【資料03−2】小泉総理記者会見
(出典:首相官邸HP)
  第159回通常国会終了後の小泉内閣総理大臣記者会見

 

平成16年6月17日

【小泉総理冒頭発言】
・・・・ 前略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 また、イラクの復興支援の問題でございますが、過日アメリカのジョージア州シーアイランド・サミットに出席いたしましたが、その間、国連安保理におきましては、全会一致でイラクヘの主権移譲、イラクの復興支援に国連の加盟国が協力しようという決議がなされました。日本としても、6月30日を境に、イラク人へ主権が移されるわけであります。 そういう中でイラクの暫定政府が国連に要請する形で多国籍軍が形成されることになります。多国籍軍は人道支援、復興支援活動を含むということであります。日本は今までの考え方からいって、武力行使はしない。そして、非戦闘地域に限る。また、現在のイラク支援特別措置法の枠内であると。そして、日本の自衛隊の活動は日本の指揮下にあると。この4点をきっちり守って、日本にふさわしいイラクの国民が自らの力で再建しようとする、その意欲を助ける形で人道支援、復興支援活動をしていかなければならないと思っております。

【質疑応答】
【質問】 イラクへの自衛隊の多国籍軍への参加の問題ですが、これまでの自衛隊の海外派遣での活動の枠組みを一歩踏み出すもので、国民の中には自衛隊の海外での活動が際限なく広がってしまうのではないかという懸念があると思うんですが、総理はそういう懸念をどう受け止めて、これに対してどのように答えていくお考えでしょうか。
【小泉総理】 私は日本がどのような形でイラクの復興支援に関わっていくかという問題につきましては、日本独自の考え方がございます。アメリカやイギリスのように、武力行使をするということは考えておりませんし、日本としてできること、それは主として、現在サマーワで活動している自衛隊諸君の支援活動、これが中心になります。多国籍軍という中で参加するにしても、そのような人道支援、復興支援に限定していかなければならないと思っております。
 それと、今回、サミットにイラクの暫定政府の大統領が出席されました。そのイラクの大統領は私と直に話し合ったんですけれども、イラクでの自衛隊の活動は他の部隊に比べても、ひときわ歓迎されている。今後とも日本の自衛隊の支援活動を是非とも継続してくれという要請を受けました。
 自衛隊の諸君が本当に住民の皆さんと友好的に活動しているんだなということを思い、心強く思いました。日本としても先ほど申し上げたように、多国籍軍に参加する形で、イラクの安定した民主的政権のためにお手伝いをいたしますが、それはあくまでも人道支援、復興支援、日本の憲法の枠内は勿論、イラク支援特別措置法の枠内でこれからの活動を継続していきたいということを、これからも選挙を通じて、あるいはいろんな機会に国民に理解と協力を求めていきたいと思っております。

【質問】 多国籍軍の関係なんですが、イラクに引き続き自衛隊が駐留するために、暫定政府と個別に協定を結ぶ方法もあると思うんですが、なぜ今回その方法ではなくて多国籍軍への参加なのかを説明してください。
【小泉総理】 これは、イラクの暫定政府が国連に要請しているわけです。多国籍軍が引き続きイラクの治安確保も含めて復興支援に当たってほしいと。
 多国籍軍全体がそれぞれの国と、どういう協力ができるのか、国によって協力の仕方が違います。ある国は治安活動にも協力できるでしょう。しかし、日本はそういう武力行使を目的とした治安活動には協力できません。しません。それは、もう多国籍軍全体の中で考えますが、あくまでも日本は日本のできること。日本にふさわしい支援活動を国民の理解を得られる形でしていかなければならないと。そういうことは、今もはっきりと米英とも了解を得ておりますので、しかも現在のイラク支援特措法の範囲内での活動を自衛隊諸君には継続してもらうということでありますから、それぞれの国がイラクの暫定政府と、特に個別に契約するということではなくて、国連の要請に基づいた形で、多国籍軍の中で日本にできることをしていきたいと考えております。

【質問】 引き続き、その多国籍軍についてなんですけれども、総理は先ほど人道・復興支援にできるだけ限定していくんだとおっしゃいましたけれども、実際にイラクで活動している自衛隊は、航空自衛隊が米兵を輸送するような、安全確保支援活動もやっているわけですね。これは、サマーワでの人道・復興支援活動とは違って、今後はより多国籍軍との連携が求められると思うんですけれども、その場合でも多国籍軍の指揮下には入らないと言えるのか、その米英政府が了解しているという話ですが、実際に現場ではどういうふうに対処されるんでしょうか。
【小泉総理】 これは、今までも人道支援、復興支援が中心でありますが、中にはそれは米軍に対して機械等を支援活動する、必要な部品等、実際の生活をする面において輸送などをする場合もあるでしょう。主として、日本は人道支援、復興支援活動でありますが、そのような各国との協力関係を考えますと、各国が必要な生活、あるいは活動をする場合に、どのような支援が必要かというのは、その国々との協力関係を考えながら支援をしていきたいと思っております。
 主として、人道支援、復興支援であります。

【質問】 先ほど総理はこの人道・復興支援活動について、憲法の枠内でということをおっしゃいましたが、この憲法の解釈を巡っては、歴代いろいろとあって、これまで参加できなかったわけですけれども、今回これが憲法にそぐうというふうに判断された根拠というのは、どういうところにあるんですか。
【小泉総理】 まず、国連でイラク開戦の経緯には対立がありました。しかし、今回、その開戦時の対立の経緯を乗り越えて、国連安保理で全会一致のイラク復興支援決議が採択されたわけですね。
 そして同時に、6月30日にイラク人に主権が移譲されます。そのイラク暫定政府の大統領が、日本に対しても直接自衛隊の活動を継続してくれという要請が来ております。私は国際社会の責任ある一員として、国連重視、国際強調、そしてイラク人が自らの力で、自らの国で立ち上がろうとするときに、多国籍軍だから参加してはいけないという理由にはならないと思います。
 しかし、多国籍軍というのは、武力行使をするものだと、今までの観念から誤解する人がいます。しかし、今回の多国籍軍は、武力行使をする部分もあるでしょうが、日本はその多国籍軍の中でできる人道支援、復興支援活動、その部分に参加するということであります。
私は、今、イラク人が一番苦しんでいる、国際社会の支援を要請している、日本の自衛隊の活動は高く評価されている、そういう際に、今までの活動を停止するということが果たしてイラクの国民にとって喜ばれるかどうか。イラクの方々は自衛隊の活動を継続してくれという要請をしています。そして、日本としてもイラクの復興支援に手を貸すということは、中東全体の安定、また、イラク人の復興支援を手助けするという意味において意味のある活動であると。将来必ずイラク国民から一番自分たちが苦しいときに、日本の国は支援の手を差し伸べてくれたなという評価をいただけるような復興支援活動をやっていきたいと思っております。

(原文はここ http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2004/06/17press.html



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