説明。
●12月
日本政府が、ミサイル防衛(MD)導入を閣議決定。
04年
●2月
日米外交防衛審議官級協議で、米側が沖縄・普天間飛行場返還問題の遅れに不満表明。米軍再編の一環として再検討も視野に協議。
●5月
米側が非公式に在日米軍再編構想を打診。米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)の座間移転、第13空軍司令部(グアム)と第5空軍司令部(横田)との統合など。
●6月23日
小泉純一郎首相は沖縄県糸満市内で記者団に、トランスフォーメーションが在沖縄米軍に与える影響について、「(沖縄の)負担の軽減、抑止力の維持にバランスをとっていかないと。ブッシュ米大統領とも先の日米首脳会談でよく協議をしていこうという話をした」と述べる。
●6月23日
ファイス米国防次官は下院軍事委員会で、海外の基地から米本土に帰還させる米軍部隊を中心とした世界規模の米軍再編計画の概要を7月中にまとめ、米議会に報告する考えを表明した。また、再編計画は同盟諸国との協議を経て最終決定されると強調。
●7月1日
川口外相とパウエル国務長官が会談。川口大臣より、日米安保体制を盤石なものにする観点からも沖縄の負担軽減は重要である、SACO最終報告の着実な実施に努力を傾注したい、普天間飛行場の移設・返還については、使用期限問題もあると述べた。
●7月8日
米太平洋軍海兵隊のグレグソン司令官は在沖縄海兵隊(約1万7000人)の一部を日本の本州に移転することが望ましいと発言。司令官は、在沖海兵隊のグアム移転について問われ「日本から離れることは、多くの問題が起こりそうな地域から海兵隊を遠ざけることになる」と国外移転への反対を表明。
●7月15日
日米両政府の外務防衛審議官級協議がサンフランシスコ市内のホテルで開催。米側は在日米軍の司令部機能強化を狙った再編案を提示。米側は日本政府に対し、5月に再編案を提示。しかし、参院選への影響を避けるため、日米政府間の調整で選挙後の協議開催。このため、今回の協議での米側の提案は「5月案」に沿った内容。米側の主な提案内容は(1)米海軍厚木基地(神奈川県)を米軍岩国基地(山口県)に移設(2)グアムの第13空軍司令部を横田基地(東京都)の第5空軍司令部に統合(3)陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)をキャンプ座間(神奈川県)に移転(4)在沖縄米海兵隊の一部を日本本土に分散−−など。
●7月20日
マイケル・グリーン国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長と、訪米中の自民党の中川秀直国会対策委員長が会談。在沖縄米海兵隊の訓練の一部がオーストラリアに建設される訓練施設に移転され、沖縄の負担が軽減されるとの見通しを明らかに。またグリーン氏は在日米軍全体の再編について「来年か再来年にはビッグバン(大規模再編)が可能。沖縄、横田、厚木、岩国などの基地の統合、縮小につながり、かなりの部分が返還されることもありうる」との見通しを示す。
●7月27日
川口順子外相はファーゴ米太平洋軍司令官と会談し、在日米軍の抑止力の維持と沖縄など米軍基地を抱える地域の地元負担の軽減を求めた。ファーゴ司令官は米軍の変革・再編を進める理由について「世界の安全保障環境の変化に対応するため」と説明。
●8月6日
政府は米国が世界規模で進めているトランスフォーメーションに絡み、在日米軍基地の負担軽減を求める対案を提示する方針を固める。
●8月17日
政府はトランスフォーメーションについて、新たに日米の協議機関を設置し、在日米軍再編の具体案の政府間協議を進める方向で検討に入る。
●8月27日
日米外務防衛局長級協議が、ワシントンで開催。協議では「在日米軍の抑止力維持」「沖縄など地元の負担軽減」を念頭に置き、継続協議することを確認。日本側は再編問題に絞った新協議機関を設置し集中協議したい意向、米側も新機関受け入れの検討に入っている。
●9月10日
小泉純一郎首相は川口順子外相、石破茂防衛庁長官と会談。在日米軍再編問題について、国民負担の軽減と抑止力の維持を基本に対案をまとめ、米側との交渉を進めるよう指示。
●9月22日
小泉純一郎首相はブッシュ米大統領とニューヨークで約40分間会談。在日米軍再編問題について、沖縄をはじめ地元自治体の負担軽減と米軍の抑止力維持の両立を目指すことで合意。
●9月28日
町村信孝外相は毎日新聞などのインタビューに応じ、在日米軍の再編問題について「事柄が事柄だけに、日本側の対応がどこまで年内に煮詰まるのかは簡単なことでもないのかもしれない。もうちょっと先にずれ込んでもいい」と述べ、年内に決着するのは困難との認識を示す。
●10月16日
町村外相が那覇市内で記者会見。米軍再編について「頭からまず安保条約、極東条項ありきということでやると狭い議論になってしまう」と述べ、在日米軍の活動領域を「極東」に限定した日米安保条約の「極東条項」との整合性にはとらわれず、米政府との協議には柔軟に臨む考えを示す。
●10月21日
細田官房長官は参院予算委員会で、「極東を超える地域を統括する米軍の司令部受け入れは困難」との見解を示す。
●10月24日
小泉首相とパウエル国務長官が会談。小泉総理は、米軍の兵力構成見直しに関連して、在日米軍の抑止力を効果的なものとしつつ地元の負担軽減に取り組んでいくことが重要である旨述べた。
●10月24日
町村外相とパウエル国務長官が会談。町村大臣より、日米の情勢認識・戦略目標や日米間の役割・任務といった基本的な論点について実務的な議論を行い、兵力構成見直しの個々の具体的議論へとつなげていくことが重要と述べる。
05年
●2月19日
米ワシントンD.Cで、日米安全保障協議委員会(2プラス2)」を開催し、「共通戦略目標」で合意。共同声明を発表。
●3月18日
米国防総省は今年後半まとめの「四年ごとの国防戦略見直し」(QDR)について、日本など同盟国と協議し策定作業を進める方針を決定。防衛体制の目標を見直すQDRで同盟国との協議は初。
●3月19日
小泉首相とライス国務長官が会談。小泉首相は、特に、在日米軍については、地元の負担という問題があるが、これについては同時に、日本側が在日米軍の駐留によりメリットを得ているという側面もあるので、日米安保体制の積極的な役割についても、自分は国内で強調してきている、と述べる。
●3月19日
大野功統防衛庁長官とライス国務長官が都内で会談。大野長官は「在日米軍基地と自衛隊基地の共同使用を検討してほしい。日米間の協力が進展し、抑止力をより強化できる」と述べる。
●4月30日
米海軍太平洋艦隊司令部(ハワイ)は、第七艦隊空母「キティホーク」の艦載機で構成する第5空母航空団のうち、ジェット機飛行隊を在日米海軍厚木基地から在日米海兵隊岩国基地へ移転させる検討に入った。
●5月11日
ライト在日米軍司令官(空軍中将)は都内で講演し、航空自衛隊との共同使用化を検討している米軍横田基地に関して「できれば共同統合運用センターを立ち上げたい」と述べ、日米共同で作戦指揮を行うことのできる司令部機能を同基地に持たせる構想を明らかに。
●5月14日
ラムズフェルド米国防長官が米国内の米軍基地再編案を発表。全米318の主要基地のうち33カ所の閉鎖、全体で計837カ所の基地・施設の再編となった。主要基地の約一割を閉鎖する大規模な内容。
●6月4日
大野防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官が、シンガポールで会談。在日米軍再編について7月に中間報告、年内に決着の方針で一致。ラムズフェルド長官が個別の基地の再編案まで含めるよう主張したのに対し、大野長官は地元との調整に一定の時間がかかることを理由に慎重な姿勢。
●6月29日
ワシントンで審議官級協議を開き、具体的な再編案や、自衛隊と米軍の役割分担などについて協議。役割分担などに関する合意文書を取り交わすための外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)開催に向けて調整。沖縄など個別の兵力見直しや、米軍の使用頻度が低い遊休施設の返還問題を取り上げたとみられる。
●7月12日
小泉首相とライス国務長官が会談。ライス国務長官は、両者の間で現在鋭意協議が行われているが、9月頃にも何らかの成果をまとめるとの目標を持って、さらに精力的に協議を行っていくこととなった、と述べた。
●7月12日
大野功統防衛庁長官は閣議後会見で、9月に予定している米軍再編の中間報告の公表前に、個別の基地再編の対象になる自治体に内容を打診する考えを明らかに。
●10月7日
10月下旬で調整していたラムズフェルド米国防長官の訪日が見送りに。沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題が暗礁に乗り上げていることへの「不満の表れ」。
●10月12日
在日米軍再編をめぐり米側の実質的責任者を務めるローレス国防副次官が来日し、都内で外務・防衛両省庁担当者との日米審議官級協議を再開。外務省首脳は12日夕、記者団に「(今回協議が中間報告前の)最後の実質的な議論になる」と強調。 先月末にワシントンで行われた前回協議では同飛行場に関し、日本側が提示した米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)内の「陸上」への移設案を米側が拒否。これを受け日本側は、11月初めに想定される内閣改造前に政府間合意を取り付けるため、陸上案に固執しない方針に軌道修正した。
●10月27日
米国は、空母キティーホークの後継艦として、原子力空母を横須賀に配備すると、発表。
●10月29日
米ワシントンD.Cで、日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催。「日米同盟:未来のための変革と再編」(いわゆる中間報告)を発表。