在日米軍再編の中身


10月29日に中間報告が発表された在日米軍基地の再編では、主に以下4都県の基地が対象となる。
記載した事項の中には、中間報告に具体的な基地や部隊の名称が掲載されておらず、新聞などから類推したものもある。

沖縄県

1.普天間基地

■辺野古「沿岸部」に新基地建設。

■KC130空中給油機は海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)へ移転。

○国はこれまで推進してきた、辺野古沖での新基地建設を断念。
新たな計画として、辺野古に隣接するキャンプ・シュワブ海岸線区域と大浦湾にL字型の施設を建設。滑走路の長さは1800メートル。ヘリコプターだけではなく、ジェット機も使用可能となり、当初案より強化された基地建設計画となっている。
沖縄県が主張した@沖合3キロ、A軍民共用、B使用期限15年、C県財産化――は、すべて白紙に。

○大浦湾は、旧予定地よりもサンゴが豊富。環境への悪影響は変わらず。また建設予定地を沿岸部に移動したために集落に近くなり、民間地への危険が増す。

2.嘉手納基地

■米空軍F15戦闘機の「訓練の一部」を本土に移転。

■航空自衛隊F4ファントム部隊(那覇空港)を嘉手納基地に移転。

○移転されるのは部隊ではなく訓練のみ。具体的な飛行回数の削減などは提示されていない。航空自衛隊の移転で、かえって騒音が増す可能性もある。

3.本島南部基地の返還と、北部への集中

■牧港補給地区・那覇軍港→全面返還、キャンプ瑞慶覧→大半を変換、キャンプ桑江→一部返還。

■上記の基地機能を、キャンプ・シュワブとキャンプ・ハンセンなど北部基地に集中。

○キャンプ・ハンセンでは、地域住民の反対を押し切って「都市型戦闘訓練施設」での実弾射撃訓練が始まったばかり。住民にさらに危険がおよぶ。基地の集中する北部と、基地の撤去される南部での、米軍に対する県民意識を分断する恐れがある。

4.海兵隊の削減

■第3海兵機動展開部隊(VMEF)の司令部をグァムなどに移転。

○これにより海兵隊員・家族など7000人を削減する。しかし)削減されるのは司令部機能と補給部隊で、歩兵や砲兵などの実戦部隊は残留する。訓練による事故や事件などの危険性は減らない。


神奈川県

1.横須賀基地

■08年に原子力空母を配備。

○西太平洋を作戦区域におく、米海軍第7艦隊の事実上の母港。また米海軍が所有する12隻の空母のうち、唯一の海外母港としてキティーホークが配備されている。08年のキティーホーク退役後に原子力空母を配備する。

2.厚木基地

■キティーホーク艦載機のうち57機を岩国基地に移転。

■海上自衛隊岩国基地所属の飛行隊17機を厚木基地に移転する。

○現在は、キティーホークの艦載機部隊70機が配備。この内、FA18戦闘攻撃機やE2C早期警戒機部隊などを、08年をめどに岩国基地に移転する。

3.キャンプ座間

■米陸軍第1軍団司令部を改変した新司令部を設置。増員約300人規模。

■陸上自衛隊中央即応集団司令部を設置。増員約300人規模。

○現在は、在日米陸軍司令部と第9戦域支援コマンドが配備されている。日米の司令部が併設されることで事実上、日米両陸上戦闘部隊の司令部が一体となる。

4.相模総合補給廠

■陸上自衛隊の普通化連隊規模の部隊を配備。キャンプ座間と一体的に運用する。


東京都 

1.横田基地

■米軍が共同統合運用調整所を設置。

■航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊を移転して配備。

○現在は、在日米軍司令部と、第5空軍司令部および、指揮下の第374空輸航空団・第730航空機動部隊が配備されている。再編によって、日米両航空戦力の司令部が一体となる。これにより、防空及びミサイル防衛に関する司令部機能の連携を強化する。

○都知事は軍民共用空港を目指していたが、今回の再編では考慮されなかった。


山口県  

1.岩国基地

■厚木基地からキティーホーク艦載機のうち57機が移転。

■海上自衛隊機33機のうち、17機が厚木に移転。

○現在は第1海兵航空団・第12海兵航空群に所属するFA18ホーネット戦闘攻撃機36機などが配備されている。同基地所属機は、低空飛行訓練を行っており、たびたび墜落事故を起こしている。また昨年沖縄国際大学に墜落したCH53Dヘリコプターも、本来は岩国基地の所属。


鹿児島県 
■普天間基地から、KC130空中給油機を海上自衛隊鹿屋基地へ移転。


嘉手納基地F15戦闘機の訓練移転先として、以下の航空自衛隊基地の名前があがっている

千歳基地(北海道)・築城基地(福岡県)・新田原基地(宮崎県)
百里基地(茨城県)・小松基地(石川県)など


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