アジア太平洋反基地東京会議声明
2006年11月27日
私たちアジア太平洋の平和活動家、反基地活動家は、ここ東京に集まり、ブッシュ政権が追求している侵略的で反民衆的な政策によって引き起こされた地域の全体状況について、緊迫感をもって話し合いました。これらの政策が意味するものは、各国政府が、すべてのレベルにおいて、人びとの願いを無視し、地域の環境を破壊し、教育と保健にかかる予算を削減し、人権を侵害しているということでした。私たちは、軍事基地と軍事化に対する闘争の経験を共有しつつ、この状況が耐え難いものであり、維持しがたく、また正義に反するものであることを再確認しました。それは世界中の民衆の行動によって終止符を打たれなければなりません。米国のアフガニスタンとイラク支配の企ては挫折し、中東の民衆には苦痛と死以外の何ものをももたらしませんでした。
私たちは、「グローバル態勢見直し」(GPR)や防衛変革の名の下に米国が進めている怪物的な軍備増強のプロセスが、世界の帝国的支配を目的として、アジア太平洋を焦点に進められていることを、警戒感を持って注目しています。私たちは、3日間の交流を通じて、アジア太平洋地域において何がおきているのか、以下のような明確な認識に到達しました。
●米日同盟は、米国の長期的・短期的なグローバルな覇権確保のために、米国にいっそう忠実な軍事的パートナーとしての日本の役割を強化する方向で再定義されました。この「未来のための同盟」の下、米国は日本自衛隊を事実上その指揮の下におき、在日米軍基地を質的に強化するとともに、自衛隊施設および一般施設を軍事演習、軍事行動に自由に使い始めています。日本の支配エリート集団は、急速な再軍備を推し進めつつ、1946年憲法を改訂し九条を廃止するためのキャンペーンを加速するためこの機会を利用しています。こうした戦争につながる動きにたいして、日本の民衆、とくに基地周辺の住民は闘いを強めています。
● 米国の防衛変革の一部として、米日政府はいま、普天間基地の返還と引き換えに、沖縄の名護市にある辺野古に新しい軍事飛行場と軍港を建設するプロジェクトを強行しようとしています。 両国政府はまた、沖縄が辺野古での新基地を受け入れることを条件に、8000人の米国の海兵隊員とその家族を、グアムに移駐すると発表しました。両国政府はこれらは基地の負担を軽減するためだとしていますが、その真の狙いは、もっぱら沖縄における軍事機能を格段に強化することにあるのです。
地元住民による非暴力抵抗によって、米日両政府の辺野古沖に海上基地を建設する計画は挫折させられました。辺野古の住民は、それに代わる新たな基地建設計画に直面して、その建設を阻止する決意を固めています。
●それらと平行して、米国は「戦略的柔軟性」の名の下に、韓国のピョンテク(平澤)に巨大基地を建設し、そこに基地を集約するという仕方で、在韓米軍を再編しようとしています。このピョンテク基地は、東北アジアへの米国軍隊の軍事介入のために用いられるでしょう。政府による暴力的土地取り上げに抵抗する農民の闘争は、沸きあがり、高まり、全国そして近隣諸国からの広い支持を集めています。米軍のいわゆる「戦略的柔軟性」は、米韓相互防衛条約を踏みにじり、朝鮮半島の平和に深刻な脅威を与えるものです。米国はまた米軍基地にたいする汚染について補償を支払わなければなりません。
●グアムは、米国の「ハスの葉戦略」において新しい決定的に重要な出撃拠点の役割を与えられています。それはあらたに展開されている米国の戦争システムのハブの役割です。海兵隊のための軍事施設がつくられ、原子力潜水艦と攻撃用軍用機が配備されます。グアム島政庁の指導者は、2008年に予定されている沖縄からの海兵隊8000人の移駐に関するマスタープランについて、発言権もなく、決定過程への参加も許されませんでした。その上、現存基地だけでも軍関係人口はいつのまにか増え続けています。他方島の住民は放射線による長期的傷害を蒙り、むちゃな軍事演習のもたらす汚染の被害をうけつづけています。
●一世紀以上前、米国は、条約や国際法を踏みにじり、主権国家ハワイを侵略、占領し、太平洋における戦略的軍事拠点を作り上げました。これによって、広範な環境破壊と汚染が起こり、重大な社会的不正義が生じ、ハワイ先住民の文化は解体の危機に瀕しました。今日、米軍は、ハワイにおいて、第二次大戦後最大規模の拡張を行おうとしています。ストライカー旅団を導入し、ミサイル防衛プログラムを拡大するほか、空母戦闘団の配備も視野に入れています。ハワイの地域コミュニティは軍事化に反対し、軍隊の拡張を行わないよう呼びかけています。そして、軍の占拠地を明け渡し、返還するよう求め、軍事支出に代わる持続可能な経済的代案を要求し、米軍による被害にたいして補償するよう要求しています。
●フィリピン、とくにそのミンダナオ・スールー地方は、米国の「反テロ戦争」の第二戦線に変えられています。米軍はそこに恒久的に居座り、国土を米軍の浸透と行動に解放した訪問軍条約と相互兵站支援協定の下、フィリピン国軍の訓練の名目で、反乱鎮圧活動作戦にたずさわっています。米国のほしいままな軍事活動は、地元住民と環境に深刻な被害をもたらし、女性の安全を脅かしています。こうしてフィリピンにおいて顕在化した第二戦線は、隣国インドネシアとマレーシアのムスリムの人々の間に延長される危険性をはらんでいます。
●オーストラリア政府は、米国の覇権への野心に、精神的、物質的支持を与えています。オーストラリアはアフガニスタンとイラクに軍隊を送り、この地域における米国の目的を支持してきました。しかしながら、世界における米国の政策へのオーストラリアによるずっと大きい貢献は、40箇所にのぼる米国軍事基地を受け入れ、米軍の次の侵略行動のための訓練場を提供していることでしょう。米国はまたオーストラリア、日本との間で三国協定を結び、米国の支配の目的に役立てています。
「グローバル態勢見直し」(GPR)を基礎とした米国の戦略は、アジア太平洋地域を、単一の軍事戦略上の単位にまとめ上げようとしています。このプロセスの中で、民衆の命、民衆の安全、環境、主権が傷つけられ、民衆から土地が奪われ、生活のすべての側面が軍事化されています。GPRの下で、米軍基地は、その構成を変え、三種類に分類されました。その一つの群は、主要作戦基地(MOB)で、恒久的な施設を備えていますが、他の二つは、従属国の軍事構造を利用して米国の目的を追求するより簡素なものです。
私たちは、それぞれ自国の民衆運動からやって来ました。私たちは、お互いの経験によって勇気付けられ、励まされました。そして、このグローバルかつ地域的な軍事基地の態勢と支配から自らを解放するために協力し続けることを誓い、共通の闘争においてお互いを支えあうことを約束します。
私たちは、帝国が世界を支配しようとしていることを認識し、わたしたちもまた世界的規模で、結集し、力を集めてきました。米国の軍事体制に対抗して民衆の命と生活を守るためです。したがって、私たちは、エクアドルで2007年3月に開かれるグローバル反基地ネットワークの設立総会の試みを熱烈に歓迎するものです。わたしたちは、直接出席することで、また精神において、インターネットをつうじて、そして行動を通じて、それに参加したいと考えます。
世界的な闘争は強まっています。わたしたちは、それをさらに前進させるつもりです。