■中曽根弘文・外務大臣の記者会見

※外務省のインターネットサイトからの転載 
原文はhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/index.html


●08年10月21日
(問)国会で議論されたソマリア沖の海賊対策の件で、自衛隊がソマリア沖で貢献するということに対して、大臣は現時点でどうお考えですか。

(外務大臣)基本的には、我が国の船舶等もあるので、どの地域ということに限らず、海賊対策に協力することは必要なことだと思っています。ただ、どこでどういう方法で行ったらいいかということは、これからも議論する必要があると思っています。昨日の委員会の中、あるいは総理の先週の発言の中でも、海賊対策の必要性については皆が同じような認識を持っていると思っています。

(問)自衛隊の武器使用基準の制限等、色々クリアしなくてはいけない点があると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)どういうケースにどういう行動が行われるのかということは、これから幅広く検討していくべきことだと思っています。


●08年12月24日
(問)報道でもありますが、ソマリア沖の日本の船を護衛するために海上自衛隊の護衛艦を派遣するように調整するということですが、どのような状況でしょうか。

(外務大臣)海賊対策というのは今喫緊の課題だと思います。国連決議もありますし、そういう意味で政府としては、早急にこれにどのように対応したら良いかということを検討しているという状況です。

(問)具体的に調整はどの程度進んでいるのでしょうか。

(外務大臣)今検討中ということしか今の段階ではお答えできません。

(問)この問題が提起されてからだいぶ時間が経っていますが、大臣としてはいつ頃までに検討結果を出さなくてはいけないというような感覚はありますか。

(外務大臣)今日の閣僚の話の中でも、出来るだけ早くということで、そのような共通の考えがあります。ですから、出来るだけ急いでということで、今後検討を早めることになろうかと思います。

(問)海賊対策なのですが、給油活動に従事している護衛艦を使うということも実際に検討の中に加わっているのでしょうか。

(外務大臣)検討の細かい内容については今の段階では申し上げられません


●08年12月26日
(問)閣議では総理から海賊対策について何らかの発言はあったのでしょうか。

(外務大臣)海賊対策については今日の新聞でも各紙報道されているようですが、昨夜の会見で麻生総理が述べられました通り、政府としてはソマリア沖やアデン湾この地域における海賊対策というのは各国も軍艦を派遣しているように国際的な課題であると繰り返し申し上げています。海上輸送の安全確保や我が国の乗組員もいる訳で、生命・財産の保護の観点から急を要する課題であると認識しています。そのような観点から、新たな海賊法制の整備あるいは現行法制下で如何なる対応が出来るかなどについて、鋭意検討を進めてきている訳ですが、できることから早急に措置を講じていく必要があると考えております。総理のご発言にありましたが、この件についての検討を取り進めるということに当たっては、外務省としても全面的に協力をしていこうと思っています。

(問)閣議で何らかの指示等があったのでしょうか。

(外務大臣)今申し上げました通り、昨日麻生総理が皆さんにお話ししたかと思いますが、その主旨に沿って外務省も対応して参ります。

(問)実際の目処としてはいつ頃の派遣になりますか。

(外務大臣)これはまだ検討を早急に進めるということですが、総合海洋政策本部で国連海洋法条約などに則して船舶の国籍を問わず航海上の海賊行為を我が国の国内法上の犯罪とするような法整備について現在検討を行っているところです。法案の提出の時期など現時点ではスケジュールはまだ分かりませんし、検討中ということです。

(問)艦船の派遣についてですが、できることから措置を講ずるべきだと、また急を要すると大臣本人も仰っている訳ですが、いつ頃になるのかという目途と、それは遅くはないのかということをお伺いしたいと思います。

(外務大臣)早く行おうということですが、検討の進捗状況による訳で、早く検討結果を出すということ、鋭意作業を進めるということしか現在は申し上げられません。ただ、法整備を行うということであれば、まとまった検討結果が出てこなければならないと思います。

(問)現行法でできることということで伺っているのですが。

(外務大臣)今はあらゆる点について原点に立ちかえって検討するということですから、法整備もあるし現行法もあるし、どういうものが望ましいのか、現地の状況がどうなのか、そういうことを細かく検討しなければなりません。早く行うことは大事ですが、皆さんご承知の通り、どういう状況が起きるか分かりませんので、法整備であろうと現行法であろうと総合的に検討するということです。

(問)麻生総理がこの件について11月末か12月くらいに派遣したいと表明されてからすでに大臣の会見ではずっと検討しているというお話だけだったのですが、昨日ああいう形で総理が具体的に表明された訳ですから、担当大臣の一人として、いつ頃までにという目途みたいなものがおありなのでしょうか。

(外務大臣)検討は以前から行っている訳ですが、それを更に促進するということです。それ以上は人が行うことですから、できるだけ早く、早期に検討するということでご理解頂きたいと思います。1月の幾日とか2月かということは、検討の進捗状況によりますので、申し上げられません。

(問)諸々の問題がうまく処理できた場合には、来月中の派遣もあり得るということでしょうか。

(外務大臣)どういう形になるか分かりません。それによって人数や艦船の種類などどういう準備が必要なのか、当然それなりの実質的な時間がかかると思いますし、いつということは、防衛省を中心に海洋政策本部と十分な議論をした上でのことです。これは今までの補給支援と違う形での支援というか、海賊対策ですから、慎重に行うことが大事だと思います。そういうことで時間もかかるかも知れません。しかし、海賊対策は早く行わなくてはならないと考えています。

(問)現行法となると、海上警備行動を使うということが想定されると思いますが、これは、従来であれば不審船や領海侵犯等日本の安全保障上の大きな問題が発生した時に緊急対策として発令したケースしかなかったということでした。しかしながら、ソマリア沖のように日本から非常に離れたところで、海賊対策という、恐らく海上警備行動というものを作ったときには想定していなかったことに海上警備行動を使うのは適切かどうか議論もあると思いますが、大臣は現行法を使って海賊対策を行うことを問題ないとお考えでしょうか。

(外務大臣)現行法ということであっても、対象が日本人や日本の船舶に対してということになると思います。外国の船が海賊に乗っ取られた時にどうするかとか、現行の海上警備行動で本当に対応できるのか等あらゆることを想定しなければならないので、問題ないということになれば、それはそれでいいと思います。

(問)大臣自身は如何お考えでしょうか。

(外務大臣)私も法的な問題とか、そういったものがクリアされればそれはそれでいいと思いますが、ただし、長期的には、今まで海賊対策についての法律が日本にはないので、検討はしていかなければならないと思います。


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