■衆・参両院の各委員会の議事録は、以下のサイトからの転載です。
  ●衆議院・会議議事録情報 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm
  ●参議院・会議録情報    http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_b07_01.htm
  ●国会会議録検索システム http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_b07_01.htm


●衆議院・安全保障委員会(08年12月16日)中谷元議員の質問

○中谷委員(自民党) 今後はパキスタン、アフガニスタンが一つの焦点になりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 インド洋の補給支援活動が継続することになりましたが、一方で、近傍海域で海賊被害が多発をいたしております。現在、自衛隊はインド洋で燃料給油支援を行っていますが、この部隊が、例えばアデン湾とかオマーン周辺、近傍で海賊被害が発生して、それを目撃し、通報を受け救助を依頼された場合にどうしますか。自然災害や事故などで遭難したいわゆる海難については一般船舶を救助することが可能だと思いますが、こういう場合、日本の自衛隊の船としてどういう対応が考えられるんでしょうか。


○徳地政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、海上におきまして遭難者がありました場合には、その救助につきましては、これは合理的に期待される範囲で船長の義務とされておりまして、このことは海上自衛隊の船の船長にも適用されるものでございます。

 そして、補給支援活動を実施している海上自衛隊の艦艇が、仮定の問題でございますが、現に海賊行為が行われている場面に遭遇をして、この船舶の危急を救うためにやむを得ない場合には、事実行為といたしまして、沿岸国あるいは関係機関などに対しまして通報を行うとともに、実際に任務とされております補給支援活動との関係を勘案しつつ、これを継続して監視をする、あるいはできる限りの措置をとるということは否定されるものではないというふうに考えておるところでございます。


○中谷委員 お答えをいただきましたが、一般的な海難救助というのは、事故もあるし、私は海賊もあるのではないかということで、以前、インドネシアの津波の際は、防衛庁長官が急遽艦艇にこの人命救援の任務も付与して捜索に当たりましたが、ぜひこういった海賊対策などには、応戦はしないものの、外国人、日本人の救助、救援、エスコートなども検討していただきたいと思います。

 それから、一般的に艦艇は任務を二つ、三つ、四つあわせ持って航行いたしております。このことを考えますと、補給支援活動を行いながら、海賊対策として、ソマリア沖に出動している多国籍軍の艦船への給油を今後行うこともできるのではないかということでございますし、また将来、海賊対策として日本の護衛艦が派遣された場合に、補給船がOEFのMIOに参加の船の補給と海賊対策の護衛艦への給油を兼ねるという活動をすれば、非常に合理的で喜ばれると思いますが、こういう任務をあわせ持たせることは可能なんでしょうか。


○徳地政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、前半の方でございますけれども、海上自衛隊の船舶が外国の艦船に対して今の補給支援特措法に基づきまして給油を行うということになりますと、当然のことながら、相手国の艦船が実態として海上阻止活動に従事しているということが枠組み上必要というふうに考えております。ただ、もちろん、付随的に海賊対策を行う船であっても、これは制度上は不可能ではないというふうに考えております。

 そこで、先生御指摘のように、ソマリア沖に出動している多国籍軍の艦艇への給油を行うということにつきましては、今申し上げましたような枠組みのもとでどう考えるかということでございますが、政府全体としての海賊対策のあり方、あるいは給油活動の根拠等の法的側面、それから部隊運用上の課題、あるいは諸外国、関係機関との協力のあり方というような点につきましてさらに十分に検討をすることが必要であるというふうに考えております。

 それから後半の方でございますけれども、海上自衛隊の補給艦がOEF・MIOへの参加艦艇への補給それから海賊対策の護衛艦の給油を兼ねるということにつきましてでございますが、OEF・MIOへの参加艦艇につきましては、先ほど申し上げましたとおり、特措法に基づく補給ということは可能でございます。

 それから、海上自衛隊の護衛艦への給油ということでございますと、これは、派遣されるということになりますれば、当然これに対する補給というものは派遣のための枠組みの中での活動の一環ということでございますので、これは海上自衛隊の中の話でございますので、その補給そのものは当然可能でありますので、あとは運用上これをどう両立させるかということにつきまして検討をしてみるということが必要であるというふうに考えております。


○中谷委員 非常に、この補給支援活動は、現に今、海賊が多発しているソマリア沖、アデン湾のすぐ近くでありまして、現に日本郵船所属の高山というタンカーが海賊被害に遭ったときに、第三国の軍艦が助けてくれました。よく調べてみると、この軍艦はOEF・MIOに参加し、日本から燃料補給を受けた船でありまして、こういう形で我が国にメリットが出てきておりまして、ぜひこの任務をあわせ持つ船には補給をしていただきたいと思いますし、また、将来におきましては、この海賊対策も含めて燃料補給ができるようにお願いをいたしたいと思います。

 現在、この海賊対策におきましては、自民党内でプロジェクトチームをつくりまして法律を検討しているわけでございますが、今のところ、法律をつくる根拠につきましては、やはり国連海洋法条約の百条におきまして、すべての国は海賊行為の抑止に協力する義務があるということであります。また百五条で、いずれの国も、海賊船を拿捕し、または海賊を逮捕すること、さらに裁判にかけて罰することができるということを定めていますが、我が国の刑罰法令もこうしたことに対応できているのでしょうか、伺います。


○大庭政府参考人 お答え申し上げます。
 国連海洋法条約百条は、海賊行為の抑止のために一般的に各国が協力を行うべきことを定めておりますが、これには、各国がそれぞれの事情を踏まえて可能な範囲で協力を行うということを義務づけておる趣旨でございまして、海賊行為の取り締まりを条約の義務として各国に課したものではないというように承知をいたしております。

 我が国の法令の適用に関してでございますけれども、公海上における海賊行為が日本船舶内で行われたとき、すなわち、海賊船舶が日本船舶である、あるいは被害船舶が日本船舶であるというような場合には我が国の刑法の適用があり、また、これを日本国民が犯したとき、あるいは日本国民が被害者になったとき、そのようなときには殺人、傷害、強盗などの罪について我が国の刑法が適用されるということと承知をいたしております。

 他方、海賊船舶も被害船舶も外国船舶であって、しかも外国人が外国人に対して海賊行為を行ったというような場合には、我が国の刑法の適用はないというように承知をいたしております。


○中谷委員 これは非常に欠落した部分なんですね。国際条約によって、逮捕し、裁判にかけて罰することができるとなっておりますのに、人のものを奪ったり暴力行為が行われているということですから当然刑罰で対応できるものにしなければなりませんし、外国船同士の海賊行為につきましても、今それは、現状は処罰できないということでありますが、やはり海賊罰というようなものを創設して、それをしっかり適用していくというふうにする必要があるのだと思いますが、今後そのような方向で法整備をしていくお考えはありますでしょうか。


○大庭政府参考人 ただいま御指摘のございました、海賊行為の当事者が外国船同士、すなわち海賊船舶も被害船舶も外国船であるというような海賊行為をも取り締まるために、総合海洋政策本部におきまして、国連海洋法条約などにのっとって、船舶の国籍を問わず公海上の海賊行為を我が国の国内法上の犯罪とするというような法整備について検討を行っているところでございます。


○中谷委員 処罰の規定はそれでよろしいかと思いますが、実際、法律ができたら執行しなければなりません。その執行につきましては海上保安庁がそれをまず第一義的に担うものでございますが、現実として、ソマリア沖まで行くにはかなり能力的にも厳しい部分があります。こういう点は自衛隊が担うべきだと思いますが、しかしながら、海上自衛隊は警察機関ではありませんし、司法警察職務として逮捕、犯罪捜査の権限、能力を現場においてできることが今できませんが、これに対してどう考えておられるのか。例えば、護衛艦に海上保安官を乗せて、お互いが協力して対処するというようなことが考えられますけれども、これにつきましてどう考えたらよろしいんでしょうか。


○徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の刑罰法令が適用される犯罪につきまして、自衛官が刑事訴訟法の第二百十三条に基づきまして現行犯人の逮捕を行うということは、制度上可能でございます。ただ、この場合でも、同法の第二百十四条に基づきまして、直ちに現行犯人を検察官または司法警察職員に引き渡さなければならないというふうにされておるところでございます。

 そこで、現時点では、海賊行為の取り締まりのための措置といたしまして、自衛隊がいかなる対応をとるべきかということについては一定の結論が出ているわけではございませんけれども、逮捕後の手続につきまして、先ほど述べましたような厳格な時間制限を刑事訴訟法が定めておりますので、このような趣旨も踏まえまして、海賊を拘束したような場合に、この身柄を沿岸国等の関係国に引き渡すのか、あるいは我が国の司法手続に従って我が国に移送するのかというような点、こういうさまざまな論点がございますので、海上保安庁でありますとか法務省でありますとか関係省庁と連携をして、具体的に検討を積極的に進めてまいりたいと考えておるところです。


○中谷委員 もう一点、武器の使用でありますが、海警行動の場合は、海上保安庁法の準用ということで、正当防衛、緊急避難のみ危害を加えるという制限がついております。しかしながら、ソマリア沖につきましては、ロケットランチャーとか重火器で武装をしている海賊でありまして、その場合、正当防衛、緊急避難だけで派遣をしますと、本当に任務が果たせるかという点を心配いたしております。

 そこで、法制局に伺いますが、海賊対策ということで派遣された場合に、これは刑法の法基準がありまして、いわゆる警察権の行使として任務を行う場合の武器使用につきまして、自衛隊がその代行として行う場合に、武力行使との関係におきまして、これは警察活動であるという認識で対応することができるのかどうか、憲法との関係で問題になるかどうか、お伺いいたします。


○山本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、海上における公共の秩序の維持のため、自衛隊法八十二条に規定する海上警備行動が発令された場合に、我が国の刑罰法令が適用される犯罪に当たる行為を行った海賊に対して、自衛官が自衛隊法九十三条により準用する警察官職務執行法第七条の範囲内で行う武器の使用は、憲法九条に反するものではございません。


○中谷委員 これは確認させていただきました。

 今、政府は法律を検討されていると思いますが、来年の通常国会にこの法案を提出していただきたいと思いますが、この時期と見通し、そして最後に、政府の決意として防衛大臣にその決意のほどを伺いたいと思います。


○大庭政府参考人 海洋の安全の確保というものは我が国の繁栄と発展に不可欠でございまして、特に海賊への対処は、国際社会が一致して対応すべき重要で緊急の課題であるというように考えております。このようなことを踏まえまして、総合海洋政策本部事務局におきましては、関係府省の協力を得ながら、できる限り早期に検討結果を出すべく、最大限努力をしているところでございます。

 時期の見通しを明らかにするまでには至っておりませんけれども、できる限り早期に検討結果を出すよう努力してまいりたいと思いますので、御支援をお願いしたいと思います。


○浜田国務大臣 今、中谷先生からの御指摘があったように、我々も、海賊というものに対しての認識は強く持っているところでございますので、今後、必要な検討を政府の一員としてしっかりやっていきたいというふうに思っておるところでございますので、また御指導のほどよろしくお願いいたします。


○中谷委員 一生懸命取り組んでいただきたいと思います。


TOPへ