【解説04】横須賀 原子力空母の母港化問題

  ●横須賀港で原子力航空母艦配備計画が進む
 神奈川県横須賀市の横須賀港には、米海軍の横須賀基地があります。横須賀基地には、通常動力の航空母艦キティーホークが配備されています。キティーホークは老朽化のために2008年に退役するのですが、米海軍は後継艦として、原子力空母を配備しようとしています。
 米太平洋軍の司令官は、3月31日に開催された米国下院議会公聴会で「最も能力の高い空母が、交代で配備されることを期待している」と述べ、後継艦が原子力空母であることを示唆しました。
空母が使用している12号バース(さんばし)を、「思いやり予算」によって延長整備する計画が進められており、これも原子力空母母港化の準備と考えられます。

●原子力艦は、原子力発電所よりも危険
 原子力発電所は、設計・建設・運転に当たって安全が重視され、法律上も様々な基準があります。その原子力発電所でも、事故が頻発しています。
 一方の原子力艦船は、狭い船内に原子炉を積み込むために構造上の無理があります。また日本の法律が適用されないため、安全性よりも軍事性が優先されます。さらに事故が発生しても日本に通知されず、米軍内で秘密裏に処理される可能性があります。
 横須賀港への原子力空母配備は、東京湾に原子力発電所が建設されること以上の事故・放射能漏れの危険性を、横須賀だけではなく、関東一円の人々が背負うことになるのです。

●空母の海外母港は日本だけ
 米海軍は現在、12隻の航空母艦を保有しています。そのうち海外に母港があるのは横須賀を母港とするキティーホーク1隻だけです。アメリカと同盟関係にある国の中で、自国の港を母港として提供しているのは、日本だけなのです。
 また通常動力艦はキティーホークと予備役艦のジョン・F・ケネディの2隻を保有していますが、キティーホークは2008年には退役し、予備役艦もその数年後に退役します。現在建造中の2隻の空母も原子力艦であり、数年後には、米海軍の全ての空母が原子力艦になります。そのことを考えても、母港使用が継続すれば、必ず原子力空母が配備されることになります。

●横須賀は米海軍の出撃拠点
 1973年、空母ミッドウェーがはじめて横須賀を母港にしました。その後、インディペンデンス、キティーホークと配備が続いています。ミッドウェーはベトナム戦争に、インディペンデンスは湾岸戦争に、キティーホークはイラク侵攻に参加しました。横須賀港は、米軍が戦争する際の出撃拠点になっているのです。

●いま反対しなければ、横須賀港は永久に原子力空母の母港に
 米軍は現在、「世界的規模での在外米軍の再編・変革(トランスフォーメーション)」を推進しています。欧州や韓国では米軍が大幅に削減されますが、在日米軍基地は強化されます。横須賀港への原子力空母配備も、その一環です。
 キティーホーク退役を契機に、母港使用をストップしなければ、横須賀港は永久に空母の母港になってしまうでしょう。
 いまこそ、力を合わせて、原子力空母の母港化を止めましょう。横須賀港の空母母港使用をストップさせましょう。


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